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閑話休題シリーズ

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記事一覧

閑話休題(12)――日本の英語教育について思うこと

普段は中国語の翻訳や中国語学習について話しているのですが、今回は閑話休題として皆さんの身近な問題でもある英語教育の話題をしたいと思います。 今既に大学を卒業して社会人になっているうちの娘ですが、小6だった当時、進学を希望する私立中学校のオープンキャンパスに行ってきました。オープンキャンパスでは、国語算数理科社会のほかに英語の体験授業も受けられるようになっています。そこで娘に「英語の授業を受けてみなよ」と言ってみたところ、「えー、英語だいっきらいだからいやだ」との言葉。 外

閑話休題(11)──私が中日翻訳者として思うこと

最近中日翻訳者として、いろんなことに対して危機感を抱いています。 その1つが、日本人の「中国語学習者」不足です。 Xあたりでも度々ポストはしていますが、最近は「チャイ語」レベルの学習者ははいて捨てるほどいても、「ガチで中国語を習得した人」「驚嘆するほど高い中国語のレベルの持ち主」が本当に見当たらなくなったと感じています。 確かにX界隈では、私も「すごいな」と思ってしまう中国語学習者はちらほらいます。しかし現実世界では、私が所属している会社に応募してくる人の中国語のレベル

水原氏の騒動で私が思うこと

米国メジャーリーグの球団ドジャースの大谷選手の専属通訳である(だった)水原一平氏が、球団から解雇されたというニュースが駆け巡りました。このニュースに多くの人は驚いたのではないでしょうか。 私自身も驚きました。今でも水原氏や大谷選手を取り巻くニュースが後を絶たない状況ですが、私は同時に現職の翻訳者として、そして昔通訳を目指していた一個人として、このニュースに違う意味で胸がざわついたのも事実です。 私は今でこそ中日の翻訳者として携わっていますが、今の仕事に就く前は日中・中日の

今年の全人代の総括

本当は中国政治に関する記事を投稿するのは先週限りにしようと思ったのですが。今日11日は全人代会議の閉幕日。ということでやはり触れざるを得ないでしょう。 今回は今年の全人代会議で話題になった点を総括したいと思います。 総理記者会見の取りやめやはり今回の両会の中で、これが一番ハイライトになったといえるでしょう。この情報は、4日に開催された、全人代会議開幕直前に開催が恒例となっている全人代会議記者会見の席上で、婁勤倹報道官が発表したものです。発表後は中国ウォッチャー界隈では衝撃

中国語という汎用性

今回はこれから中国語を勉強しようかと考えている人や中国語初級の人たちに向けて、「中国語の汎用性」と言う観点から少し話したいと思います。 Xや当Noteでも情報をいろいろ出していましたが、1月中旬から下旬にかけて、妻と東南アジアのタイやマレーシアに旅行に行ってきました。 中国以外の国と言うことで、「現地語は使えなくても、せめて英語くらいは使わなきゃ」と考え、携帯にグーグルの自動翻訳アプリをセットし、少々身構えて行ったのですが、結構拍子抜けしたところがありました。 その拍子

閑話休題(10)ーー情報リテラシーの大切さ

皆さん、情報リテラシーと言う言葉をご存知ですか。ウィキペディアから「暫定的に」意味を拝借すると、「情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと」だそうです。 私自身は、「得られた情報を」「自分なりに咀嚼し」「アウトプットする」能力だと理解しています。 つまり①「情報を得て整理し」→②「自分なりに咀嚼・理解」→③「これをSNSや他人との会話で話す」という3つの段階で要求される能力と言えますね。情報リテラシーを上げるにはこれら①②③の3つの段階でそれぞれ、意識してトレ

今年もありがとうございました

2023年も残すところあとわずか。2023年は皆さんにとってどのような1年でしたか? 本noteにとって、そして私にとって、今年はいろいろな転機があった1年だったと感じています。 本noteではかねてから、翻訳を目指す人、中国語を勉強したい人に向けて1週間に一回配信でやってきましたが、今年8月、9月は遂に、前々からやりたいやりたいと言っていた、X(旧ツイッター)のスペースを使った「中国語ニュース翻訳勉強会」「中国語初級者・中級者向け勉強会」を主宰させてもらいました。 私

閑話休題(9)―私の黒歴史

久しぶりの閑話休題です。今回の閑話休題は少し毛色を変えて、「私の黒歴史」について。 30代、40代以降の皆さんなら分かるかもしれませんが、人は誰でも、他人には知られたくない黒歴史というものを持っているものです。かくいう私もその一人。今回は私の今から思い出しても恥ずかしい「黒歴史」について語ってみたいと思います。 最初に前置きしておきますが、突っ込みどころが満載です。「なにやってるんだお前」と思われるかもしれませんが、「何も知らない若造の、若気の至り」だということで、お許し

中国語を習得したかったらならやっぱり留学なの?

X(旧ツイッター)の中国語学習界隈のポストをつらつらと見ているとたまに目にする言葉があります。それは「やっぱり中国留学や中国での滞在の経験がないと中国語の習得は難しい」といった意見。 これについて私自身は、中国での留学、中国での業務を通じて中国語のレベルを飛躍的に上げたという成功体験があることもあり、全否定をするつもりはありません。 そもそも中国語に限らず、外国語の上達・習得に必要なのは「リーディングとライティング」「ヒヤリングとスピーキング」に分けて、それぞれ「インプッ

閑話休題(8)~留学するなら北方?南方?私の私見

ここ数年続いていたコロナ規制による鎖国状態を解いた中国。「中国留学のチャンス」ととらえている学生さんも多いのではないでしょうか。 これまで中国政府は、中国語の習得を希望する外国人学生に対しては「オンライン留学」という形で門戸を開いてきました。ただこの「オンライン留学」というものに対しては何一つメリットを見いだせないと私自身感じていましたから、今回の「開放」はとてもよかったと思っています。 さて、中国留学が再開した現在、やはり触れておかなければならないと私が考えている問題が

閑話休題(7)~私が20代の皆さんに言いたいこと

皆さん新年あけましておめでとうございます。当閑話休題シリーズも7回目となりました。もともと、半年または数か月の間隔で1回程度出すことを目安にしていた当シリーズなのですが、先回どうしても伝えたいことがあり、今回このように短い間隔で再度出すことになってしまいました。そのあたりはお許し下さい。 今回は新しい年の到来、そして中国のコロナ政策の全面的な緩和という記念すべき時にあたり、特に若い皆さんに訴えたいことがあるので書いてみたいと思います。 それは、「20代は無理をしてでも自分

閑話休題(6)――「帰国したらただの日本人」

私自身、今の留学生は恵まれているなと感じることが多々あります。 今はSNSが発達しており、SNSを使って他の人と中国語の勉強をしたり、中国に対する見聞を深めたりすることができます。それだけでなく、中国にいながらにしてさまざまなSNSにアクセスして自分をアピールすることもできます。 そして、SNSでもリアル(つまり中国の街中)でも、「留学している日本人」というだけで他の人との違いを出せます。中国留学中に、「中国文化に近い(理解している)人」「日本文化の人」として、ビジネスを

閑話休題(5)――彼女の事

【注意】今回は特に自分語り&デレ要素が満載です。苦手な方はブラウザバックしてください。 広東語を勉強するために広州の某大学に転学してきた私。 当時はちょうど2年間の中国留学生活の最後の半年ということで、大学に到着した後、気を入れて広東語の勉強をしようと思い、広東語の「相互学習」の相手を探すことにしました。 相手を探す経緯については、「閑話休題~あの日の事。」で話した通りです。Xさんからは、「じゃあ、彼女に●●君(私)の授業の後に会うように言っておく」と言われました。

閑話休題(4)――私の師匠

先日、私の中国語/中国の師匠の一人でもある愛大の加々美光行教授がお亡くなりになりました。 ご冥福をお祈りすると同時に最近は、私のこれまでの中国語/中国の師匠について思いをはせるようになりました。 ◇◇ 私自身中国語/中国の「師匠」と呼べる先生はこれまでで数えるほどしかいません。その多くの方は既に鬼籍に入っていらっしゃるのですが、やはり私に最大の影響を与えた先生は、高校の漢語の先生でしょう。 その先生は私に中国語との出会いを下さった方です。閑話休題(2)でもお話をしまし