自殺は「逃げ」ではないし、うつは「弱さ」ではない。

トランスジェンダーが、その他多くの人たちよりも、自殺リスクとうつ病罹患率が高いということを、どれくらいの人たちが知っているんだろうと思う。ジェンダー・セクシュアリティの問題に限らず、あらゆる自殺・うつは、その人の弱さではなくて、社会の無理解、不寛容と排除が生んだもので、あらゆるデータが示すように、変化と人と違うことを過度に恐れる異常な日本社会で、どれくらいの人たちが痛みと苦しみを抱えているんだろうと思う。LGBT法をきっかけに、ジェンダー・セクシュアリティをめぐるバックラッシュが活発化していて、それは「女性の恐怖不安」「女性の安心安全」という名目を強調しながらトランスジェンダーへの脅威を煽ってるけど、傷つく人たちが存在することが見えず、その無知と無理解による差別発言が平然と展開されることが本当に悲しい。

私が昔うつになって休職したときに、「逃げる」「弱いから」という表現を使ってきた日本人の知人たちに対して、ヨーロッパの友人たちは「自由になる」「合わないだけ」っていう表現をしたんだけど、日本以外の国に住んで、非日本人の友人がいて良かったと心から思う数多くの経験の一つ。

そして、自殺も、なぜか、「逃げ」と言われるけど、そうじゃない。無理解、不寛容と排除を好む社会が、その社会に適合できない人たちを死に追いやったというのが正しい。自殺させてしまったこと、自殺という選択肢かない社会にしてしまっていることに、私たちは向き合って、反省して、変えていくために一つずつ行動していかないといけない。

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