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Let It Be 《詩》

「Let It Be」

時間の座標軸が

少しずつ緩み崩れて行く

濃密な気配を其処に残したまま

深く理不尽な暗闇が

世界を激しく揺さぶる

朝の光と共に眠る


僕は僕の一部を僕自身で発見する

その時を其処で静かに待っている

本棚から取り出した地図には

僕の知らない場所 

行った事の無い街が描かれている 

無個性に似通った現実とは 

そんな夜


テーブルの上には

ケチャップだらけの
フライドポテトと氷の溶けたコーラ

窓から見えるルイヴィトンの看板

其れが永遠に続く様に思えた


根拠もなく選択をする 

何が良くて何が悪いのだろうか 

基本的な価値基準そのものが
不明確に揺らぐ

断続性の中に

飲み込まれた日常と非日常

限りない繰り返しが

感動と無感動を同一化する


其処にある単純な記号が
大切な何かを蝕んでいく

全ての特徴には意味が無く

意味の無い特徴には何ひとつとして

明確なものが無い 

そんな記号の配列を見ていた

其処に費やした時間は

僕を何処にも連れて行かない


不幸な暗い記憶の様に其れは

意識の押入の
奥深くに押し込まれている

其れをあえて掘り起こす必要は無い


今更ビートルズのレコードを
買ってどうするの

彼女は微笑みながらそう言った

あるがままに そう 

あるがままに 

其処に答えなんて無くていい

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