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生きてることと死んでることに差はそれほどない


一度死にそうな目にあってから、生きていることが、ただそれだけで色彩を帯びて輝いているような気がして、大袈裟に言えば「人生感がよい方向へと変わった」と言える。

チベタンの僧侶たちは、夜寝る前に枕元の茶碗を伏せて眠りにつき、朝起きるとその茶碗をひっくり返して、今日も死なずに目が覚めたことを実感するという話しを聞いたことがある。

そういえば、眠ったまま、起きない人も多々いるのだ。

そんな風に考えれば、朝、きちんと目が覚めることのなんと幸福なことか。


志賀直哉は次のような文章を残している。

生きている事と死んで了っている事と、それは両極ではなかった。それ程に差はないような気がした。

「城の崎にて」志賀直哉『小僧の神様・城の崎にて』新潮社、昭和四十三年

朝、もし目覚めない日がくるということを考えれば、生きてることと死んでることの境界線はぼやけてくる

逆に言えば、いつ死んでもいいように生きていくということが大切なのではないだろうか。



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