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アルジェリアのズアーヴ兵を御存知?

写真をみてほしい。
誰だと思いますか?
アラブ人じゃあないのです。
白人のフランス人なのです。
じゃあ、なんでこんなアラブ人みたいな恰好をしているのか?
これがズアーヴ部隊のユニフォームだから。

19世紀前半、ズアーヴ部隊所属のフランス人兵は、アルジェリア先住民から戦い方を学びました。アルジェリアで習得した戦法は、クリミア戦争で、その有効性を証明しました。
その戦法とは、簡単に言うと、こんにちの対テロ・対ゲリラ戦の戦法です。グリーンベレーみたいに、静かに敵に近づき、剣でグサッ。

ところがズアーヴ兵の歴史は、日本の一般読者に、これまで知らされてきませんでした。
日本のポストコロニアリストはズアーヴ兵について沈黙してきました。
そこには隠蔽工作あるいは無意識の自粛があったのではないのか?
なぜなら「フランス人兵がアルジェリア先住民から戦い方を学んだ」という事実は、日本のポストコロニアリストにとっては、不都合な事実であろうから。
なぜなら日本のポストコロニアリストは、「強いフランス軍が弱い先住民を侵略した」という「弱い者いじめ」の構図で植民地支配を説明してきた。
しかし少なくとも19世紀前半、フランス人兵は、自分たちはさほど強くないと自覚していました。だからこそ、先住民から戦い方を学習したのです。

詳しくは次の論文を読んでほしい。
西願広望「フランス植民地征服戦争再考」
『軍事史学』第59巻第1号(通巻233号)。
一般読者向けに易しく書きました。
〈目からうろこ〉だと思います。

もう偽りの優しさはいらない。
真実こそが優しく、真実こそが強いのだ。



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