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不完全さの価値

昔からアードマンスタジオのアニメーションが好きです。
私が中学か?高校生くらいの時から。
熱狂的に詳しいファンというわけではなく。
なんとなく好きで、DVDを色々と揃えている程度ですが。


有名なものですと『ひつじのショーン』があります。
ご存知の方も多いですよね。
NHKで放送していたりしますし。

ご存知ない方に説明すると
アードマン作品は、基本的にはクレイ(粘土)で作った人形をコマ撮りしてアニメーションにするのを得意としていて。
今はCG作品もあるようですが、クレイアニメーションやパペットアニメーションが有名なスタジオです。
『ひつじのショーン』もパペットをコマ撮りして、それを繋げて一本の作品にしているそうです。
簡単に言うと「パラパラ漫画」の写真版ですね。


昔アードマンスタジオ作成の『チキンラン』という映画があったのを覚えていらっしゃる方いますか?


ホロコーストの強制収容所をモチーフにしたもので。
屠殺されるのを待つだけの養鶏場の鶏が脱走を企てるストーリー。
映画『大脱走』のオマージュもあったり。

細部までこだわった作品で見応えがあり。
ストーリーも少し怖いような、人間社会の残酷さを考えさせられたり、でも笑いも希望もあり。

とても好きな作品です。

アードマン的にも心血を注いで、完璧を目指して作り込んだらしい。
キャラデザインから、実際のクレイ人形も完璧を目指して細部までこだわった作品です。


しかし!!!
興行収入的にはあまり振るわなかったそうです。

なぜ?失敗したのか?スタジオ内で議論が重ねられたとか。

(アードマン作品のDVDの特典にこの話があり、ソースが示せず申し訳ありません。うろ覚えの記憶です。)


そこで出された一つの結論
「完璧すぎたから。」


今までのアードマンの作品は、人形を作成する際に、粘土に人の指紋の跡が残ってしまっていたんです。

しかし映画のためにクオリティを上げようと、指紋が残らないように細心の注意を払って、綺麗に滑らかに人形を作ったのでした。

しかしそれが良くなかったのです。
既存のファンは………
「それならCG見るよね。。。」とウケが最悪だったとか。(私もその1人)


つまりファンは
アードマン作品の"不完全さ"こそを愛していたんです。

(指紋の跡が残る、手作り感こそがアードマンの魅力ということ)
以来、アードマンスタジオでは、指紋はあえて消さないようにしている。んだとか。



これって人も同じなんじゃないかなあ?と思います。

私たちは兎角
人に認めてもらいたくて、自分の欠点を消そうと頑張ったり
人に受け入れて欲しくて、自分の足りないところを必死で探して埋めようとしたり
してしまうけれど。

実は周りの人は、案外あなたのそんな欠点を愛しているのかもしれません。
いや、むしろ、あなたが欠点と思っている部分こそ、魅力を感じて愛しているのかもしれない。

自分の欠け、歪み、傷。
それらは人から見たら、個性であり、味であり、あなたの生きてきた証であり、あなたをあなた足らしめる固有のオリジナリティ…なのかもしれない。
そう思います。



だから欠けた自分を許してあげて欲しいし、傷も愛してあげて欲しいと思います。
必死で消そうとしなくても、きっとあなたはそのままで素晴らしいはずだから。


あなたは今
手垢にまみれ、泥芥にまみれて、汚れ、穢れ、転んで傷だらけになっているかもしれない。
でもさ、絶対それを、その無様で不格好で情けない生き様を
だからこそ、辛酸を舐めてその味を知っている君だからこそ
「かっこいい!!」
と思っている人間がいると思うんだ。

だからさ、傷や欠けを恥じないで欲しいんだ。

だから、私も自信なんて無いけど
転がっていこうぜ!と思う。





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