見出し画像

私と父。(6)

こんにちは。
読んでくださりありがとうございます。


夜中に起きるを繰り返す

父の体は、細い体がより一層ほっそりとしていました。
父は、夜中にたびたびトイレに起きていました。
本人曰く大量の汗をかいているようで、着替えを繰り返していました。
日によっては、夜中にシャワーも入ることも。
確認すると汗をかいている気配はなかったのですが、過敏になっているようでした。
その度に、私と母も目が覚めるので、私達も慢性的な睡眠不足になっていました。
母の疲労がたまっているのを感じていました。

怒りっぽくなる

ありがたいことに、近所に住む父の兄姉がよく様子を見に来てくれます。
育てた野菜や、食べ物を持参して。
談笑をしながら、一緒にごはんを食べることもありました。
父は、兄姉からとてもかわいがられていました。

父は、怒りっぽくもなりました。
治療の待ち時間や母からの言葉にイライラが爆発。
治療中に採血がうまくいかずに、何度もやり直しがあったときは、相当痛かったようで、帰宅してからもプンスカしていました。
手にあざのような痕も残ってしまっていました。
それもあってか、この出来事だけは父の記憶にも強く残っていたようです。

母も生活に慣れてきたのか、落ち着きを取り戻したようで、笑うことも増えました。
外出して、リフレッシュできるようになったことも大きかったのかもしれません。

家族旅行に行く

父と母と姉と4人で旅行に行く計画をたてました。
母がかねてから行きたかった出雲旅行。主に姉がプランニングしてくれたため、指定したところに向かうだけでよかった。

早朝に実家を出発し、高速に乗り、姉と合流するSAへ向かう。
この時私は車をこすって母にこっぴどく怒られるのですが、父は、「ま、仕方ない」といってさらっと流してくれた言葉で救われた気持ちになりました。

移動中は基本的に寝ている父でしたが、歩いたり、お菓子を食べたりは問題なくこなすことができました。
手がとても冷たいという話題になり、父と母が手をつなぐ光景を見たことで、安堵とともにほほえましく思えました。
母も気分転換ができ、すこぶる機嫌がよさそうでした。

1日目は大山ふもと近くのペンションで宿泊。
ペンションはお風呂を貸し切りにでき、夕飯はフレンチのコース料理でおなか一杯に食べました。
夜も父が一度トイレに起きる程度でゆっくりと休むことができました。
翌朝、天気は気持ちいいくらいの快晴。
そして鳥のさえずりが朝ごはんの時に聞こえてくるとても快適な朝。
すがすがしいも堂々たる大山を背に、次の観光地へ向かうことになる。

2日目は美保神社のすぐ近くで宿泊。
夕ご飯は蟹料理や魚料理が盛りだくさん。
翌朝境港、松山城で観光を終え帰路に向かいました。
少しでも父の記憶に残っていればいいなと願いながら…


介護サービスについて考える

病院からのススメもあり、介護保険を利用して介護サービスの申請をしました。
ただ、当時、介護が必要なケースというのはほぼありませんでした。
食べる、トイレ、お風呂という日常生活は問題なく自力で可能。
今後のためにということで申請したものの、最後まで利用することはありませんでした。


治療の効果

投薬治療は順調に進み、治療開始時は腫瘍が少しずつ小さくなっていきましが、治療中頃になると進行がとまっている状態でした。
母と父には、腫瘍がなくなることを「◯」とするのではなく、進行が進んでいないことを「◯」としよう。
と、意識の転換を繰り返し伝えていました。

治療のために、高速道路に乗って1時間と少しの父とのドライブ。
往復寝てしまうこともあれば、調子のいいときは起きて私と話することもありました。
その、通院に使っていた車が、ある日壊れてしまった。
通院中の出来事ではないのが本当によかった。
乗り始めてから年数も経っていたこともあり乗り換えることに。
車が来るまでは、父とは電車で通院することになる。
父と「たまには電車でいくのもいいね」と言いながら
帰りは電車までの時間つぶしに喫茶店でお茶をするのである。

投薬治療が終了。
別の種類の投薬を行うにあたり、父の体調も安定していたので、近くの病院へ転院することになりました。
副反応はほとんどないようでしたが、残念ながら腫瘍へのアプローチも効果はありませんでした。


春が来る

冬が終わりを迎えると同時に、父の体調もいいように思えました。

天気もいいので、外仕事をしようと父を誘い、冬じまいの準備と、庭の除草、川の掃除を少しずつすることとなる。
草刈りはあまり好きではない様子であったが、私が一人でしているのを見て、一緒にするといって参加してくれました。
きれいになると気持ちがすっきりするのか、達成感に満たされているようでした。
気温も上がってきたこと、体力もついてきたのか、あまり昼寝をしなくなった。
寝てばかりいた父がここまで回復したことに嬉しく思うとともに、その姿を見て、父と過ごした時間を噛み締めていました。


私と父(7)へつづく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?