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車窓 《詩》

「車窓」

限られた目的が
人生を簡潔化して行く

其処には言語化される事の無い

自分自身のルールが存在している

平坦で無個性な街を

行き先表示の無い電車が走る

僕は座席に座り窓の外を見ていた

いったい何処へ行くんだろう


多様な選択肢が目に入り消え去る

時間の進みが早過ぎて 
僕は世界とのバランスを失った

上手く行かないのは

僕のせいじゃ無い

そう 誰にも聞こえない様に呟いた

多分 孤独だけど淋しくは無い

遠い辺境の地に 
紙切れ一枚で出征する兵士の姿

方向感覚を失った僕の乗った電車は

同じ場所をぐるぐると巡回していた

真実がいつの場合も
救いになるとは限らない

僕は傷付いた記憶を
何処か誰も知らない

深い場所に沈めたはずだった


其処に答えは無くても

誰かに話をしなくてはならない

其れが自分にとって
思っている以上に大切な事だった


そうやって僕と君は出逢った 

車窓から見える景色は

少し前より変わって見えた

僕と君は同じ
限られた目的を持っている

誰にも愛されないなら
僕が君を死ぬほど愛してやる

そう誓った

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