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ハイブリッド・モンテカルロEAにDynamicモードを導入

この記事では、ナンピン・モンテカルロ戦略とアンチ・モンテカルロ戦略を組み合わせて開発したハイブリッド・モンテカルロEAについて、ヒストリカル・ボラティリティを利用してよりパフォーマンスを向上させる方法についてご紹介します。
このDynamicモードを搭載したHMC-EAも、現在は無料でダウンロード可能にしていますので、是非ご自身でもバックテスト等を試してみてください。


ハイブリッド・モンテカルロEA

以下の記事で紹介しているのが「Hybrid Monte Carlo EA(HMC-EA)」です。

このモデルにおいては、基準幅を5.0で固定したバックテスト結果を公開しています。しかし、様々なパラメータでバックテストを繰り返してみるとわかりますが、タイミングによっては、5.0よりも最適な基準幅というのが存在します。この値幅をどのように設定するかというのは、ナンピン・マーチンタイプ、さらにはその発展系のEAにとって重要なポイントです。

3ヶ月ごとのバックテスト結果比較

まずは、HMC-EAについて基準幅を3.0、5.0、8.0の3つのパターンで考えて、3ヶ月ごとのバックテスト結果をグラフで比較してみましょう。

2023年1月〜2023年3月

基準幅 3.0が安定的に利益を積み重ねていることがわかります。

2023年1月〜2023年3月

2023年4月〜2023年6月

こちらも基準幅 3.0がスタートダッシュを決め、中盤以降で残高が減少傾向ですが、最後までトップを維持します。

2023年4月〜2023年6月

2023年7月〜2023年9月

こちら基準幅 3.0のパフォーマンスが悪く、最後の最後で猛烈な追い上げを見せますが、基準幅 5.0が中盤以降のリードを維持して逃げ切ります。

2023年7月〜2023年9月

2023年10月〜2023年12月

ここでは、基準幅 8.0が独走状態に入ります。基準幅 3.0は、ほとんど良いところがなくなってしまいます。

2023年10月〜2023年12月

2024年1月〜2024年3月

最後も基準幅 8.0がトップでフィニッシュです。

2024年1月〜2024年3月

3ヶ月ごとの最適化

以上を整理すると、それぞれの期間におけるパフォーマンス(残高)を最大化させるために最適な基準幅は以下の通りとなります。

  • 2023年1月〜3月:基準幅 3.0

  • 2023年4月〜6月:基準幅 3.0

  • 2023年7月〜9月:基準幅 5.0

  • 2023年10月〜12月:基準幅 8.0

  • 2024年1月〜3月:基準幅 8.0

これを適用したバックテスト結果を、基準幅 5.0で固定した場合と比較してみます。

3ヶ月ごとの最適化

以上の結果からわかることを整理します。
基準幅 5.0は全期間においてパフォーマンスが概ね良好である一方で、期間によっては基準幅 3.0や基準幅 8.0の方が上回ることがあります。
これは、期間によって最適な基準幅が異なるため、基準幅を固定するよりも変動させることでパフォーマンスを向上させる可能性があることを示唆しています。

Dynamicモードの開発

以上の検討を踏まえて、HMC-EAのDynamicモードを開発することにしました。Dynamic(動的)というのはStatic(静的)の反対です。既存の基準幅を固定に設定するものをStaticモードと呼び、基準幅を状況に応じて変動させるタイプをDynamicモードと呼ぶことにします。

とは言っても、上記のように既に結果が出ているものから最適な基準幅を設定するということは実際のEAでは実装できません。そこで、少しでもその時の状況を捉えられるようにヒストリカル・ボラティリティを利用します。ヒストリカル・ボラティリティは過去の価格変動を数値化したもので、市場の動きが大きい時期には基準幅を広げ、市場が落ち着いている時期には基準幅を狭めることで、より効果的なトレードが可能になります。このアプローチにより、市場の変動に柔軟に対応することができ、全体的なパフォーマンスの向上が期待できます。

バックテスト結果

HMC-EAにDynamicモードを適用後のバックテスト結果です。

HMC_Dynamic バックテスト結果
HMC_Dynamic 損益グラフ

Staticモード(既存のHMC-EA)と結果を比較してみると以下の通りです。

Dynamic vs Static

基準幅をどのように動的に変化させているかはひとまず非公開です。いずれ記事にまとめるかもしれませんが、EAを無料ダウンロード可能にしていますので、ご自由にお試しください。

以下の記事でダウンロード可能なHMC-EAについて、モード選択を追加してアップデートしています。

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