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見せマッチョは腹が弱く風邪をひきやすい説 【漢方医放浪記】

 マッチョには2種類あります。

 肉体美を誰かに見せるための見せマッチョと、
 己の研鑽のために鍛える精神的マッチョです。

 両者は似て非なるもので、前者の典型例はボディビルダーや筋トレ愛好家であり、後者の典型例は救急救命士や自衛隊員でしょうか。

 目的と手段の観点では、筋肉そのものが目的化しているのが見せマッチョで、何か別の目的を達成するために筋肉の方がついてくる構図なのが精神的マッチョです。筋肉本来の存在理由を考えるならば、筋肉は手段であって目的ではないはずです。筋肉は全てを解決しますが、身体の支配権を筋肉に奪われた先にあるのは極度のトレーニングと筋肉以外の喪失に他なりません。

 私が美しいと感じるのは圧倒的に精神的マッチョです。

 均衡の取れた彫刻のようなボディビルダーも造形美は感じますが、しなやかで実用的な筋肉の美しさに勝るものはありません。


 さて、日常診療でも時々キン肉マンに会うことはありますが、こう、聴診するときに胸筋のあたりが気になります。若干キモいことを言っているような気がしてきましたが、下心のない医学的興味ですよ。

 全体的な筋肉の質感から、その人が見せマッチョタイプか精神的マッチョタイプかの判別が可能です。

 統計処理は未実施ですが、経験的に見せマッチョは風邪をひきやすく、精神的マッチョは感染症にも強いことに私は気付きました。前者は何らかの呼吸器疾患にかかって受診することが多く、後者のタイプは殆どが軽症か健康診断などで診療するくらいです。この特徴は、年齢に関わらず共通しています。

 バイアス盛り盛りの交絡因子バリバリな気もしますが、私見のままに続けましょう。エンターテイメントとしてお付き合い頂ければ幸いです。

 これは仮説ですが、見せマッチョは不自然な見栄えを求めるあまり過度な食事管理と筋肉に対する過剰な負荷を強いていることが多い。すると、漢方医学的に歪みが発生することは必然といえましょう。

 筋肉は「脾」に属します。

 「脾」とは消化器系、特に胃十二指腸や膵臓あたりの機能に相当し、後天の気と呼ばれるエネルギーを産生する源です。「肝」が血を統治し筋肉や筋膜を栄養する働きを持つ一方、「脾」は肌肉を司ると表現されるように、筋肉と密接な関係にあります。実際に脾が虚していると筋肉がつきにくい体質になります。

 さて、過剰な筋トレは「脾」を傷つけ機能失調を招く可能性があります。

渡邊の脳内図

 陰陽五行説で五臓六腑を解釈すると、上の図のようにプラスとマイナスの関係性が見えてきます。すなわち、筋を酷使して脾が弱ると、肺が弱り、肝が亢進します。肺は免疫を司りますから、免疫力が低下し感染症に弱くなることは道理です。肺と大腸は表裏一体ですから、而して腹も弱くなります。
 肝は統括的な機能単位で自律神経系や情緒に関係しますから、亢進するとイライラするほか、気血水の流れが乱れて多様な不調に至ります。

 過ぎたるは猶及ばざるが如し。

 どうせなら実用的な筋肉を養うのが良いでしょう。目指すは精神的マッチョ。健全な肉体はマッチョな精神に宿ります。

 さあ、日常に筋肉を。筋肉は全てを解決します。



 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。願わくは、貴方の筋線維が強靭に育ちますように。




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#アドリブは苦手らしいので無茶振りはせずに優しく彼の筋肉を愛でてあげてください

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