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anarchism - 約束 - 《小説》

「anarchism」 - 約束 -

時々 美幸さんは僕に電話をくれた

何度か一緒に出かける事もあった


特に理由は無かった 

食事したり 

ゲームセンターに行ったり
映画を観たり


それは玲子さんに会えなくなった

僕への気遣いだと思う


美幸さんは優しかった 

言葉使いは相変わらず悪かったが

可愛がってくれてる事が
僕にはよくわかった 


まるで本当のお姉ちゃんの様に 

いつしか僕は

美幸ちゃん 

そう ちゃん付けで
呼ぶ様にまでなっていた

どれくらいの時間が過ぎただろう

慌ただしい年末を超えて

新しい年を迎えた


寒さも少し和らぎ 

桜の蕾が膨らみかけていた


美幸ちゃんと僕は
年末にひとつ約束を交わした

とても大切な約束だ 

それは僕にとって

生きる意味にも似た
重要で待ち焦がれた事だった


誠 玲子の状態が

回復して来てる様なんだ

もう少し安定してきたら
面会出来るかもしれないよ


時々 玲子には連絡をしてるんだ

玲子はさ 

誠の前では
綺麗なままで居たかったんだよ


何も心配かけたく無いし
負担にもなりたく無かった

だから黙って誠の前から

消えたんだよ わかるよね 誠

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