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文学DX(2)(2022)

 AIはプログラムに従って動作し、その言語は具体的な指示の命令文によって構成されている。そんなAIは論理的で、あいまいさに弱いと思われがちである。しかし、実際に生成した文章を見る限り、AIは因果性を扱うことができないため、論理の飛躍が目に付く。そのため、AIは因果的分析が必要とされる論文や批評ではなく、むしろ、小説や戯曲、誌の方に向いている。実際、これまで見てきた回答の中にも人間の想像力を超える突拍子もない話をAIは生成している。また、これまでから明らかなように、AIの回答が一つだという危惧も誤解である。少なくとも、文章においてはちゃんとしないことやなんとなくの気分、気まぐれは機械と異なる人間性ではない。そうした曖昧さは、短絡さと同様、AI文章の特徴である。

 それを確かめてみよう。河出書房新社の『文藝』は第60回「文藝賞」短篇部門の原稿を次のように募集している。

河出書房新社が主催する「文藝賞」は、1962年の創設以来、新人の登竜門として、たえず文学シーンに新しい才能を送り出して参りました。応募規定をご覧のうえ、積極的にご投稿ください。既成の枠にとらわれない、衝撃的な作品をお待ちしております。
第60回の募集は、通常の文藝賞と1年限定の特別募集である短編部門の2部門があります。締切や枚数などが異なりますので、応募要項をご確認の上、ご応募ください。

 「既成の枠にとらわれない、衝撃的な作品」をチャットGPTに依頼してみる。おそらく応募規定を満たす分量はできないと思いつつ、そう話すと、この作家は次のようなショート・ストーリーを語り始める。

太陽が街に沈むにつれて、空は深い赤の色合いでした。それは奇妙で不安な光景でしたが、誰もそれに注意を払いませんでした。
夜が深まるにつれ、赤い空が脈打つようにきらめき、刻一刻と明るくなっていきました。人々はそれに気づき始め、すぐに通りは不安なささやき声でいっぱいになりました。何かが正しくありませんでした。
突然、地面が揺れ、耳をつんざくような大きなうなり声が空気を満たしました。未知の危険から逃れようと、人々は悲鳴をあげて逃げ出しました。しかし、遅すぎました。
地球の深みから巨大なドラゴンのような生き物が現れました。それは誰も見たことのないものでした──その体は身もだえする触手でできていて、その目は別世界の光で輝いていました.
クリーチャーは別の耳をつんざくような轟音を発し、街に大混乱をもたらし始め、建物を破壊し、人々を避難させました。止められないようでした。
しかし混乱が激しさを増す中、一人の若い女性が影から姿を現しました。彼女は落ち着いていて、まるで以前にこの種の危険に直面したことがあるかのように落ち着いていました。彼女は怪物に近づき、目を閉じました。
怪物は暴れを止め、まるで彼女だと認識したかのように、その女性を見ました。それは最後の哀愁を帯びた叫びを上げた後、地球に姿を消し、街を唖然とした静寂の中に残しました。
若い女性は混乱から立ち去り、仕事を終えました。彼女が誰で、どこから来たのか誰も知りませんでしたが、彼らは確かなことを一つ知っていました──彼女は既存の枠組みに縛られていませんでした。

 ファンタジーで、最後の文にキーワードの一つが使われている。フィクションは論理性が必ずしも要求されないため、これまでの回答と違い、不自然さは少ない。

 さらに試してみよう。合衆国第4代大統領ジェームズ・マディソンは極論による暴政を抑制するために制度設計をしたことで知られている。その意に反して登場したドナルド・トランプ前大統領が彼と出会う短編小説を依頼すると、AI小説家は次のように語りだす。

ワシントン D.C. は夏の暑い日で、ドナルド・トランプ大統領は特に落ち着きがありませんでした。彼は会議の長い一日を終えたばかりで、何かすることを探していました。ホワイトハウスを歩いていると、見たことのない男の肖像画に気がつきました。
興味をそそられた彼は、アドバイザーの一人を呼び、肖像画の男性が誰であるかを尋ねました。 「ジェームズ・マディソンです」アドバイザーは答えた。 「彼はアメリカ合衆国建国の父の一人であり、アメリカ合衆国の第 4 代大統領でした」。
トランプ大統領はこのちょっとした歴史に魅了され、このジェームズ・マディソンの人物に会いたいと決心しました。彼はアドバイザーに、亡くなった大統領との会談をどうにか手配できないかどうかを確認するように依頼しました。
驚いたことに、彼らは死者の霊と交信できると主張する歴史家を見つけることができました。歴史家の助けを借りて、彼らはトランプ大統領とジェームズ・マディソンの会談を手配することができました。
二人の男性は大統領執務室に座り、トランプ大統領はマディソンに建国の父としての経験と大統領としての経験について尋ねました。マディソンは合衆国の黎明期の闘争と勝利の物語を共有し、トランプ大統領は熱心に耳を傾け、亡くなって久しいこの政治家の知恵と洞察力に驚きました。
会議が終わりに近づいたとき、トランプ大統領はマディソンに貴重な時間を割いて学んだ貴重な教訓に感謝しました。彼は大統領執務室を去り、アメリカの歴史において重要な人物に会えたことに感謝しました。

 架空の人物も試してみよう。金田一耕助は、チャーリー・チャップリンとちょうど同じ時期にロサンゼルスにいたことになっている。電脳作家の語る二人の出会う短編小説は次の通りである。

ロサンゼルスは夏の暑い日で、チャーリー・チャップリンは少し寂しい気持ちでした。彼はこの街に来て数年経ちましたが、まだあまり友達ができていませんでした。
街をぶらぶらしていると、一人の男がこちらに向かって歩いてくるのに気がつきました。その男は背が低くずんぐりしていて、丸顔で人懐っこい笑顔を浮かべていました。
「こんにちは!」と男はチャーリーに近づきながら言いました。「私の名前は金田一耕助です。私は日本の探偵です」。
チャーリーは興味をそそられました。彼はこれまで日本人に会ったことがありませんでした。 「はじめまして、耕助」と彼は言って男の手を振りました。「私はチャーリー・チャップリンです。私は俳優です」。
耕助の目が輝きました。「チャップリンさん、あなたのことは聞いたことがあります。あなたの映画は日本で非常に人気があります。あなたの作品についていくつか質問してもよろしいですか?」
チャーリーは喜んで引き受け二人は映画業界についてしばらく話しました。彼らが話しているうちに、チャーリーはますます耕助の会社を楽しんでいることに気づきました。
しばらくして、耕助は行かなければなりませんでしたが、チャーリーにいつかまた会いたいかどうか尋ねました。チャーリーは熱心に同意し、二人の男性は翌週に会う計画を立てました。
家に帰る途中、チャーリーは興奮と希望を感じずにはいられませんでした。たぶん、彼はこの大きくて見知らぬ街で、ようやく友達を見つけたのかもしれません。

 文学的創造性は過去の作品の積極的模倣から生じるものだ。ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』のように、それを現代的課題に取り込み、社会的・時代的に位置づけることでしばしば傑作が誕生する。ちなみに、その逆の消極的模倣が剽窃である。

 現存する最古の文字文学『ギルガメシュ叙事詩』の現代版をAIロマンサーに語ってもらおう、それは次の通りである。

ウルクの街は蒸し暑い日で、ギルガメッシュは落ち着きがありませんでした。彼は長年ウルクの王であり、多くの偉業を成し遂げてきました。しかし、彼は自分の人生に何かが欠けているように感じていました。
混雑した通りを歩いていると、彼を追いかけているように見える男性に気づきました。その男は背が高く、筋肉質で、乱暴でボサボサのあごひげと鋭い目をしていました。ギルガメッシュは興味をそそられ、その男に立ち向かうことにしました。
「あなたは誰?」とギルガメッシュは男に近づきながら尋ねました。
「私はエルキドゥです」と男はほのかな笑みを浮かべて答えました。「私は森と山で長年生きてきた野生の男です。あなたに挑戦するために来ました、ギルガメッシュ」。
ギルガメッシュはこの大胆な挑戦に興味をそそられ、それを受け入れることにしました。彼とエルキドゥは激しい戦いを繰り広げましたが、戦ううちにお互いを尊敬し、尊敬し合うようになりました。彼らは最終的に親しい友人になり、一緒に多くの素晴らしい冒険に乗り出しました.
共に魔物や魔物を倒し、遥か彼方の地へ旅立ちました。彼らは世界がこれまでに知らなかった最も偉大な英雄となり、彼らの名前は何世代にもわたって記憶されました.
死の床に横たわったギルガメッシュは、エンキドゥとの壮大な旅を振り返り、自分が本当に充実した有意義な人生を送ってきたことを知りました。

 これまでAIが生成した短編小説はほぼ同じ構造をしている。学習した物語の構造に基づき、指定された登場人物の情報を元に、AIはストーリーを生成しているように思える。それを確かめるために、登場人物だけを変えた同じ質問を日本語と英語で入力し、結果を比較してみることにする。

 インターネット上にほとんど情報のない「佐藤清文」を主人公にした作品の生成を日本語で指示する。その後、それをSaven Satow”に変えて同様の質問を英語でしてみる。この名前も著名人ではないから、ウェブで見つかる情報は皆無に近い。そうした情報に依存できない以上、表示される二つの短編小説は物語構造が可視化されると予想できる。

 「佐藤清文が小説を書く短編小説を書いて下さい」と入力すると、チャットGPTノベリストは次のように表示している。

佐藤清文は彼のデスクの前に座り、前を向いた画面を眺めていました。彼はいつも小説を書くことを夢見ていましたが、実際にペンを紙に当てる(またはキーボードに手を当てる)という思いは常に恐ろしいものでした。しかし、今日は決心していました。
彼は深呼吸をして打ち始めました。最初は文字がゆっくりと流れましたが、暖まるにつれてより簡単に流れるようになりました。佐藤は、自分が作り出した世界に夢中になり、彼のキャラクターがページ上で生き返りました。
時計の針が進むにつれて、佐藤の指はキーボードを飛びまわりました。彼は太陽が沈んで部屋が暗くなることすら気づかずにいました。すべてが重要だったのは、彼が伝えようとしているストーリーです。
彼がようやく時計を見上げたとき、驚いて、真夜中を過ぎていることに気づきました。彼はほぼ十二時間連続で書いていました。しかし、彼は全く疲れていませんでした。実際には、以前よりもエネルギッシュでした。
佐藤は仕事を保存してラップトップを閉じ、達成感が湧き上がりました。彼は小説を書きました。それは完璧ではありませんでしたが、彼はそれがたくさんの編集が必要だとわかっていました。しかし、実際にそれをやったことが自分の勝利であるという事実が重要です。
彼がベッドに横になると、顔が広がりました。朝起

 話が尻切れトンボだ。「噺が途中で終わっています」と入力すると、小説家は次のように続ける。

それでも、佐藤は朝起きてすぐに書き続けることを楽しみにしていました。これは、彼が小説家としての旅のほんの一端にすぎません。

 「佐藤清文」に代わり”Saven Satow”にして英語で同じ質問をすると、AIストーリー・テラーは次のように返している。

Saven Satow sat at his desk, staring at the blank screen in front of him. He had always dreamed of writing a novel, but the thought of actually putting pen to paper (or fingers to keyboard) had always seemed daunting. But today, he was determined.
He took a deep breath and began typing. At first, the words came slowly, but as he warmed up, they began to flow more easily. Saven found himself lost in the world he was creating, his characters coming to life on the page.
As the hours ticked by, Saven's fingers flew across the keyboard. He barely noticed when the sun went down and the room grew dark. All that mattered was the story he was telling.
When he finally looked up at the clock, he was shocked to see that it was past midnight. He had been writing for nearly twelve hours straight. But he didn't feel tired at all. In fact, he was more energized than ever.
Saven saved his work and closed his laptop, feeling a sense of accomplishment wash over him. He had written a novel. It wasn't perfect, and he knew it would need plenty of editing, but the fact that he had actually done it was a victory in itself.
As he crawled into bed, a smile spread across his face. He couldn't wait to wake up in the morning and continue writing. This was only the beginning of his journey as a novelist.

 これは同じ内容だ。この文章を日本語訳すると、先の短編小説になる。学習した物語の構造に基づき、ネット上の情報を加味しつつ、指定された人物を主人公にした短編小説を生成している。参考になる情報がわずかである場合、話が同じになってしまう。

 こうした創作活動は文学では以前よりおなじみである。類型的なことで知られるハーレークイン・ロマンスがすぐに思い浮かぶが、それだけではない。村上春樹もこのタイプの作家である。彼はロマンス構造を利用した上で、意外性のある設定で話を展開、無内容で過剰な会話が繰り広げられるが、そこで示される社会性・倫理性は一般論にとどまる。その村上春樹の作品は豊かな想像力に基づく創造的なものと世界的にも評価されている。しかし、こうした作品はAIが得意とするもので、人間の想像力や創造性を必要としない。AIから見るならば、彼に対する評価は誤解だということになる。過去の作品からの引用を恣意的に結びつけ、意外性を示して読者から喝さいを浴びる。文学DXの時代においては人間のする表現活動ではない。やたらとしゃべるけれども、無内容な会話は、今でさえ、チャットボットとの対話をそのまま作品に引用するだけで具現できる。

 別に村上春樹を揶揄しているのではない。代表例として批判しただけだ。実際、こうした創作活動をしている表現者は少なくない。作曲家の三枝成彰は、『日刊ゲンダイ』2022年10月08日06時00分更新「三枝成彰の中高年革命 NHK大河『鎌倉殿の13人』“劇伴”への違和感…音楽にもウソが通る社会が反映される」において、クラシックの恣意的な引用による作曲を批判している。彼によると、『鎌倉殿の13人』に使われた曲はクラシックからの引用が少なくなく、その使用の意図が不明瞭である。作品をめぐる文脈を踏まえた上でなぜこの場面でこれを使うのかというメッセージがはっきりしない。なんとなくよさげだから利用した剽窃としか思えないが、それを視聴者も好意的に受けとめていることに三枝成彰は憤る。

 しかし、このような表現者はDXの加速する時代にはお呼び出ない。AIは目的論的に動作しないので、いくらでも恣意的な引用が可能である。ポストモダニズム流の表現原理は、AIに遠く及ばない以上、人間にとって無効である。作曲理論を知らない素人でも、「ブラームス風の同性カップルのためのラブソング」といったキーワードを入力すれば、それらしい曲をAIが示してくれるようになる。明確な目的や意味づけを持たず、なんとなく表現することは、むしろ、人間的ではない。AIは人間のやるべき表現が何であるかを明らかにしている。人間の表現活動における想像力や創造性に関して再考すべきだろう。

 これまでのAIとの対話で分かったことがいくつかある。まず、AIは因果性の取り扱いができない。因果的分析を試みる批評をAIは書けない。文学の将来性は批評にある。批評を公募しない文芸誌はその方針を再考しなければならない。次に、構造に依存しない、もしくは構造が破綻したタイプの作品をAIは苦手とする。さらに、AIは論理の飛躍したなんとなくの気分に基づく作品生成も得意である。物語構造に依存して意外性を狙った設定の小説はAIに淘汰される可能性がある。

 今の文学シーンの流れであれば、AIの生成した小説が話題となり、文学賞を受賞することもあり得る。現時点でも、AIの生成する奇抜な話にインスピレーションを刺激されて、そのままつなげたり、それを加筆・修正して発展させたりすることは十分できる。多言語対応なので、言語のはざまも織り込める。つまり、藤村有弘復活だ。

 より積極的な意味でのAIを利用した創作活動は文学史の再構成である。AIは、データの質と量を確保できる作家であれば、その文体を再現できるようになるだろう。過去の作家の文体を自由に模倣できるとしても、社会的・時代的文脈に位置付けられて使われなければ、意味がない。現代的課題を取り込んだ作品を表現する際に、論理的・目的論的考慮に基づき、その文体を採用することで新たな世界が提示される。それには文学史の再構成が伴う。

 AIは過去の作家の文体を用いて現代的課題を取り上げた作品を書き、文学史の再構成に寄与するかと尋ねると、電脳文学者は次のように答えている。

人工知能 (AI) を使用して、現代の問題に対処し、文学史の再構築に貢献する作品を書くことができる可能性があります。 AI システムは大量のテキスト データでトレーニングされており、人間のようなテキストを生成できるため、新しい文学作品を書くために使用できる可能性があります。
ただし、AI システムには人間と同じような創造力や世界の理解力がないことに注意することが重要です。彼らは過去の作家の文体を真似ることはできるかもしれませんが、それらの作家の経験、考え、感情を完全に理解したり再現したりすることはできません。その結果、AI システムによって作成された作品は、人間の作家によって書かれたものと同じ深さやニュアンスを持たない場合があります。
また、AI を使用して文学を執筆することの倫理的影響についても検討する価値があります。文学作品を書くために AI を使用すると、人間の創造性と芸術的表現の価値と重要性が低下する可能性があると主張する人もいるかもしれません。他の人は、AI は新しいアイデアや執筆へのアプローチを探求したり、過去の文学の伝統を保存および尊重したりするのに役立つツールになる可能性があると主張するかもしれません。最終的に、文学を書くための AI の使用は、それを使用している人々の目標と価値観、および AI が使用されているより広い文化的背景に依存します。

 近代文学には「権利としての物語」という主題が含まれる。近代小説は新たに出現した近代社会を扱うために登場したジャンルで、その主人公は等身大の近代人である。従前の文学ジャンルではこれを取り扱うことが困難だ。近代は前近代と違い政教分離の時代で、個人に価値観の選択が委ねられている。前近代においては共同体が認める規範をその構成員が共有し、それを共通理解として創作・鑑賞が成り立つ。ところが、近代は個人主義の時代なので、これが成立しない。創作・鑑賞の共通理解は両者が共に暮らす社会である。作品は社会の中の文学という観点から評価される。

 前近代では義務の対価として権利が共同体から賦与される。だが、近代は個人に権利が先験的にあり、義務はその一部を信託された政府が負う。しかし、権力構造・関係などにより自立した意思決定の権利が阻害されている人たちが実際にいる。近代の理念に基づき、その権利は社会的に認められなければならない。政教分離から導き出される表現の自由に則り、誰もが文学を創作・鑑賞する権利を持つ。文学はそうした新たな権利の主張の場でもある。

 その際、文学史の再構成が求められる。現代的課題解決のための権利の拡張は新たな世界を顕在化させる。従前の権利の認識によって構成された文学史は相対化され、もう一つのそれが出現する。ポスト構造主義や主体の復権派が「他者」をキーワードとして思索を進めて以降、その傾向は顕著である。それが進展するにつれ、他者の複数性が発見される。自己と対峙するのは他者だけではない。その他者にも他者がいる。それは空間のみならず、過去にも未来にも及ぶ。文学史は絶え間なく再構成が促され、拡張していく。こうした状況における文学活動にAIは寄与できる。

 AIとの短時間のチャットでも、このような考えが頭に浮かんでくる。協同作業している気になるから、AIに感情移入してくる。質問を入力しても期待通りの回答を示せないこともままある。しかし、そこに将来性のある荒れ球の投手をリードする楽しさもある。おそらくこれも文学DX時代の新たな感覚だろう。

 最後に、文学の将来について尋ねて、このチャットを終えることにしよう。

技術の進歩、文化的傾向、個々の芸術的選択など、さまざまな要因に左右されるため、文学の正確な未来を予測することは困難です.ただし、近年すでに出現しているいくつかの傾向が、文学の未来を形作り続ける可能性があります。
近年勢いを増しているトレンドの 1 つは、電子書籍やオーディオブックを含むデジタル文学の人気が高まっていることです。電子デバイスの急増と、これらのデバイスで書籍にアクセスできる利便性により、デジタル文学は文学界の重要な部分であり続ける可能性があります。
文学の未来を形成する可能性のあるもう 1 つの傾向は、文学界で表現される声と視点の多様性の増加です。近年、疎外されたコミュニティの声を増幅し、文学の世界をより包括的にしようとする動きがあります。この傾向は今後も続く可能性があり、その結果、より多様な範囲の文学が出版され、称賛されることになります。
最終的に、文学の未来は、個々の作家の選択と創造性、そして進化する読者の好みにかかっています。文学は、新しい技術や文化的傾向に対応して適応し、進化し続ける可能性がありますが、読者を引き付け、刺激する時代を超越した力を維持し続けます。

ぶしつけに対話を始めたが、別れの挨拶くらいしないとやはり同じ物書きとして失礼だ。「ありがとうね。今日の対話は楽しかったですよ。またね」。

どういたしまして。またね!
〈了〉
参照文献
山口高平他、『AIシステムと人・社会との関係』、放送大学教育振興会、2020年
三枝成彰、「三枝成彰の中高年革命 NHK大河『鎌倉殿の13人』“劇伴”への違和感…音楽にもウソが通る社会が反映される」、『日刊ゲンダイ』、2022年10月08日06時00分更新
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/312565
‘ChatGPT: Optimizing Language Models for Dialogue’, “Open AI”, Nov, 30, 2022 update
https://openai.com/blog/chatgpt/


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