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岩手大「イーハトーブ共創コース」のペーサーになりました

岩手大学が今年度、創設した「イーハトーヴ協創コース」の社会人サポーター(ペーサー)を務めることになりました。このコースの理念に強く共感してその上でペーサーとしてかかわるチャンスをいただいたので、個人的に思うところを書いておきたいと思います。
(以下は普段書きなれた文体で!)

岩手大学の客員准教授で、このコースの創設にも関わった高橋和氣くんからこのコースについて初めて説明を受けたのは今年2月。

このコースのコンセプトがOECDのeducation2030というプロジェクトに基づいていて、このeducation2030が東日本大震災後の東北で生まれた「OECD東北スクール・プロジェクト」がきっかけで誕生したという点にまず興味を惹かれた。

Education2030は、ざっくり言うと、これからのますます不確実性が高まるいわゆるVUCAの時代を生き抜くために必要な素養は何かをめぐり議論したもの。
その最終報告書には

 「ラーニング・コンパス」の中には、生徒たちに必要な力として「変革をもたらすコンピテンシー(transformative competencies)」を置いています。そこには「新たな価値を創造する力(creating new value)」「対立やジレンマに対処する力(reconciling tensions and dilemmas)」「責任ある行動をとる力(taking responsibility)」の3つが重要な力として定義されています。

コアネット教育総合研究所サイト https://core-net.net/keywords/kw010/

と書かれている。

個人的には、2番目の「対立やジレンマに対処する力」が明記されている点がとても重要だと思う。
ゼロからイチを作る、とか、変革を起こすというと、構想とか企画という側面がフォーカスされがちだが、起業や事業立ち上げについて取材していると、ジレンマを抱えながら進み続ける力、清濁併せ飲みながら理想に近づいていく力がなければ、新たなものごとを起こし、社会実装することは難しいのだと実感するからだ。
これがきちんと言語化されてコンピテンシーとして明記するということは、ありそうであまりなかったように思う。

このイーハトーヴ共創コースは全国の1年生の希望者が受講できるという。当初3クラスで定員150人と聞いていたが、ふたを開けてみたら200人が受講する!という。

何となくの印象として、こういった取り組みは、見ようによっては起業家、ソーシャルベンチャー、スタートアップの育成といったふうに見えるかもしれないけれど、そういうゴールを見据えたプログラムではない。(私も上↑で起業を例に挙げてしまったところだが)

職業選択として何か決まった選択肢を奨励するということではなく、この不確実性の高まる世の中で、さらには人口減少だとか気候変動だとか災害だとか、次々に問題が発生する中で、今の若い世代がこの先70年80年と生きてくために、社会課題と向き合うために、必要な素養を身につけるためのコースだと私は理解した。

私は「素養」という言葉で捉えているが、Education2030では「コンピテンシー」=行動特性と説明されていて、それは知識、態度、スキル、そして価値観だとされる。

このコースではそれを3人の教員による講義やペーサーとの対話を通じて育んでいくという。

これまで私自身もキャリアコンサルタントとして、また地域で働く社会人として、このVUCAの時代を生きるために必要な素養とは何だろうか?ということは常に考えてはいるが、それを体系的に学べるコースというのは画期的だと思う。
それが東日本大震災を経験した岩手から生まれるということはとても感慨深いし、その意味は大きい。

私自身も学生との対話を通して、自分自身のウェルビーイングとは何なのか、またそれが社会や世界とどう接続していくのかということを考えたいと思う。
ウェルビーイングについて触れないで書き終えてしまったが、最近の個人的ホットなトピックなので、また別の投稿で。

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