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「例える」には共感力が必要

いま、とある大企業(この記事のときには既に解任されていますが)の役員が、例え話をして、中身があまりに品がなさすぎて批判・非難の嵐が渦巻いています。人は、1つの能力が優れているからと言って過信する、まさに典型的な例であると思うのです。

1、「わかりやすく」は言葉をひらく

文章を書くことが得意、という人は少ないでしょう。小学生の頃を思い出せば、読書感想文が面倒くさいし、書こうとしてもアイデアが全く浮かばない。そんな、嫌な思い出から抜け出せず、その後、社会人になっても、書くのが嫌だという人は多いはず。

だから、「表現力」というのは難しいと言われますが、基本的には2つの方向性が存在します。それは、

「抽象的」▶「具体的」
もしくは
「具体的」▶「抽象的」

という流れです。

まずはじめに、結論や、端的なフレーズを掲げてから、それを詳しく、わかりやすい例えなどを踏まえて説明するのが、前者。
いくつかの説明や例をあげてから、最後にまとめて結論を出すのが後者。
これらを自在に組み立てながら作るのが「文章」なわけです。

だから、「わかりやすく」伝えるには「表現」を「相手」にあわせて示す必要があるのです。それには、「どんな」人がその文章を読み、「どう」感じるか、という想像力があってこそ実現できること。

賢い人がたまにとんでもない失言をするのは、まさにここ。「抽象的な」ことの理解・頭脳は優れているのに、その表現力を相手に合わせて「ひらく」ことができない。それを社会では「共感力の不足」といいます。

2、「相手の立場」を想像できない

コミュニケーションを円滑にするためには、「相手の気持ち」を考えるように、よく言われます。でも、言葉や考え方をそのままに、ただ、文章を長くしてしまったり、最悪のなのは「ちょっと表現が悪いけど」っていう前置きを置いて、セクハラや差別的、あるいは嘲笑するような表現を使ってしまうことです。

これは、身内やごく限られた会話なら、まだ被害や影響は限定的ですが、会社やネット、あるいは公開の場で発したなら最悪です。その当事者が入れば、それこそ社会問題化となります。(あの騒動は、まさにこれです)

例え話は「想像力を働かせて」できるものですから、発せられた言葉とは、それはその人が「常日頃から考えている潜在意識」に影響されるといって過言ではありません。

理性で蓋をしていたものが、ポロッと出てしまう。それがその人の性根であり、本心です。いくら頭脳や能力が優れていたとしても、「共感」は得られないことでしょう。

3、エリートと言われている人に欠けていること

「相手の立場を考える」とは、「話の聞き手」としてどう思うかを想像することであり、常に指導的立場や上司、あるいは能力的優位な人生ばかりを歩いてきた人、特にエリートと言われる人にとっては、それはいくら想像してもわからない世界なのかもしれません。

能力がある人は、能力がない人を相手にすることになる。これは社会の常でしょう。でも、だからといって、何でも言って言いわけではありません。逆の立場では、どんなに努力しても、能力や実力があがらない。そんなもどかしさの中で、「自分はこの程度しか能力がない」と認めながら、ただ一生懸命に働くことで社会に貢献しようとしているかもしれません。

そんな人に、能力で圧倒的な立場と地位の人にバカにされたり、差別されたり、嘲笑されたり、卑猥なことを言われたら…その時は黙っているかもしれませんが、心の中で、どんなことを感じるでしょうか。

4、すべての人に役割がある

社会とは、いろんな立場や能力が世の中には存在し、人はそれぞれ持ちうる能力でこの社会に貢献しようとしている。そんな総和こそが、世の中を作っている。だから、人である以上、立場や地位の上か下かは、あくまでなにかの組織も含めた統率や管理として存在するものでしかなく、人間のすべてを表現するものではないのです。

だから、老後の定年になってから、過去の地位や立場をずっと保ったまま、空気の読めない会話や、説教をして、どんどん社会から孤立してしまう…当然と言えるでしょう。

人間は、完全ないきものではありません。たくさんの挫折や失敗もなどを経験し、そして、それぞれのスタートラインから最善をつくしていくのが人生。最後には誰もがゼロになるのですから、学歴や会社といった一時期の地位や立場をベースに、人間社会を舐めていたら、当然の仕打ちを受けても仕方ないことでしょう。

いつだって、私達人間は、どんな分野も、どんな経験も、人生すべての時間を費やしても、すべて身に着けることができない。だからこそ、謙虚に、そしていつも学ぶ姿勢で、誰かが誰かを傷つけるのではなく、常に、誰かが支えてくれているという感謝の心を持って、生きていきたいものです。

マーケティングで例えるなら…「人をウキウキ喜ばせるもの」でしょうか。あれ、僕が考えるマーケティングとは、大企業や大学の先生とは全く違うものでしたわ。勉強しなおしてきま~す!



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