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図星


その人は黒くて長い髪を後ろで束ねていた

顔には少しそばかすがあったように思う

それでいつも笑顔だった記憶しかない

保育園児のときにいた先生、保育士さん、当時は保母さん、その先生は結婚を期に仕事を辞めることになった

学区に幼稚園が無く保育園がその役割をはたしていて、ぼくは年長だったか年少だったか、六歳だったか五歳だったかそこまで細かいことはわからない

送別会のようなものをその先生の自宅で開くことになったのだと思う、ぼくは同じ仕事をしていた母に連れられてその場にいた

部屋は同僚の保育士ばかりで皆女の人だった。先生はぼくの隣の隣に座っていた

食事会の途中、その先生が何かを確認しようとしたのか体を前後させて、ぼくから見て彼女とは反対側にある台所を覗こうと、あるいは声をかけようとしていた。その動きに釣られてぼくも先生の方を見ながら同じように体を前後させると、その度に動きが重なってしまい、その度に先生と目を合わすことになった。

そこにいた他の誰かが

ブルーくん先生のこと好きだもんね

と笑って、他の人たちも頷きながら声を出して笑っていた

ぼくは咄嗟にうつむいてしまう
黙ってしまう

違う、とは言えなかった
図星をつかれたのだった

もう会えないのかと思うと寂しかった



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