Saven Satow

批評家

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記事一覧

池上彰コラム掲載拒否騒動と慰安婦問(2014)

池上彰コラム掲載拒否騒動と慰安婦問題 Saven Satow Sep. 08, 2014 「過ちは潔く認め、謝罪する。これは国と国との関係であっても、新聞記者のモラルとしても、同じことで…

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1日前
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ヘタウマの時代(2024)

ヘタウマの時代 Saven Satow May, 10, 2027 「子どものように描くには一生涯かかった」。 パブロ・ピカソ  1976年、『ガロ』4月号に『ペンギンごはん』という奇妙なマン…

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1日前

黒いクリームソーダ(2024)

黒いクリームソーダ Saven Satow May, 09, 2024 「ビール好きの僕、相変わらず毎日ビールを飲んでいますが、日本を離れていちばんうまかったのは、ニューヨークのロシア料…

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2日前
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パンデミックの記憶の風化(4)(2024)

4 日付  戦争や災害、事故、事件など社会的記憶をもたらす出来事には、それを象徴する日付がある。そうした回想の日は戦争とそれ以外に大きく分けられる。だが、パンデミ…

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4日前
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パンデミックの記憶の風化(3)(2024)

3 コロナ禍の風化  スペインかぜはその記憶の継承が行われず、100年の間に忘れられる。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけにそれが発掘されている。蘇…

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4日前
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パンデミックの記憶の風化(2)(2024)

2 スペインかぜの記憶   新型コロナウイルス感染症のパンデミックによりスペインかぜの世界的流行にも関心が寄せられる。20世紀最大のパンデミックはどのような影響と変…

Saven Satow
5日前
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パンデミックの記憶の風化(1)(2024)

パンデミックの記憶の風化 Saven Satow Feb. 23, 2024 「面接では『今年はどういう年か』『紀元は二千六百年、めでたい年です』『なぜめでたいか』『こんなに長く続いた…

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6日前
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「縛られたプロメテウス」を演じられない日本(2006)

「縛られたプロメテウス」を演じられない日本 Saven Satow Mar. 15, 2006 「自己犠牲をいとわない人間性でなければ、経営者になってはいけない 」。 稲盛和夫  小泉純一…

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7日前
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「この生命誰のもの」を問う呼吸器外し問題(2006)

「この生命誰のもの」を問う呼吸器外し問題 Saven Satow Mar. 28, 2006 Dr Scott (to Sister): It's marvellous you know. We bring him back to life using everything we…

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9日前
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途上国研究から見るギリシャ危機(2015)

途上国研究から見るギリシャ危機 Saven Satow Jul. 07, 2015 「金を背負うロバなら、近づくことのできない砦はない」。 マケドニアのフィリッポス2世  2015年7月5日に実…

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9日前
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ドメイン投票方式と子ども選挙(2024)

ドメイン投票方式と子ども選挙 Saven Satow May, 05, 2024 「子どもたちの発達段階の中では、思春期に至る前から政治家というのが信頼できる人なんだなと実感を持って過ご…

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10日前
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日本国憲法と松本烝治(2006)

日本国憲法と松本烝治 Saven Satow Jan. 08.,2006 「権力に左右されるような政治家は、また別の権力が現れた場合には、意気地なくこれになびくものだ」。 吉田茂  かね…

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12日前
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地方結社と私擬憲法(2007)

地方結社と私擬憲法 Saven Satow Apr. 15, 2007 「明治憲法だって、ドイツに外注したようなもの。自分たちでつくったと思いこんだら窮屈。気楽の出来不出来を言い合えるほ…

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12日前
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日本文学の読まれ方(2012)

日本文学の読まれ方 Saven Satow Oct. 11, 2012 「私、アメリカにいた時、『源氏物語』が大好きで、日本人に読んだことあるって聞いたら、誰もないって言うの、不思議だ…

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13日前
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日本政府の自殺対策と『転落』(2006)

日本政府の自殺対策と『転落』 Saven Satow Mar. 16, 2006 「真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ」。 アルベール・カミュ『シーシュポスの神話』 …

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2週間前
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肉食から見る日本の食文化(2007)

肉食から見る日本の食文化 Saven Satow Jun. 05, 2007 「いただきます」。  2007年5月22日、政府は2006年度の水産白書を閣議決定しています。それによると、家庭の魚の…

Saven Satow
2週間前
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池上彰コラム掲載拒否騒動と慰安婦問(2014)

池上彰コラム掲載拒否騒動と慰安婦問(2014)

池上彰コラム掲載拒否騒動と慰安婦問題
Saven Satow
Sep. 08, 2014

「過ちは潔く認め、謝罪する。これは国と国との関係であっても、新聞記者のモラルとしても、同じことではないでしょうか」。
池上彰

 池上彰記者が朝日新聞紙上で毎月連載しているコラム「池上彰の新聞ななめ読み」の2014年8月分が掲載拒否されます。それは同紙が14年8月5日・6日に亘って載せた過去の慰安婦報道の検

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ヘタウマの時代(2024)

ヘタウマの時代(2024)

ヘタウマの時代
Saven Satow
May, 10, 2027

「子どものように描くには一生涯かかった」。
パブロ・ピカソ

 1976年、『ガロ』4月号に『ペンギンごはん』という奇妙なマンガが掲載される。原作はコピーライターの糸井重里、作画はイラストレーターの湯村輝彦である。マンガ界のアングラとも言える同誌は個性的な作品に閉められているが、その中でもこれは異彩を放っている。シニカルでアイロ

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黒いクリームソーダ(2024)

黒いクリームソーダ(2024)

黒いクリームソーダ
Saven Satow
May, 09, 2024

「ビール好きの僕、相変わらず毎日ビールを飲んでいますが、日本を離れていちばんうまかったのは、ニューヨークのロシア料理店で出された「チュボルク」というデンマークのビールでした。このビールはコクがあって、日本のどのビールよりもうまいのはもちろん、アメリカ、イギリス、ドイツ、チェコスロバキア、フランスのビールよりもうまい。アメリカ

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パンデミックの記憶の風化(4)(2024)

パンデミックの記憶の風化(4)(2024)

4 日付
 戦争や災害、事故、事件など社会的記憶をもたらす出来事には、それを象徴する日付がある。そうした回想の日は戦争とそれ以外に大きく分けられる。だが、パンデミックはそうした日にちを持っていない。

 戦争には始まりと終わりがある。それは曖昧だったり、見方によって異なったりする場合もある。しかし、大半の戦争には開戦と終戦の日が明確である。

 ベトナム戦争を例にすると、1955年11月1日に始ま

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パンデミックの記憶の風化(3)(2024)

パンデミックの記憶の風化(3)(2024)

3 コロナ禍の風化
 スペインかぜはその記憶の継承が行われず、100年の間に忘れられる。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけにそれが発掘されている。蘇った当時の様子は現代と重なる共通点が多いことに驚かされる。もし経験が語り継がれてきたなら、今回の社会的反応も異なっていたかもしれない。

 ところが、最近、コロナ禍の記憶が薄れつつある。まだ新型コロナウイルス感染症の新規感染者も確認さ

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パンデミックの記憶の風化(2)(2024)

パンデミックの記憶の風化(2)(2024)

2 スペインかぜの記憶 
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによりスペインかぜの世界的流行にも関心が寄せられる。20世紀最大のパンデミックはどのような影響と変化を社会にもたらしたのかを知るために、各方面で映像・活字媒体の発掘・公開が進む。

 コロナ禍以前よりスペインかぜに感染した著名人はすでに知られている。パリ講和会議中にウッドロー・ウィルソン米大統領が発症、その後の国際政治の行方に影響

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パンデミックの記憶の風化(1)(2024)

パンデミックの記憶の風化(1)(2024)

パンデミックの記憶の風化
Saven Satow
Feb. 23, 2024

「面接では『今年はどういう年か』『紀元は二千六百年、めでたい年です』『なぜめでたいか』『こんなに長く続いた国はありません』と、模範答案どおりに進行。ところが、『二千六百年より二千六百一年がもっとめでたいことになるが』という奇妙な反論。あ、模範答案ばかりで試験官はうんざりしてるなと覚《さと》ったのがかしこいところ。とこ

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「縛られたプロメテウス」を演じられない日本(2006)

「縛られたプロメテウス」を演じられない日本(2006)

「縛られたプロメテウス」を演じられない日本
Saven Satow
Mar. 15, 2006

「自己犠牲をいとわない人間性でなければ、経営者になってはいけない 」。
稲盛和夫

 小泉純一郎内閣総理大臣は、就任以来、日本国内に対し改革に伴う痛みに耐えることを口にしています。けれども、言い出した首相自身は痛みに耐えているとは見えません。特に、外交では、痛みがどういうものなのかさえ知らないような振

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「この生命誰のもの」を問う呼吸器外し問題(2006)

「この生命誰のもの」を問う呼吸器外し問題(2006)

「この生命誰のもの」を問う呼吸器外し問題
Saven Satow
Mar. 28, 2006

Dr Scott (to Sister): It's marvellous you know. We bring him back to life using everything we've got. We give him back his consciousness, then he says:

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途上国研究から見るギリシャ危機(2015)

途上国研究から見るギリシャ危機(2015)

途上国研究から見るギリシャ危機
Saven Satow
Jul. 07, 2015

「金を背負うロバなら、近づくことのできない砦はない」。
マケドニアのフィリッポス2世

 2015年7月5日に実施されたギリシャの国民投票の結果に関して、その原因を国民性に求めて解説する論者がメディアに登場している。しかし、それは専門家ではない。ずぶの素人だ。彼らは学問的根拠もなく、経験と直観で語っているにすぎな

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ドメイン投票方式と子ども選挙(2024)

ドメイン投票方式と子ども選挙(2024)

ドメイン投票方式と子ども選挙
Saven Satow
May, 05, 2024

「子どもたちの発達段階の中では、思春期に至る前から政治家というのが信頼できる人なんだなと実感を持って過ごすことが非常に重要なのです。例えば、北欧の学校教育などで政治家とふれ合うような行事が設けられているのはそのためでもあるのです。( 今回の「こども選挙」で)自分であればこういう政治家に投票したい、そのほうが地域、自

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日本国憲法と松本烝治(2006)

日本国憲法と松本烝治(2006)

日本国憲法と松本烝治
Saven Satow
Jan. 08.,2006

「権力に左右されるような政治家は、また別の権力が現れた場合には、意気地なくこれになびくものだ」。
吉田茂

 かねてから自由民主党は「自主憲法」の制定を党是として掲げています。日本国憲法は占領軍によって押しつけられた憲法であるというのがその理由です。この理屈は、1954年7月に岸信介を会長とする自由党憲法調査会で、松本草案

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地方結社と私擬憲法(2007)

地方結社と私擬憲法(2007)

地方結社と私擬憲法
Saven Satow
Apr. 15, 2007

「明治憲法だって、ドイツに外注したようなもの。自分たちでつくったと思いこんだら窮屈。気楽の出来不出来を言い合えるほうが楽しい」。
森毅『憲法は外注がよい』

 歴史を振り返ると、日本の民衆は憲法をつくるのが好きです。明治時代、1889年の大日本帝国憲法発布の前に、役人や政治家だけでなく、民間(団体・個人)による数多くの憲法草

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日本文学の読まれ方(2012)

日本文学の読まれ方(2012)

日本文学の読まれ方
Saven Satow
Oct. 11, 2012

「私、アメリカにいた時、『源氏物語』が大好きで、日本人に読んだことあるって聞いたら、誰もないって言うの、不思議だった、こんなに面白いのに。逆にね、日本人はシェイクスピアがすごく面白いって言うの。不思議だった。私は読んだことない。だって全然わかんないんだもの。でも、今はその理由がわかった。どっちも翻訳で読んでたのよ」。
ある

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日本政府の自殺対策と『転落』(2006)

日本政府の自殺対策と『転落』(2006)

日本政府の自殺対策と『転落』
Saven Satow
Mar. 16, 2006

「真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ」。
アルベール・カミュ『シーシュポスの神話』

 日本政府は、2005年末、今後10年間で自殺者の数を2万5000人以下とするための政策を決定している。現在日本の死因において、自殺は交通事故死以上である。日本の自殺者数は、景気低迷に伴い、98年以降、7年連

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肉食から見る日本の食文化(2007)

肉食から見る日本の食文化(2007)

肉食から見る日本の食文化
Saven Satow
Jun. 05, 2007

「いただきます」。

 2007年5月22日、政府は2006年度の水産白書を閣議決定しています。それによると、家庭の魚の購入量が近く肉類と逆転する情勢にあると予想されています。従来は若年層の魚の消費量は少ないものの、年齢が上がるにつれ、魚を肉よりも好む傾向があるのです。

 日本の食卓では魚離れが進んでいるのですが、欧

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