離島の教室から#2 『縄ない競争』という運動会種目【僻地教育】
今回も沖縄県の離島にある極小規模高の運動会の様子をお伝えします。
いつか、沖縄県の離島で勤務されてみたいと考えている先生は必見です!
もし、前回の記事を読まれていない場合はこちらからどうぞ↓
離島の学校には独特な競技がある
みなさんの学校で行われる運動会にはどんな書目がありますか?
徒競走
障害物競走
紅白リレー
玉入れ
騎馬戦
などでしょうか。
実は、沖縄県の離島の学校には珍しい競技種目があります。
その名も「縄ない競争」
みなさんは、この「縄ない競争」という種目をご存知でしょうか。
この縄ない競争、実は地域の方も参加する種目です。
そして、地域の方が無双する種目でもあります。
おじぃ・おばぁが速すぎて、子供はおろか学校の先生だって全く歯が立ちません(笑)
実際に私が勤務していた学校で、ダントツで1位・2位だった方がこちらの方々です。(見るからに生粋のウチナーンチュ)
もう、私なんて、手も足も出ませんでした・・・
さて、この縄ない競争、一体どんなな種目だと思いますか?
ヒントは、彼らが左手に持っているものです。
「縄ない競争」とは
「縄ない」とは、2本の藁(わら)の束を捻り合わせて、1本の巻縄にすることです。
それを、より素早く行い、如何に「長くて美しい縄」を作り上げるかを競う種目が縄ない競争です。
昔は、わらなどをより合わせて縄をつくっていたそうです。
その伝統技術が今は、縄ない競争といった形で子供たちに伝えられています。(縄ない競争自体は、沖縄以外の地域でもあるようですね)
縄を作るやり方は以下の通りです。
まず、2つの藁の束を同時にねじります。
次に、ねじりと逆方向にからみ合わせていきます。
すると、ねじりが戻ろうとする力で、2つの藁の束はしっかりとからみあい、縄になっていきます。
言葉で説明するとこんな感じなんですが、これがまぁ難しい!!
地域の方からやり方のレクチャーを受けても全然縄になってくれない!
なのに、おじぃ・おばぁがワラを持って手をこすり合わせると高速で縄が出来上がっていくんです。(もう、手品ですよ・・・・)
縄ない競争の準備
この縄ない競争を行うために、運動会が近くなると学校職員が地域の方の田んぼに行き、みんなで稲を刈ります。
みんなで刈った稲をトラック一杯に積んで学校に運びます。
学校に戻ったら、今度は地域の方々一緒に縄ない競争の下準備を行います。
ここでは、藁の束を作っていきます。
藁の向きを揃えて20本位を一まとめにして縛っておくといった感じです。
私は、地域の方とお話をしながら、一緒に運動会の準備をしていく時間がとても好きでした。
子供たちの様子を聞いたりとか、学校の様子を紹介したりとか自然な形で情報交換をすることができていました。
おわりに
いかがでしたか?
今回は、離島の運動会ではメジャー種目である縄ない競争について紹介でした。
子供たちは、昔から伝わる伝統を大切にし私たちの生活に欠かせなかった縄の存在を縄ない競争を通じて学ぶことができます。
学校の先生としては、縄ない競争の準備を通して、地域の方々との交流の機会が生まれ、より地域とともに創り上げる運動会にすることができます。
コロナ禍以降、学校行事が縮小傾向にあります。
また、教員の働き方改革によって、その傾向はますます強まっていくでしょう。
でも、学校行事でしか得られないものがあるのも確かです。
だからこそ、学校行事を学校だけで作るのではなく、地域とともに無理のない範囲で協働的に創り上げていくことが重要になっていくのではないでしょうか。
今年の運動会は、地域に開かれた運動会にしたいなぁと考えています。
ではまた、次回の記事で。
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