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アメッ!フルーヨルッ!〜夕方だったけど〜(5/15)

私はロマンチストになりきれないから、雨が大嫌いだ。

日本でも近年、お天気サイドのライフスタイルの変化を実感することが増えた。コロコロ様変わりする空模様に「何でもかんでも自分の思い通りにはならない」という人生の基本と教訓を改めて叩き込まれる。分かっちゃいるが、思い通りになって欲しくて未練がましい。
(特に野球の試合がある日などは)

パリはずっとそんな感じの街だ。別の日の空がうっかり間違ってやってきたみたいに半分だけ青かったり、隣の区まで行けば眩しいほどの晴天が待っているってな具合に真っ白な雲が能天気に浮かんでいたり。
人が目視できる範囲でも、冗談みたいに色んな表情を見せている。

今日も、15分ほど軒先で雨宿りをした。雨予報などちっとも出ていなかったが、これも日常茶飯事。
天気予報士の塚原(美緒)さんが細かく丁寧に天気を伝えてくれていた"テレビ派"の現場が早速恋しくなってしまった。一家に一台、みたいに一街に一塚ちゃんって感じ。

でも、実際にすぐ止むし、降っている間も空が百面相で一人芝居を打つものだから、カメラを何度も構えて楽しかった。

いや、ちがうねん。雨物語を書きたかったのではないのよ。

仕切り直して、朝のお話しから(と言っても、10時起床の体たらく)。

起きてほどなく、エージェントのSMSを受け取る。普段メールのやり取りが基本なのだが、急ぎの時、もしくは少し感情的な内容の時はたまにヒョコッとSMSが送られてくる。

色々と追われてしまってアップデートを放置していた去年からの自分の作品を、軽い気持ちで「まあ、こんなのもやったんだけど、フランス人が好きか分かんないけど...」と言いながら聴いてもらった。
聴いてもらったのは昨日だったが、音楽的な豊かさと創造力が本当に素晴らしい、と今朝改めて情熱的な文面で送られてきて、率直に嬉しかったし、励まされた。

これは特にお気に入りだなとか、渾身のメロディが書けたなとか そういうのはあるけれども、基本的には普通に普通の曲を書いているだけって感じなので、自分の何がどういう風に素晴らしいのかが分からない(昨日も書いたが)。一生分からないのかと思うと、作り手側より聴き手側の方が幸せなのかもしれない?とも思う。
私は音楽を聴くより作る方が断然好きなのだけども。

『ミギとダリ』のサントラはどの曲も本当に素晴らしくて選べないよ!と言いながら、英語表記かと思いきや、まさかのローマ字表記の英語タイトル(これ、良くないですね)で大層打ちにくかっただろうに、『HITORI NO SHONEN(ひとりの少年)』という調子で、何曲もお勧めを書き出して送ってきてくれた。

これから、エージェント(と私)が売り込んでいくことになるので、彼が良いと思って選んでくれること自体にアドバンテージがあるし(人間だもの)、そもそも日本の事務所に所属していた時にはない自発性にいちいち感動している。

日本で事務所に所属していた時はエージェント契約だったので、専属アーティストとは分け隔てを以って扱われていた。専属ではないから後回しになるし、自分がどういう風に売りたくて、何が得意で、どの曲を聴いて欲しいか、そういうものは全部自分で考えてこい、というのが基本的なスタンス。それらをやってきてくれたら、紙資料なんかは作るし配りますよという、エージェントという独立した響きに甘えた構造だと思う。
しかも基本が受け身なので、どうして自分の担当アーティストの音楽は素晴らしいのか、情熱も相手に伝わりにくい(人間だもの Part ll)。そして、そうこうしているうちにアーティストの自信は根こそぎ奪われていくという、悪の悪循環なのだ。

海外でいうところの「エージェント」の上積みだけを掬った状態では、むしろ日本式の良いところだけが消滅し、表面上はあくまで海外仕様。結構悲惨なミックスなので直ちに改良されていくべきだと個人的には思う。(なので、辞めましたが)

エージェントという、互いに大人の、独立した、それぞれ責任を背負っていく関係性なのだからこそ、きっちり営業をかけて頂きたいわけで、「互いに独立した関係なんだから事務所としては責任取らないし、大前提あんた主導でやんなよ」みたいなのって、本質的には今の日本社会のダメなポイントが凝縮されたような話だとも思う。

さて、そんなジメジメした話はさておき、楽曲のセレクトが終わったら、次は日本のJASRAC的な立ち位置のSACEMという著作権団体のメンバーになるべく登録をした。「ここから登録できるよ!何か僕の助けが必要な時は言って!」これが、彼の基本スタンスである。

「自分でできることは自分で。困った時はいつでも助ける」という距離の取り方は理想的で快適だ。

楽器が届くまで暇だし、ちょっとデートでもしてみるか。最近何人かと会ったり、連絡を取ったりしている中で改めて自覚した事なのだが、私はとにかく手取り足取り人に構われるのが好きじゃないのだ。

大丈夫?僕がやろうか?元気?今日はどんな感じ?僕は◯◯を食べたけど君は?明日の予定は?会いたいね!昨日言ってた書類は全部揃った?

.....

暇だからデートしてみたやつに言われたくないと思うが、お前は暇なのか?暇だからっていちいち連絡してくるな?と言いたくなってしまう。(暇だからデートしてみたやつに言われたくないだろうすぎて、二回も三回もツッコミしそうになるわ)

そもそも「構ってる」のではなく、相手への恋心とか欲望とか興味なのだとは思うが、私の脳みそがそういう構造をしていないので仕方がない。まあ、そんなわけでエージェントがカラッとした人なのでハッピーだというのことが言いたいだけなのに、罪なき人をわざわざ巻き込んでしまった。詫びたい。まあ、恋愛する気もないやつがデートなんてするなって話ですな、失敬。

さてさて、すっかり夕方になってしまったので急いで家を出た。ここから冒頭の雨物語に繋がってゆく。

今日は、時を同じくしてパリに留学した友人Aとご飯を食べることになっている。私には大切な友人が何人かいるが、彼のことももう大好きで大好きでたまらなく、兵庫男子を大評価&大贔屓している一因でもある。
(佐藤輝明選手の見た目が好きすぎることも影響していると思うが。)
お母さんが私のCDを買ってくれていて、実はヒロコのファンみたいやでと聞いてニヤニヤとした。もうお気付きかもしれないが、私はかなりの嬉しがりである。すぐにニヤニヤする。単純なのだろう。

久し振りにAmici Mieiというお気に入りのイタリアンでパスタを頬張った。「今日はヒロコのウエルカムパリやから、俺が奢るよ」と、ティラミスまでお腹いっぱいご馳走してくれた。なんだかんだと40歳の海外移住はそれなりに負担も不安もあって、こういう信頼できる友人が近くにいることは、それだけで大きな支えになる。
いつも私がパリに来た時、彼が日本に遊びに来てる時にしか会えなかったが、これから定期的に会えると思うとちょっと楽しみが増える。

私は三歩進んでも、一歩も下がらないよ!
まだまだ生き残ってやるぜ、と思ったらワクワクする。





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