遠藤さや

小説を書いたり、短歌書いたりしてる人。本の紹介も不定期でやっています。

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  • ちまちま書いてる小説

    書くのは好きだが、読み返すと小っ恥ずかしいのが多い。

  • 本関係のやつ

    いろんな人から見てもらえてるやつ。また色々書いて追加していきたい。

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ええ感じに続け カッテェッセイ

私は死ぬまでにやりたいことはそこそこある。世界一周クルーズも、札束ビンタもやってみたい。そんな私のやりたいことリストの一つにあるのが、「文芸誌にエッセイ載っけてみたい」である。 まあ、壮大な感じで話すのはここら辺までにしてこんにちは、遠藤さやです。 「将来的に文芸誌にエッセイを載せたい私が勝手に月一くらいで、そこそこの文字量のエッセイ仕上げて練習したろ」ってのをやります。よかったらみてって下さい。 冷静に考えて、文章全然書けない奴にそんな依頼は舞い込まないし。「やるだけ

    • 書いて書いて ショートショート

      下校中の小学生だろうか、外から楽しそうな声が聞こえた。 「続きしますか」私はさっき入れたコーヒー片手に、スリープモードになっていたパソコンを立ち上げる。明後日締切のエッセイがまだ完成していない。 大きく伸びをして気合を入れた後、私はキーボードに手を置いた。 文字を書いていると、雑念も、深くにある思考も白い液晶に溶け込んでいくような気がする。思考たちは言語化によって姿が固まる。でもそれだけでは不十分で、それを取り巻く複雑なニュアンスを、ピッタリと伝える言葉を求めて、何度もタイ

      • 固まってそのままに ショートショート

        カチ、プシュー どこからか聞こえた音で、まどろんでいた僕の意識が少しつづ像を帯び始める。 ここはどこだ。目や体はまだ上手く動かない。 頭の中が整理できないないでいると、腕にチクっと何かが刺さる。そこからまた僕の意識は深く深くへと落ちていく。 「目が覚めましたか?」次に目が覚めると僕は病室にいた。医者からは僕が難病にかかっていたこと。両親が難病の治療薬が開発されるまで、僕をコールドスリープさせたことを機械的に話された。 「あの、じゃあ僕の父と母は」 「数年前に亡くなられまし

        • 最低限の傷で ショートショート

          昔から、人と上手く馴染めなかった。人の言葉を馬鹿正直に受け取っては、何度も痛い目を見た。 人付き合いが苦手、という免罪符の元、中学高校は平和に暮らしてきたが、その間に人間関係を構築するすべを忘れた。 社会から省かれることは怖くない。でも、それに伴う不都合を処理するすべを私は知らない。 大学に入ってからは、この状況を脱却しようとコミュニケーションに関するいろんな本を読み、積極的に人に話しかけた。 でも、結局は真面目な人という印象からは脱却できなかった。 話し相手は、賢い人都

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        記事

          文化祭の終わりに ショートショート

          「文化祭、終わっちゃうね」私は廊下を一緒に歩く静香に声をかける。 「あと、このゴミ運んだらね」 閉会式も1時間前に終わって、校舎の中に人はほどんどいない。 2人が持つゴミ袋には、教室を飾りつけるために買った、紙でできた無数の花が詰まっている。 「2人でやりきったね」静香の口からポロッと溢れる。そう、2人でやりきったのだ。 「来週からは通常授業かぁ」 「身はいらないよね」私達はここ一ヶ月の生活を思い出していた。 放課後、何回も何回も話し合って、文化祭直前には、果てしない量の作

          文化祭の終わりに ショートショート

          音楽を楽しんで ショートショート

          「これ、ください」ある春の日、僕は高校生のなけなしのお小遣いと共に、楽器屋に来ていた。 目の前にはツヤツヤに磨かれたギターがある。 音楽が好きだった。高校受験もお気に入りのプレイリストと共に、乗り越えた。ライブも何回も行って、その度に何度も涙を流した。 でも、同じくらい音楽は自分からは遠いものだった。 中学の時、入学してすぐは吹奏楽部に入るつもりでいた。でも、部活紹介で奏でられた美しい音楽を聴くうちに、自分は場違いのように思えて、結局テニスサークルに入った。 才能の有無

          音楽を楽しんで ショートショート

          開けて ショートショート

          雨の降るベランダに、黄色いレインコートが浮いている。 足のあたりには何もなく、顔周りは黒く影を落としている。 周りには何も引っかかるモノはない。 なのに、空中で静止している。 ゆっくり腕の辺りの布が上がり、裾が下される。それが何回もゆっくり繰り返す。 窓にコツン、コツンとレインコートの裾が当たって音が鳴る。 男の息は少しづつ早くなる。これは多分、本物だ。 こんな場所に1人ではいられない。 男は財布だけ持って、雨に濡れながら家を飛び出す。 外からベランダを見る余裕はなかっ

          開けて ショートショート

          いってらっしゃい ショートショート

          「うわー苦」 大学生になったことだし、もうそろそろ飲めると思っていたが、あまりの苦さにリビングの机で悶絶する。 「まだコーヒー飲めないのか?」キッチンカウンター越しにパパが煽る。 「うっさいやい」 「案外まだまだお子ちゃまだな」 パパは自分の分のコーヒを淹れながら、ニヤニヤ笑っていた。 数年前まで、パパはよく家でコーヒーを淹れていた。 最近は忙しくって全然できてなかったけど、なんとなく我が家の習慣な気がしている。 「コーヒーで服汚すなよ」父さんもワイシャツ着てるじゃないか、

          いってらっしゃい ショートショート

          長い長い待ち合わせ ショートショート

          唯一の明かりである鉄格子からの太陽光が、雲によって消える。この暗さだとじきに雨が降りそうだ。 私は読みかけの本を閉じ、部屋の隅に向かう。昨日、この部屋の隅に蜘蛛の巣があるのを見つけた。 「蜘蛛さん、そこは濡れちゃいますよ」私は蜘蛛に手を伸ばす。この雨にあたっても死にはしないだろうが、弱るのは間違いない。 蜘蛛はちょこちょことした小さな足で、私の指に絡まってきた。 いつか私の大切な人が、蜘蛛を助けると地獄に堕ちた時、糸を垂らして天国まで連れて行ってくれる、なんて言っていた。

          長い長い待ち合わせ ショートショート

          銀杏と桜 ショートショート

          「この木に桜回線引かない?」 庭に咲く銀杏の木は黄色く色づいていて、秋の淡い空によく合っていた。 妻が言っているのは、最近話題の桜回線のことだ。なんでも回線契約をして、コードを木に差し込むと、年中その木に桜が咲くようになるらしい。 「桜回線はいらないんじゃない?」 「えー、せっかく中古の家買うのに」 妻は勿体無いと言わんばかりの顔をする。 確かに年中桜の木になったら綺麗だろうが、同棲先から引っ越すのにも、家のメンテナンスにも、お金がかかる。 桜回線を引けるほどの余裕はない

          銀杏と桜 ショートショート

          肴のあては月 ショートショート

          娘から 「火星の遊園地に行きたい」と言われたのは、昨日のことだった。 まだ空きもあるだろうと 「GWにでも行こうか」 と言ってしまったが、不味かったかもしれない。 人も住んでいる火星行きのチケットは殆ど売り切れていて、なおかつ割高になっていた。 どうしたものかと、パソコンの前で項垂れてながら、サイトを見ていると一つだけかなり空きのあるものを見つけた。 「三日月行き 乗車時間1時間」 どうやら今年のGWは三日月と被っており、あまり人気がないようだ。 値段も非満月割として、かな

          肴のあては月 ショートショート

          当分恋の中 ショートショート

          ホワイトデーのお返しができるのは、勇気と度胸のあるわずかな人だけだと思う。 僕の学生鞄には、手作りのチョコレートが入っていた。 僕、黒野卓郎はクラスメイトからバレンタインにチョコを貰った。 「いつも世話になってるから」とそっけなく渡されたチョコは、この時期になるとスーパーで売られている箱に入った既製品のチョコで、いわゆる友チョコだと思う。 僕はそのクラスメイトのことが好きだ。 でも、友チョコということは『貴方とは恋愛関係ではない』ということである。 その当たり前の事実が

          当分恋の中 ショートショート

          愛しき心 ショートショート

          チピチピ♩チャパチャパ♪ 最近ネットでよく聞くあの音楽が、彩月のスマホから聞こえる。 「なあ、それ見るのやめろよ」 「なんで、いいじゃん」 今は学校のお昼休憩の時間で、彩月はツナマヨおにぎりを食べている。 「あれでしょ、流行りに乗りたくなくて逆張りしてるんでしょ」若干的を得ていて気まずくなり、俺は弁当のブロッコリーを食べて茶を濁す。 数秒の沈黙を肯定と捉えた彩月はさらに言葉を畳み掛けた。 「さすが、とっても賢い葵様は下々の物と感性が違いますね」 「いや、そんなんじゃない

          愛しき心 ショートショート

          ワンショット ショートショート

          「おい、クソ女!何処にいる!」追手が来るとは思っていたが想定以上に早い。 幸い、コンテナが迷路のようになって互いに居場所がわかっていない。コンテナターミナルまでリスクを負って逃げてきたのは、間違いではなかった。 3分以内に仕事を終わらせる。そんな特性から私はレトルトと呼ばれていた。 ただ、今日は少し違った。 部屋に侵入し、ターゲットに銃口を向けるとそこには、頬を赤くはらす子供がいた。 聞けば、マフィアの娘として、両親から教育を受けたらしい。体には幾つか痛々しいあざがあった

          ワンショット ショートショート

          むっちゃ遅いですが、寝かせていたTwitterアカウントを開きました。 交流手段として有効活用したいという思い 私のnoteアカウントから飛べる(はず)

          むっちゃ遅いですが、寝かせていたTwitterアカウントを開きました。 交流手段として有効活用したいという思い 私のnoteアカウントから飛べる(はず)

          いつかの冒険 毎週ショートショート

          ある夏の日、僕は友達と洞窟に来ていた。理由は単純冒険をするためだ。 「ねえ、本当に行くの?」薄暗く湿り気のあるその空間は、僕たちの不安を煽る。 「行くぞ」友達が懐中電灯を前に照らしてそう言った。足は少し震えてた。 覚悟を決めて入った洞窟はそこまで大きくなく、教室の半分くらいの大きさだった。なにかないかと洞窟をうろうろしていると、不意に友達が肩を叩いた。 「おい、これ見ろよ」 「ただの壁じゃん」 「よく見ろって」照らされた岩壁をよく見ると、うすく白い線が書かれているのに気がつ

          いつかの冒険 毎週ショートショート