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永久欠番の貴方へ

 趣味のひとつが料理でもあります。
 そして食べ歩きというのは、実はレパートリー探しの手段でもあります。美味しい一皿に出会えるとそれを自宅で再現して、自らのメニューに加えていくのですね。
 ですが。
 再現には厳しい料理群があります。

 現在の私は離島暮らしなので、とかくスパイス類や洋風野菜には苦労します。セロリやパプリカがなかなかのお値段で、しかもいつもあるわけではないです。
 特に魚介類に苦労します。
 海老、烏賊、浅利、牡蠣の入荷も月に5回もあればいいでしょうか。離島には魚屋さんがなくて、漁協で仕込むか、自分で釣るか、漁師から貰うかの三択に限られます。

 まあ離島の事情は別に置きまして。
 確実に入手し難いのが、ジビエ肉ですね。
 害獣駆除された獣を肉にするまでが大変です。そのためのコストも馬鹿にはならない筈です。そしてそれを自宅のまな板に乗せるには心理的なハードルがあります。
 ここで私の記憶ながら、ジビエ肉での美味しいお店の紹介です。ジビエにおける永久欠番としておススメします。

そよ風 猪カレー

 佐賀の三瀬周辺においては、猪を古来から山鯨と呼んで食肉にしていました。それで猟期の期間に仕留めた肉を冷凍販売しています。割と入手は可能ですが、まあ自宅でやろうとは思えませんね。
 それでこのお店で頂きます。
 場所は佐賀県神埼市。高取山公園という小さなお子さんの公園デビューにちょうどいい場所です。そこには取り立て野菜のコーナーもあり、奥にはレストランがありまして、天気がいいと屋外で食べると気持ちいいです。
 
 猪カレー。実はコレ、とっても美味しいし。
 こんなに入れてくれるの、とこちらが不安になるくらい猪肉が入っています。まあポークとの違いはあんまり感じないのですが。

彩座 馬刺し丼

 熊本には温泉地が沢山あります。
 その中でも灯篭祭りで有名なのが山鹿温泉。
 ここには江戸時代の歌舞伎小屋の様式を現代に繋いでいる八千代座があります。創建は明治43年。
 ですが昭和40年代は老朽化が進み、朽ちかけていきました。
 その芝居小屋を老人会が主導して「瓦一枚運動」という募金活動で復興を果たし、国重要文化財にも指定されています。
 おそらくは歌舞伎役者の楽屋に出されていたんでしょうね。併設した彩座では、熊本名物の馬刺しが頂けます。
 入店するにはちょっと勇気が必要ですが。
 馬肉は口当たりが柔らかく美味しいのです。なぜか罪悪感がマシマシになるんですけどね。

Caféみなもと 鹿肉のボロネーゼ

 熊本の五木村という、秘境の村があります。
 羊腸のごとくうねる県道の傍を、急流の川辺川が流れていて、それはそれは絶景です。
 そのさらに奥へ奥へと林道を登ったさきにあるCaféです。
 途中で本当にそんなCaféがあるのかとカーナビに何度も問いただしたいような山裾にぽつんと可愛い店舗が見えてきます。
 ここは害獣駆除の鹿肉のハンバーグとかボロネーゼが頂けます。
 どちらも美味しい。
 お店の方とお話すると、「今週は2回も鹿を車で跳ねて」
 という問題発言が。
「大丈夫、大丈夫。普通に立って山に逃げていったから」
 いやいや。
 一週間に、二度も猫を跳ねることもそうそうないでしょうよ。
 それだけに生息数が多いし、夜間には街灯なんてありませんからね。

 我が離島にも山合いには猪や鹿狙いの罠が沢山あります。
 また11月ともなれば猟期に入るので、山歩きには目立つ色彩の服を着るように回覧板が回ります。
 昨年は友人宅で駆除された猪の牡丹鍋会が開かれたそうです。
 離島においても欠番にせず、今年はチャレンジしてみますね。
 
 

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