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共犯者 春を呼べ 《詩》

深い混乱の中に
均等なふたつの光の存在を探した

失われて行く時間の感覚 

ある種の衝動が

頭上からずれ堕ちて来る


僕は夢と想像の中に言葉を探す

其れは誰か特定の人に
向けられた言葉では無い

其処に見える憂鬱な風に包まれた

名前を持たない
消えかかった田園風景

其の僕の中にある

無名の場所を埋める為の言葉だ


疵痕も残さず切り裂いた刃 

大量の現実の血が
流されたはずだった

夜と朝を隔てた場所に僕は居る

意識を研ぎ澄まし

架空の一点に瞳の焦点を結ぶ


彼奴の声が聞こえた 

環状8号線の先にある
モノクロの田園

共犯者 春を呼べ…

確かに彼奴の声だった


僕は何色も混ざらない

純粋な光に触れた 

其処にはモノクロだけが残り
いつしか風も止んでいた 

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