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大菩薩 小金沢シンナシ沢右俣

 最初に結論からいうと、今回、探索したシンナシ沢右俣、大当たりでした。Co770〜Co1000までの連瀑帯は快適な滝といやらしい滝が入り混じり、とても興奮させられる良い沢です。

 11/23(木)勤労感謝の日、この日は初級講習の予備日だったが、11月の週末は好天が続き予備日は使わなかった。そこで塾長と話して、友の会の都合がつくメンバーで今年最後の沢に行くことになった。場所は大菩薩・小金沢シンナシ沢。はぁ?どこじゃい!と思ったそこのあなた、ここです。

シンナシ沢の名称は小金沢公園の案内板地図の記載に基づいています

 小金沢本谷を遡行する人はいっぱいいるけど、右岸枝沢の記録は全くない。ここは以前から塾長が探索したいと思っていた沢で、実は昨年同じ時期に来てみたのだが、右俣に入ってすぐの10m滝で(ちょっとオブザベした結果)敗退して、昨年は左俣を遡行した(左俣はたいして面白くない)。今年はまずその滝をリベンジして、その後に予想される連瀑帯を越えて右俣を探索する計画だ。 

 8:30頃大月駅に集合し、ふかしろ湖にある小金沢公園駐車場へ。沢仕度をして出発すると、わずか10分で入渓点へ。アプローチも最高。

シンナシ沢の入渓点。伏流で水はない。

 林道からシンナシ沢に出合うと、沢は伏流しておりしばらく水が出ない。赤いスリット堰堤を越えたあたりからチョロチョロ水が出始める。しばらくゴーロを歩くと、二俣に出合い、右俣に入ってすぐ昨年敗退した2段10mが現れる。相変わらず2段目が険悪だ。

右俣に入ってすぐ現れる、因縁の2段10m

 とりあえず1段目(4m)を全員フリーで登って2段目(6m)を迎える。今日のリードはWさん。右壁から取り付き、カムを決めてハーケンも打つ。ただ、中段以降が細かく一歩が出ない。時間がジリジリ過ぎる。Wさんの左足がパンプしてきたので一旦戻って私にバトンタッチ。代わってはみたものの、まー悪いので上部にもう一本ハーケンを打ってリスク軽減。ホールドは少なく、とにかく細かい。なんとかそれを拾ってクラックに足を突っ込み、なんやかんやしてクリア。Ⅳ-くらい?実にいやらしい滝。後続はごぼうで引き上げる。とりあえず昨年負けた滝はやっつけた。ちなみにここは両岸立っているので簡単に巻けません。

実にいやらしい2段目の6m。まじで細かい。

 地形図で見るとCo850〜900の間の等高線が詰まっており、ここに大滝があるのでは?と予想していたが、実際に訪れると5~10mの滝が連続する連瀑帯だった。快適な滝もあれば、いやらしい滝もある。世間ではそれを「良い沢」と呼ぶのだろう。

 トイ8m斜滝。ここはフリクションも効くので快適。フリーで登る。

トイ8m斜滝

 大菩薩の葛野川水系らしい、ナメと小滝が連続する渓相となる。

いかにも葛野川の支流っぽい渓相

 2段10m。Eさんのリード練習がてらロープを出したが、1段目6mは左のスタンスも豊富、難しくない。

快適な1段目。6mくらい。

 問題は2段目の4m。手がかり足がかり、なんもない。「これ、K合さん(※)でも無理だよー・・・」というWさんの悲鳴が聞こえる(※本日不在、うちの登攀番長のこと)。そんな時は人工登攀かなと思い、ハーケンを打ってA0で強引によじ登ろうとしてみたが、あっさり抜けてズリズリ落ちる。ここは沢歴60年、うちの塾長がリードしてハーケンを打ってあぶみを作り、ツルンツルンの滝を難なく越える。さすが60年の歴史はダテじゃない、恐れ入りました(ちなみに右から小巻きでも登れそうでした)。

支点を作る塾長
なんも手掛かりのない4m、上から。

 5m直瀑。水流は無理なので左に走るルンゼから登るが・・・

5m直瀑

 これもちょっと悪い。ルンゼの底はそんなにフリクションが効かず、Wさんもズルズル軽く落ちながらなんとか体を押し上げクリア。ルンゼの底ではなく、ルンゼの右にある小さいホールドを拾うといい。

悪いルンゼと戦うWさん

 その先の小滝を左の棚に乗って越えようとしたものの、落ち口が地味に悪いのでその上まで巻き上げられる。

降りれるっちゃ降りれるけど、リスクっちゃリスク。

 トイ7m、右壁は階段状で難しくない。Eさんリード練。

来年はあたしを引っ張ってください

 連瀑帯はこれで終了。この後は緩やかなナメが続き、最後の6m滝を迎える。

ナメとナメ小滝が続く
6m、最後の滝、フリーで。

 最後の滝を越えてしばらくすると水も枯れてゴーロのみとなる。これ以上進んでも何もなさそうなので、Co1050付近で計画より早く脱渓し、右岸尾根(シンナシ尾根)に乗る。これをそのまま降りても良さそうだが急な下りになりそうなので、そこから左俣へ下りて、さらにまた右岸尾根(大峰北尾根)に登り、これを使って林道まで降りる。この尾根は植林帯が付いているので、山仕事用に歩きやすく木が伐採され、目印も豊富にある。

登山道のごとく広く快適な尾根下り

 16:30小金沢公園駐車場到着。
 いやー、良い沢でした。短い連瀑帯の中に沢の面白さが凝縮された、当たり沢でした。今年最後の沢ということもあり、メンバーも大きな充実感が得られました。アプローチも良く、行程も短いので雨天時の転進先としても使いやすいと思います。
 ただ初級者中心のパーティにはおすすめできません。とくに2つある10m滝はどちらも上段がいやらしいので、深入沢に入るノリではちょっと厳しいかと。塾長とも話しましたが、この沢のグレードは2級上くらいです。

 シンナシ沢の報告、以上となります。
 拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

山行実施日:2023年11月23日(祝) 晴れ
メンバー:塾長、W辺、E口、S木(記)
山域:大菩薩
山行形態:沢登り
コースタイム:
小金沢公園P(9:10 )- シンナシ沢出合(9:21) - 二俣出合(9:42) - Co1060付近脱渓点(13:30) - シンナシ尾根Co1100付近(13:48) - シンナシ沢左俣Co1060付近(14:44) - 大峰北尾根Co1150付近(15:23) - 小金沢公園P(16:30)
地形図:七保


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