澤田 清佳

おやつの時間が好きです/食べもののこと/切手と文具のお店(https://hakobu…

澤田 清佳

おやつの時間が好きです/食べもののこと/切手と文具のお店(https://hakobunefumi.base.shop)/短歌の練習/illustration

マガジン

  • 菓子四季録

    • 25本

    菓子四季録は、菓子研究家とイラストレーターのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。 ひとつのお菓子の魅力を、ふたりそれぞれの視点から綴ります。お菓子のこと、四季のこと。綴った記録をどうぞご賞味ください。

最近の記事

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綺麗な小石を見つけました(比喩です)というnoteを書きたいと気づいた話

先日、はじめてのnoteを投稿した。投稿を自分なりに振り返ったので記録しておくことにした。 はじめての投稿はかっこつけた文章だった。一所懸命に形を整えた文章。ぐわぁぁ…(眼を覆う)という気持ちになった。まだまだまだまだいくらでも反省はあるけど今回書きたいのは反省文ではないので割愛。 文章を書くということ、とても難しかった。次は、形だけを整えるんじゃなくて、相手のいる文章を書きたいと思った。その相手は自分でもいいし、自分じゃなくてもいい。 そして今日、自分のなかでしっくり

    • 紫陽花 | 短歌

      雨の日の紫陽花が好きです。 雨に濡れた紫陽花は、水を含んだ絵の具みたい。 晴れの日には見られない鮮やかな色。 - - - 紫陽花の少し滲んだ青色は 雨の日にだけ溶け出す絵の具

      • ブルーベリーのためのタルト 〈菓子四季録 vol.12〉

        このタルトを食べたとき、ほっとした気持ちになった。ブルーベリーが自分の居場所を見つけたようで。 突然だが、わたしはブルーベリーに対してこんなことを思っている。〈ベリー類と呼ばれて苺と同じグループに入れられるとき、ブルーベリーは正直しっくりきていないのではないか〉ということ。 実の色は黒に近いような深い青紫色だし、表面に白い謎の粉があってツヤツヤしていないし(謎の粉ではなくブルームと言って、果実を守るために大切な粉なのだけど)、甘さはさりげない程度で、なかなか酸っぱいし。お

        • 悲しい日 | 短歌

          へとへとだった火曜。 でも薔薇を見たら綺麗で、 綺麗なものを綺麗と思う余白が 自分に残ってることにほっとした。 私が元気でも疲れてても、 嬉しくても悲しくても、 薔薇は知らんぷりして綺麗でいてくれるのがいい。 - - - 悲しみを一緒に嘆いたりせずに そばで冷たく咲いててね、薔薇

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        記事

          混雑 | 短歌

          はじめての文学フリマ。 人の多さに圧倒されました。 あと空間の熱気にも。 - - - にんげんがたくさんいるね、 にんげんの私がにんげんの君に言う

          混雑 | 短歌

          そらまめ | 短歌

          初夏。 母が送ってくれたそらまめを茹でた。 ぷくうっと膨らむ緑の豆たち。 台所で、鍋の中だけが別世界に見えた。 - - - そらまめは鍋の宇宙に茹でられて 破裂しそうな惑星の群れ

          そらまめ | 短歌

          すずらんの風景印、旅するポストカード

          そのポストカードを見つけたのは、連休明けの曇りと雨の火曜日、外出から帰宅した夕方のことだった。ポストカードはゆうパックの不在票と一緒に、郵便受けのなかで静かにわたしを待っていた。差出人に心当たりはある。 そっと取り出して目にしたとき、思わず、わぁと呟いた。すずらんのポストカードにすずらんの切手が貼られ、すずらんが描かれた〈鈴蘭郵便局〉の風景印が押されている! さらに驚いたのは、消印の日付だった。令和6年5月1日。5月1日はフランスで「すずらんの日」と呼ばれ、お世話になって

          すずらんの風景印、旅するポストカード

          ロイヤルホストで昼食を

          わくわくしながらロイヤルホストに行ってきた。 記憶が熱々なうちに記しておきたい。 ロイヤルホストに行く理由 そもそも今回、なぜロイヤルホストに行ったかというと、あるポッドキャストの影響だった。わたしの好きなポッドキャスト番組『味な副音声』のなかに、パーソナリティの平野紗季子さん(フードエッセイスト/フードディレクター)とゲストのイナダシュンスケさん(料理人/飲食店プロデューサー)が、ロイヤルホスト愛を語り合うという回がある。詳細はぜひ番組を聴いていただきたいが簡単にまとめ

          ロイヤルホストで昼食を

          春の空気みたいに軽やかな苺のお菓子 〈菓子四季録 vol.11〉

          可愛くて、軽やかで、春にぴったり。そんなお菓子のこと。 今月の菓子四季録でレシピをご紹介するのは「苺とミルキークリームのブッセ」。ブッセというお菓子は、丸い形のビスキュイ生地でクリームやジャムなどをサンドしたお菓子だ。洋風のどら焼きだと想像していただくと見た目がわかりやすいと思う。 フランス菓子のように見えるブッセだが、発祥地はフランスではなく日本ということなので(生み出したお店や菓子職人の公式な記録には辿り着けなかった)、洋菓子ではなく和菓子に分類されることもあるらしい

          春の空気みたいに軽やかな苺のお菓子 〈菓子四季録 vol.11〉

          きらきら光るガラスみたいなマリネを添えたババロア 〈菓子四季録 vol.10〉

          9種の柑橘でデザートを作ったらグラデーションが美しすぎて、小学2年生の頃の記憶まで蘇ってしまった。「色」に興味を持つことになった原体験の記憶。そんな美しいデザートのことを綴りたい。 3月の菓子四季録のメニューは柑橘のマリネとババロアにしよう、と本マガジンのレシピ担当である淳子先生が言った時、わたしはこの季節の柑橘たちに対して特別な印象は抱いておらず、頭に思い浮かぶのは「みかんの仲間がたくさんいる季節だなぁ」という漠然としたイメージだった。でも、春の気配がしつつもまだ少し肌寒

          きらきら光るガラスみたいなマリネを添えたババロア 〈菓子四季録 vol.10〉

          手紙を書くこと、大切な人を想うこと

          あなたにとって、手紙とはどんなものですか? こんな質問をもらって、すぐには言葉にならずしばらく経っていたけれど、ようやく言語化ができてきた。 わたしにとって、手紙を書くことは「大切な人を想うこと」だ。 手紙を書くとき、考えることがたくさんある。そして、時間もかかる。 どんなことを伝えたいか。どんな言葉を選ぶか。どんな風に始めるか。 どんな便箋に書こうか。どんな封筒で送ろうか。どんな切手を貼ろうか。 ペンの色は何色がいいかな。あの人にはこの色が似合うかも。 細いペンで

          手紙を書くこと、大切な人を想うこと

          SAVEURのケーキみたいになりたい

          去年の春、以前から気になっていたSAVEUR(サヴール)さんのバタークリームケーキ「ガトー・ア・ラ・クレーム」を食べた。 軽いけど濃厚で、ぱくぱく食べられちゃうけど満足感があって、飾り気ないけど一度見たら忘れない存在感を持っている。 多面性のような、静かな奥行きのような、人として目指したい魅力のあるケーキだった。こんな人になりたいと思った。 SAVEUR(サヴール) 東京都大田区田園調布2-51-1 最寄駅:田園調布駅

          SAVEURのケーキみたいになりたい

          ディズニーランドを思い出す柚子のスフレ 〈菓子四季録 vol.9〉

          スフレを食べて、ディズニーランドの”あれ”を思い出す。意外な共通点。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹介する「柚子のスフレ」は、スフレというお菓子をゆずでアレンジしたメニューである。 今回の記事を書くためにスフレを食べながら、わたしは「スフレと似ているもの」を見つけてしまった。それはディズニーランドに存在する、あるコンテンツ。答えをお伝えする前にスフレを食べる時の流れを実況するので、似ているものを推理してみてい

          ディズニーランドを思い出す柚子のスフレ 〈菓子四季録 vol.9〉

          大人になったから楽しみ方がわかったフルーツケーキ 〈菓子四季録 vol.8〉

          フルーツケーキ、お好きですか? わたしは苦手で、でも好きになりました。それはフルーツケーキの楽しみ方を知ったから。そんなお話。 noteでの連載「菓子四季録」では、毎月ひとつ、季節の素材を使ったレシピを紹介している。今回紹介する「ラム酒漬けフルーツのクグロフケーキ」は、簡単にいえばクグロフ型で焼いたフルーツケーキだ。クグロフ型、という言葉を初めて耳にする方に形状を説明をすると、ドーナツ型やシフォンケーキ型のように中央に穴が空いており、焼き上がりの背の高さでもある深さは比較的

          大人になったから楽しみ方がわかったフルーツケーキ 〈菓子四季録 vol.8〉

          菓子四季録について

          菓子四季録 菓子四季録は、菓子研究家とイラストレーターのふたりが毎月ひとつ、季節の素材を使ったお菓子のレシピを紹介する連載です。レシピ記事でありフードエッセイでもあり、ひとつのお菓子の魅力を、ふたりそれぞれの視点から綴ります。 ひとつのお菓子に対して、記事がふたつ存在します。片方だけでも完結するようになっていますが、両方の記事を読んでいただくと、より深く味わっていただけると思います。ふたりとも同じお菓子を食べているはずなのに、そこにはまったく違う世界が現れます。どうぞ双方

          菓子四季録について

          優雅にソファに座る洋梨のケーキ 〈菓子四季録 vol.7〉

          「境界線」と「品格」。これが今回のケーキを食べて、わたしの頭に浮かんだキーワードだ。 (1)境界線について 今回レシピを紹介する「洋梨のアーモンドケーキ」は、アーモンドパウダーとココアが入ったしっとりタイプのバターケーキ生地に、カットした洋梨を焼き込んだお菓子だ。 この洋梨のケーキに、クリームソーダとの思いがけない共通点を見つけた。それが「境界線」だ。そして第三の食感。食材と食材の間の境界線に、特別な食感が生まれている。 クリームソーダのアイスクリームがグラスの水面に

          優雅にソファに座る洋梨のケーキ 〈菓子四季録 vol.7〉