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フレンチバイブスとは(2/6)

なんだかとても静かでとても忙しい一日だった。(トップ画はまたしても私の映えない自炊写真)

最近VISAの話題ばかりで恐縮だが、今日もVISAの準備を進める。渡仏するまでになるべく国内の公演も打ちたく、そちらの打ち合わせや調整なども進めていた。東京は恵比寿 Blue Note Placeでの2Days(with マブの江島啓一)公演の情報解禁も本日行った。興味ある方はぜひ。

日本生まれ日本育ち(ラップ調で)の中でも合理主義で現実主義、計画的で真面目な理屈派の私にとって、フレンチバイブスははっきり言って苦痛なことが多い。学生時代の約4年間も、会社員時代の約4年間も(自分以外全員フランス人の会社に勤務)、そして今もだ。
そんなことはずっと分かっていながらそもそも渡仏してもーて(当時、家族と紆余曲折があり渡米は断念)、そこで人脈も築いてもーて、英語を忘れてしまうほどフランス語ばかり話してもーてるのだから仕方がない。

フレンチと言っても、ジャパニーズと同じで、あなたの言う"ジャパニーズ(日本人)"って具体的に誰のことですか?人によらないですか?ということにはなるのだが、いわゆる郷のルール、常識、傾向に基づいた感覚論(酒場の軽口)と思って読み進めて頂きたい。
論理的とか言ってるやつが感覚論…と揚げ足を取られたら「マジそれなんですぅー矛盾しててごめんなさい〜」でしかないのだが、とは言ってもあるじゃないですか。根底に流れている何某かの「でもさ」ってやつが!

『エミリー、パリに行く/Emily in Paris』とは大きな隔たりのある『ひろり、パリに住む』は、パリはパリでもかなりゲットーな地区だったのが一因にはあるだろう。

まぁ、これは完全にアメリカンな虚構パリのギャグドラマだが

例えばスーパーのレジの店員。
まずお客様は神様でもなんでもない。お前が買いたいから売ってやってるだけと言わんばかりに、レジを打ちながら別の店員とお喋りし(当然その手は止まっている、もしくは、ほぼ止まっている)、値段がわからない、人がお金を払って買ったものを投げる、お客さんに何か言われたら「そんなこと知らない」「私じゃない」「他の担当が勝手にx xしてるだけで⚪︎⚪︎」ダルそうに平気でテキトーなことを言って済まそうとする。勿論こちらは詰めるし、強く言えば対応してくれるが(申し訳なさからではなく、面倒くささから)とにかくひどい有様だ。(一部の高級スーパーや高級エリアは知らないが)

例えば街の一般医。
咳き込みながらヨレヨレの姿で目の前に座っているのに、"家族から電話かかってきたわ、失礼!"と言いながら全く失礼じゃなさそうに「今日の夜?肉買っとく?え、私、今検査してる最中なんだけど。そうなのよ、まだ仕事で参っちゃうわ!スーパーで買えるならそっちが買っといてくれる?」と普通に長電話。挙げ句の果てに「そもそも検査なんて受けなきゃインフルにもコロナにもなり得ないわけだけど、それでも検査したいの?」とか言いながらテキトーに触診(25€を請求)
ちなみに彼女が処方した薬を飲んだら脾臓肥大になり、エコーの専門医に回され、多額の検査料を払うもいい加減な診断で「全然大丈夫」と言われ、しかし病状は悪化の一方を辿り、帰国後の羽田空港にある病院でようやくまともな診療を受けたら、間違った薬を飲んでいた為に幾つかの臓器が炎症を起こしていたようだ。

日本でこんな人がいたら一瞬でネットは大炎上、すぐに世間から謝罪動画か謝罪文の二択を迫られるだろう。それが令和の日本社会のスタンダードである。(若干の皮肉をこめつつ)

そんなフレンチバイブスなので、VISAに必要な書類も12月の早めから何度も何度もリクエストし、明日絶対にやる、月曜には必ずやる、来週送る約束する、今夜やる…. を毎週繰り返されて、もう2月も2週目。フランス大使館とのランデブーの予約も済んでいるが、勿論まだ件の書類は届いていない。ついに「仕事でスウェーデンに来ていて、本当に忙しくってペーパーを用意してる余裕が完全にないかも。そもそも本当に必要なの?別にVISAとか取れるでしょ、ヒロコなら!」とめちゃくちゃ身勝手な論点を差し出されながらの忙しいアピール。先月バカンスだなんだとインスタグラムに呑気な投稿をしていた時にできたのではないか?と思わずにはいられない。

住宅証明書の方だが、こちらも、明日絶対にやる、火曜までには必ず、来週になったらできる、週末終わったら行ける…. を毎週繰り返されて、もう2月も2週目(リピート・アフター・ミー!)。証明書が出せないのであれば他の物件を当たらないといけないので早急にYESかNOかで返事が欲しいとお願いしたら「そもそもオリンピックって最悪だし、まじ来ない方がいい!9月に延期でどう?」「パリって年々つまらなくなってるよ。他の都市が良いと思う。それなら家探すの手伝うし。年末になってもまだパリに来たいなら、その時に来たら?」などという、余計なお世話&全く必要としていない助言&極めて個人的な都合と感情論を披露されて、ついついキレかけてしまった。(YESかNOの質問に、それ以外で返す人がそもそも好きではないのもあって)

ただ、ただし、だ。今はあちらの郷をこちらの郷で処理する国際活動なのでイライラしがちだが、向こうではこんな初歩的なことでキレているようではとても生きていけない。私の場合、あちらに行ったとて日本の仕事も継続する予定なので前途はそれなりに多難ではあるが、現地ではフレンチバイブスをちゃっかり使いしていきたいとは思っている。

彼らはそういう自分たちの性質を "俺らって、イギリスやドイツ人たちと違って準備がめちゃくちゃで、協調性もない。でも本番に何故か大成功させるポテンシャルある。しかも、どこよりもイケてる結果が出せるんだからまじ優秀なんだよね。フランス万歳!" と言う。日本では考えられないナルシスティックな考え方だが、私がもしも将来パリでそのようなバイブスをふかしはじめたら、どうぞ「調子乗んな」と思いながらこの日記を思い出して欲しい。

そもそもVISAが取得できたら、の話ですがね。


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