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恋愛掌話

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ふと気晴らしに恋愛小説を書いています。
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記事一覧

繭玉祀り 1

 私は存在していたのかしら。  記憶さえ曖昧な乳白色の闇に包まれている。  時間の流れでさ…

百舌
3日前
7

Showroom ♯腐れ縁だから

 アームチェアで膝を組んでいる。  イームズのシェルアームチェアで、座面は織地で肌触りが…

百舌
7日前
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郷愁のひと皿 3 ♯帰りたい場所

 早世した両親に代わってなのでしょうかね。  親戚でもないのに、40年余りも親しい家族がい…

百舌
11日前
22

郷愁のひと皿 2 ♯帰りたい場所

 早朝から峠を走る。  明治の空気が残るこの道に、愛車を連れていきたかった。  佐賀の鹿島…

百舌
12日前
22

郷愁のひと皿 1 ♯帰りたい場所

 法事のために島を出ます。  片道3時間弱は毎回、新作を書く時間に充てていて。ただし今日は…

百舌
13日前
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帰りたい場所、還りたい刻

 還暦という区切りまでもう少し。  生後すぐに母親を。  二十歳そこそこで父親を。  早く…

百舌
2週間前
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#君に届かない

 遊歩道はひび割れていた。  炎熱と風雪の痕跡だろう。  石段に走る隙間から、新芽の息吹が顔を出していた。  冬枯れの遊歩道を歩き続けて、汗ばんできている。歩を止めると吹き下ろす北風に意地悪を感じる。  夜景で有名なスポットで、恋人たちが願掛けに来る場所だ。  むしろ夜の方が賑やかかも知れない。都心から進出して来た洒落たバーガー店もとっくに閉店して、お知らせの貼り紙も色褪せている。  展望台からは、眼下に港町が見下ろせる。  深い入り江が故郷の港町を分断し、そのどこまでが海な

優しい天秤 I 痩せたガールの日常

 今月は厳しいな。  進行表をスマホで管理している。  もう銀杏の並木道に木枯らしが駆け抜…

百舌
1か月前
16

sepia colored

 不思議なことに。  別居離婚をして。  僅かな眠りを拾うように集めていて。  それでも朝…

百舌
1か月前
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如月より指折りて

 朝の匂いがまだしている。  鳥籠みたいに手狭な部屋に入り、手探りで灯りをつける。  頭上…

百舌
3か月前
7

シャッター

 シャッターが切られた。  素肌に僅かな電流がはしった気がする。  指先がフィルムを巻き上…

百舌
4か月前
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待ちぼうけ

 峠はもう雪で通れないかもね。  そう考えながら、湯気を立てる珈琲に視線を送る。  この辺…

百舌
4か月前
10

キャンドルサービス

 メイクルームに座る。  その瞬間を待ちわびたように、ウィッグを抱えたスタイリストが駆け…

百舌
4か月前
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舵を取るものよ

 クルマを貸してくれ。  不意にそんな電話が来て、私は仕事の手を止めた。 「ちょっと待って。今は手が離せないの。お昼にかけ直すから」 「了解」と言ってその電話がぷつりと切れた。    会社のデスクでは気まずいので。  バスケットを持って港公園にランチを取りにいく。オープンサンドと、ポットには珈琲を入れている。食後にスマホで連絡を入れるつもりだった。  夏が駆け抜けたビル群に、海からの涼風が届く季節になった。  やっと幌を降ろしてもいい季節になったな、と考えた瞬間に彼の思惑が透