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空気が薄くなった。 灌木は既に見ない。 昨日までは平原を覆う草原があったが、今や岩陰…
相貌に見覚えがある。 脳裏の記憶と相結ぶものがある、その少女にだ。 カリシュマと呼ば…
その女性が纏う威光は、日輪の如きものだった。 これがタキシラ国を統べる女王かと思い、…
闇夜の地平線には、プシュヤ星宿が浮かんでいた。 イ・ソフタでの逗留は数日に抑えた。 …
適齢期というものがある。 恥ずかしながらの年齢を刻み、後悔の多い半生を振り返って、初…
イ・ソフタは天空の要害都市である。 ヒンディークシ山脈のレーへ峠を越えた圏谷に位置す…
曙の雲が七色にたなびいている。 光彩が時の経過で移ろう時間だ。 男は膝をついて嘆息していた。私もかなりの疲労を覚えていた。 「ようやく明けたか。小僧、あれは今晩もやってくるのか」 「わからないが、この三夜は続いていた」 「誰にかけられた呪だかわかっているか?」 「心当りがあり過ぎて、困る」 「だろうな。儂も問われれば、そう応えるだろう」 陰湿で過重な呪の意味は、価値である。この若者の死にはそれだけの報いがあるのだろう。無聊を慰める一端にはなりそうだ。長すぎる生の退屈ほ
「小僧、何を企んでいる」 無言の重圧がひしめいている。迂闊であった。遠巻きに囲まれてい…
これは興味深い。 私は待つことにした。 一応、錫杖棍は手元に置くことにした。 この…
中天に半月がかかっていた。 雨が近いのか、朧に霞を纏っている。 そのために星空が疎ら…