第41回開示請求 錦秀会「阪和住吉総合病院」は、なぜ大阪府第3のコロナ専門病院になったのか

9月30日から、錦秀会の「阪和住吉総合病院」が大阪府の第3のコロナ総合病院として稼働しています。


第3のコロナ専門病院を設けることについて、大阪府・市の首長囲み/定例会見で、具体的な言及が初めてあったのは8月24日の松井市長の囲み会見。
そして、阪和住吉総合病院が第3のコロナ専門病院となることが正式に発表されたのは、9月7日の松井市長の囲み会見。

・どのようなやりとりがありこの病院をコロナ専門病院とすることになったのか(たとえば、現時点の入院受け入れ病院に声をかけて、良い返事があったこの病院におねがいをすることになった、私立病院協会に相談した)
・それを実現するために、大阪府や大阪市とどのようなやりとりが行なわれたのか
を知りたく、この正式に市長から発表された情報を以って、大阪府と大阪市に、文書を請求しました。

ご開示いただいた文書がこちら。
(なお、全体を通し、黄緑色のマーキングは、全てこちらで行なったものです)


■8月27日 錦秀会と大阪府の打ち合わせ記録

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錦秀会は、住吉総合病院をコロナ専門病院化するのに際して、年間45億円の要求をしたのですね。


■8月31日付 『阪和住吉総合病院のコロナ専用化にかかる論点とその整理について』および別紙

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■9月1日付『阪和住吉総合病院のコロナ専用化にかかる論点とその整理について』

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■9月3日確認事項(大阪府/大阪市)
1つめが府から、2つめは市から開示いただいた文書。
大阪府が作成した文書を、大阪市がタイトルを変更して市の文書としているため、本文は両文書とも同じです。

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大阪府が、各種補助制度により行なう支援額は、最大で32.6億円
大阪市はそれとは別に、受入れ病床協力金(病床数55床 ×1,000 万円:3か月単位)を準用して12か月単位の支援。
あわせると、かなりの額ですね。


■9月7日 知事レク概要

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■9月7日『阪和住吉総合病院のコロナ専門病院化について (ご報告)』

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■9月7日 市長発表フリップおよび市長コメント案 (※市長コメント案は、大阪市からの提供文書)

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『錦秀会』にふりがなを振るのは分かりますが、『患者』にもふりがな?


開示いただいた文書は、これが全てです(他に市長レクの結果報告書はありますが、『原案どおり了承』が分かるぐらいのため、掲載省略)。

しかし、開示いただいた文書を見ても、請求を行なった理由である「なぜ阪和住吉総合病院をコロナ専門病院にすることになったのか」という疑問は、解消されませんでした。

大阪府 健康医療部および大阪市 健康局のご担当の方に電話取材を行ないましたがよく分からず、
大阪市 健康局では、コロナ専門病院に限らず、病床のやりとりは府がすべて行なっているので分かりかねるとご返答いただき、
大阪府 健康局の方からは、話が降りてきた時点で、「阪和住吉総合病院を専門化できないか」と病院を指定したいう話の降り方で、その後に大阪府と錦秀会との間で8月27日の打ち合わせが行なわれたとお聞きしました。

しかし下記の通り、8月24日の松井市長が囲み会見で、具体的に錦秀会と調整をしているような発言をしています。
大阪市が行政としてやりとりをしていたとすれば、担当部局は健康局と考えるのが自然ですが、上記の通り、健康局には文書はありません。
一体、誰が・どこの部局が行なった調整なのでしょう?

記者:先ほどコロナ専門病院を検討中という発言があったが、イメージとしたら十三市民病院のようなものをつくるのか?
松井:つくるというか、民間の力を借りてやりたいと思っている。今政府の方も、医療機関にベッドを要請。あれも強制にはならない。そういう形で動き出してくれている。
我々もこの間民間病院にも更なるコロナ対応病床を増やしてもらう、増やしてくれ、とお願いしてきたが、もうなかなかそもそも無尽蔵にある訳ではないので、思う程増えてこないところがある。
こうなってくると、民間病院の中でも、申し訳ないが他の疾患については、十三のように他の病院で診察をしていただいて、一つの病院はコロナ専門ということも必要かな、と思っている。今、十三はやっているが、さらに同じような形を。
今からハード整備をして公で建てても全然間に合わないので。今ある民間の医療パワーを何とか使えないかな、と。

記者:ある病院から、前向きな返事をいただいているとか?
松井:今、調整をしている。この間ずっとやってきた。ただ、その病院にも他の疾患で入院している方がいらっしゃるので、そういう方に他の病院に移ってもらわないといけないし、そういうことも含めて今やっているところ。

記者:何箇所かとか、時期について。
松井:重症は難しくなる。僕はずっと考えてきたが、中等症のベッドがこの間60%を超えたら速やかにそういう形が必要だなと思っていたが、今日80%を超えているし。これは100%超えるのがオーバーフロー。何とかこれを抑えるためにもこの形を作りたいと思っている。


そのような疑問を抱いたところ、
ちょうど今、錦秀会について、日大での背任容疑に関連して報道がなされている中で、10月8日の毎日新聞朝刊の下記記事が目に留まりました。

『大阪行政に影響力 医療法人前理事長』の小見出しで、気になる記載があります。

新型コロナウイルス対策では大阪で存在感を発揮した。20年6月、錦秀会が運営する「阪和第二病院」(大阪市住吉区)が、府内の民間病院で初めてコロナ専門病院となった。吉村洋文大阪府知事は記者団に、籔本前理事長に相談する中で手を挙げてもらったと経緯を明かした。府関係者は「専用病院は籔本前理事長の鶴の一声で実現した。良くも悪くも理事長のワンマングループ」と評する。

あくまでも推測ですが、
阪和第二病院が第2のコロナ専門病院になった契機が『籔本前理事長に相談する中で手を挙げてもらった』ことであるなら、
今回の阪和住吉総合病院を第3の専門病院にすることも、同じようなやりとり、トップ同士のやりとりがあった可能性も考えられますね。

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