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anarchism - 透明人間 - 《小説》

「anarchism」 - 透明人間 -

僕はクラブハウスサンドを頬張り

メロンソーダを飲んでいた

玲子さんは
ミルクティーのカップを手に持ち

僕の食べる様子をじっと見ていた


お腹空いてたんだね 誠君 

私もう食べられないから

全部食べて良いからね

そう僕にそう言って 

ミルクティーを一口飲み

カップをテーブルの上に置いた


もう電話来ないかと思ってたんだよ

嬉しかった 有難うね 


そう僕に言ってKOOLに火を付けた

今日は私が
電話に出たから良かったわ


もしも親が電話に出てたら 

繋いでくれなかたかも

そう玲子さんは言った


僕は玲子さんって 

お嬢様なんだね 

厳しい家なんだ 

男からの電話は
取り継がないとか…

そう僕は訊いた


玲子さんは直ぐに 違うよ全く違う

両親は私の事が嫌いなの

放置って言うか

私の存在は無いの認められて無い


きっと私なんて
両親には見えないんだと思うわ

透明人間なのかな 
玲子はそう言って

寂しそう笑った  

その笑顔は確かに作り笑顔だった

ねぇ 誠君  

私の方からも電話していい?


そう訊いた玲子さんに

僕は強くうなづいた

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