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タトゥー 1

もうすぐタトゥーを入れて20年経つことをふと思い出した。

タトゥーもロックなどのカルチャーと親和性が高いが、私がタトゥーを入れたのはロックからの影響とは関係ない。けれどどうして入れてみたいと思ったのかもよくは覚えていない。ただ、ロックと出会う前からタトゥーというものが気になっていたのははっきりしている。そう、子供の頃読んだヨーロッパの本や、そこら辺を歩いていた米兵たちを見て……。

どんな柄をどこに入れたいとか、そんなことは思いもつかなかった。ただ何となく入れてみたいとずっと考えていた。

22歳で家を出て、こっそりタトゥーを入れても家族にはバレない環境にはなった。けれど当時は昼はスーパー、夜は夜の店で働いていたのもあり、じゃぁ入れるぞ!とはならなかった。また、そういった仕事上の事情の他に私がタトゥーをすぐには入れようと思わなかった理由がある。
「25歳になっても考えが変わらなかったら入れる」
これは10代の頃から思っていたことだ。
当然だがタトゥーは一生消えない。若気の至りとか勢いで入れてしまって後悔しないか?よ~く考えたいなと思っていた。

23歳でスーパーは自主退社という形のクビになった。ここら辺の事情は脱線するので今は書かないけど。
で、それからは夜の商売一本でやっていくことになり、タガが外れてしまって海外旅行しまくり時代に突入。先ずは子供の頃からの憧れの地、東欧から足を運んだけれどひょんなことからポルトガルに旅行することになり……。そこでね、出会ってしまったんですよ。タトゥーを入れた素敵な人に。その人のことは置いておいても、ポルトガルが本当に気に入ってしまって、今でも「今まで行った国で一番好きなのは?」と尋ねられたら「ポルトガル」と即答できるくらい。
そんな素晴らしい国の記憶を、何らかの形で……と考えた時、しばし忘れていたタトゥーのことを思い出したの。今後、どのようなことが人生にあろうともあの時のことを忘れたくなかったから。

そこからの私の行動は素早かった。どの店で施術してもらおうか?必死にネットで検索し、ここじゃない、ここでもない……と探しまくった。そしてある日「絶対にこの店で決まりだ!この店じゃなきゃ入れない!」というところを見つけたのだ。

続く