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キャリアも子育ても諦めたくない私たちへ

今年度、私の部署に異動してきた同期が今日、泣いた。
彼女は、私の数個年上で、結婚後ほどなくして子どもを授かり、
今回は2度目の育休明けだ。芯が強く、でも柔和で天真爛漫な人だ。

正直なことを言えば、同期といえど、産休期間の方が長いため親交も深くはなく、異動内示を見た時は複雑だった。

私も彼女も職場恋愛で結婚した。どちらも年下夫。
似た境遇だったからこそ、羨ましくもあった。
一人目の時は、妊娠、出産報告をしてくれた。
二人目の時は、人づてでそれを知った。
結婚して数年が経ちながらも、日々仕事で駆けずり回り、
膨らむ気配のない私の腹部に対する彼女なりの配慮だと思っている。
トントン拍子で、結婚、子ども、マイホームと一般的な理想形を築く彼女と、
結婚したものの子は授かれず、いつまでも仕事に振り回され疲弊している私とでは、
わかり合える話題などないと卑屈に捉えていたのも事実だ。

就職して10年目になった。
この職場で、結婚していながら産休に入らずこの年齢まで働いている人を見たことがない。
公務員。育休は最大3年取れる。人によっては9年間仕事を休んでいた先輩もいる。
その福利厚生を見越して、転職してくる女性も多い。
私もその恩恵を授かるつもりでいた。人生設計上では、今頃育休中だった。
子どもを授かるという夢を一旦横において、今は仕事やキャリア形成のことを考え、夫と日々切磋琢磨している。
その恩恵を授かれないのなら、こんなに神経をすり減らして働いている意味がないとも思っている。SHElikesで学び始めたきっかけの1つでもある。

私は、当たり前のように「実は・・・」と気恥ずかしそうに腹部を愛で、報告してくる同僚たちが心底羨ましかった。
長期休みが取れる、時短勤務もできる、子に何かあれば仕事を抜け出せる。
それはメリットだと思っていた。優遇だと思っていた。
同じ女性でありながら、不公平だと思っていた。
私も休みたい、心の休まる時間がほしい。どうして私だけ。

仕事中に彼女宛の連絡が夫から来た。
電話に出た彼女の声のトーンは徐々に落ち、
電話を切った瞬間、頭を掻きむしった。
いつも目尻がきゅっと上がり、穏やかな表情が突如消え、
「子どもがコロナになってしまった」と声を震わせながら上司に報告した。濃厚接触者、出勤停止。堪えきれず彼女は泣いた。

私は、子が心配で取り乱しているのだと思った。

「仕事をやっと覚えてきて、少しずつみんなの力になれてきていると思っていた頃だったのに悔しい。どうして。本当に悔しい。」と彼女は言った。

彼女は、私が羨んでいたことに全く甘んじていなかった。
深く、反省した。
彼女がそんなに肩身を狭くして懸命に仕事に食らいつこうとしていたとは思いもしなかったからだ。
なぜだか私も目頭が熱くなって、でも、その悩みに経験のない私は寄り添うこともできず、
チョコレートを1つ、涙を乱暴に拭い、キーボードを叩く震えた彼女の手に持たせることしかできなかった。

私には、その悔しさがわからない。
でも、キャリアと子育てを同じ土俵に上げて、天秤にかけなければならない職場に、社会に、日本の現実を目の当たりにした気がして、胸が痛い。
この痛みを放っておいてはいけないと思い、夕飯の準備もせず猛スピードでこれを書いている。

きっと私もこれからその道をゆく。
どちらも諦めたくないから、私は、私と夫と未来の我が子のために
今を懸命に生きる。
道を切り開いて、悔しいと泣く彼女のような女性が一人でもいなくなって欲しいと願うばかりである。

彼女が復帰したら、全力で仕事を教え込もう。
そして、子どもちゃんたちのために、今度はチョコレートを3つあげよう。

#つぶやき #キャリア #仕事のこと  #SHElikes #子育て

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