全国水族館の旅⑦世界一ちっちゃな水族館
水族館で飼育員さんの解説を聞きながら展示水槽を巡る、というのは何かしらの特別なイベントに参加しないとなかなかできない経験だと思います。プロに教えてもらいたいこと、訊いてみたいことは、水族館好きの人ならたくさんあると思います。
そんな貴重な時間を高確率で体験できる水族館が、銚子の海岸線に立っています。
海洋へとつながる暖かくちっちゃな水族館
世界一ちっちゃな水族館は、関東最東端の千葉県銚子市の海辺に位置しています。水揚量が全国トップクラスの銚子は日本屈指の水産都市であり、漁業を支える海の生態系はとても豊かです。黒潮の恩恵により魚介類が多種多様なうえに、沖合にはクジラやイルカが現れます。
水族館にはどんな生き物がいるのかを考えると、とてもワクワクしますね。展示内容の工夫なども、水族館ファンとしては気になるところです。
住宅街と農作地帯を抜けて進み続けると、雄大な銚子の海に出ます。眼前いっぱいに広がるオーシャンビューと、果てしなく遠くまで聳え立つ海岸線の岸壁に目を奪われます。
この美しく厳かな海に無数の魚類や巨大なクジラたちが生きていると思うと、地球のロマンを感じずにはいられませんね。
水族館は千葉科学大学から近く、海に面しています。ハンドメイド感あふれる看板が暖かく感じられました。
いよいよ銚子の海と生き物たちの魅力を学びに参ります。
超貴重! 海の生き物たちをプロが解説
海のちっちゃなスターが大集合
名前の通り、「世界一ちっちゃな水族館」ですので敷地面積は40㎡(19坪)ほどです。コンパクトなサイズだからこそ、展示をくまなくじっくりと味わうことができます。
最も嬉しかったのは、なんと水族館職員さんが館内の展示を一つ一つ解説してくださったことです! とても丁寧な説明で、生態・特徴・採集場所などを詳しく教えていただきました。
こちらの質問にも優しく答えてくださり、筆者の海洋生物学の知識が増強されました。このような貴重な体験は他の水族館ではなかなかできません。
展示生物は、可愛い生き物が主体です。筆者の推しはウメボシイソギンチャク。特に触手を閉じているときの姿が本当に梅干しみたいでキュートでした!
イソギンチャクに続き、可愛い無脊椎動物ラッシュは止まりません。若いミズクラゲはちょうどランチタイムでしたので、摂食中の様子が観察できました。
小さく可愛い生き物たちが強烈に個性をアピールしていて、どの子たちもかなり印象に残ります。生き物好きの人はもちろん、仕事で疲れた心を癒されたい社会人にもオススメです。
巨鯨が集う銚子の大海原
先述の通り、銚子の海ではクジラやイルカの姿が見られます。時期によっては、オットセイ(陸に棲んでいると思われがちですが、繁殖期以外はほとんど海洋で暮らしています)に出会えることもあるそうです。
本館はホエールウォッチング事業にも携わっており、館内の展示にもクジラにまつわるものがあります。クジラに会える街ならではですね。
骨格展示のみならず、ヒゲクジラのヒゲにも触れるコーナーがあります。我々のイメージするヒゲではなく、クジラのヒゲはとっても頑丈です。百聞は一見に如かずですので、ぜひ自らお手に取って確かめてください。
興味深い展示内容と職員さんの詳しい解説で気分が高ぶってきたので、だんだん本物のクジラが見たくなってきました。
千葉県の海でホエールウォッチングできるのは、関東人にとっては嬉しいところ。次回訪れたときには、ぜひクジラたちに会いにいきたいです。
世界一ちっちゃな水族館 総合レビュー
所在地:千葉県銚子市潮見町15-9
強み:水族館職員による展示の丁寧な解説、見やすくわかりやすい展示とキャプション、ホエールウォッチングなど海に近い立地を活かしたイベントの開催
アクセス面:水族館の前には広大な駐車場があるので、自家用車やレンタカーで来館するのがオススメです。公共交通機関を利用する場合、JR銚子駅から千葉科学大学行きのバスに乗るのがベスト。大学から水族館までは目と鼻の先です。
特筆すべきは、職員さんに展示生物を解説していただける(可能性が高い)点! 他の水族館ではバックヤードツアーなどの特殊なイベントに参加しない限り、プロと一緒に館内を回る機会は極めて少ないと思います。水族館好きの人なら、職員さんとの生き物トークに夢中になって時間を忘れてしまいそうになるかもしれません(笑)。
11月~翌年3月の期間中はホエールウォッチングのシーズンとなりますので、ぜひとも沖合に出て、銚子の海を最大限楽しみましょう。もちろん、来館前に電話で事前予約しておきましょうね。
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