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全国自然博物館の旅①福井県立恐竜博物館

生き物好きの私にとって、「旅行=自然系の博物館・水族館巡り」です。全国には素晴らしい博物館がたくさんあることを皆様に知っていただきたいので、私が訪れた各地の博物館をレポートしていきたいと思います。


よみがえる恐竜たちの大地

恐竜王国・福井県

日本の全都道府県の中で、最も恐竜化石を産出しているのは福井県! 勝山市北谷町には日本最大の恐竜発掘現場があり、日本の恐竜化石の約8割が福井県で発見されています。新種も次々に見つかっていて、文句なしに福井県は日本最大の恐竜王国です。
福井県の観光は恐竜が盛りだくさんで、県内には恐竜ルームを有するホテルが多数あるうえ、恐竜化石の発掘ツアーも催されています。

博物館に行く前に、JR福井駅前の広場を見てみましょう。フクイティタンをはじめ、福井県で発見された恐竜たちの動くモニュメントがお出迎え。

博物館までの道程も楽しもう!

先述の通り、福井県は恐竜王国。特に博物館を擁する勝山市には、多数の恐竜スポットがあります。博物館に着くまでの道のりは、恐竜でいっぱい! 電車旅がてら、ドライブがてら、恐竜たちとの出会いを楽しみましょう。

勝山市内に立つ巨大モニュメント「ホワイトザウルス」。県内には他にもたくさんの恐竜スポットがあるので、博物館観覧の前後で恐竜王国を満喫しましょう。

国内最大級の恐竜博物館

太古の地球へ誘う恐竜研究最前線

福井県立恐竜博物館はまさに日本の恐竜研究の最前線であり、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館、中国の自貢恐竜博物館と並んで、世界3大恐竜博物館に数えられています。2023年7月にリニューアルを終え、ますますパワーアップした恐竜王国の大型博物館。福井旅行で絶対外せない主要な観光スポットと言っても過言ではありません。

リニューアル後に追加された新館。巨大特設スクリーンで恐竜たちが動き回る迫力満点のダイノシアターなど、エンターテインメント面でのボリュームが大きく増しています。

展示内容はダイナミックかつ濃密で、恐竜の化石を楽しみたい子供から深く学びたいマニアまで大満足の内容です。ドーム状の施設を立体的に移動しながら、様々な時代のあらゆる古生物の標本を見ていきます。
その中でもひときわ圧巻なのは、数十体ものパワフルな恐竜たちの骨格標本。天井を突きそうな巨大な竜脚類(カミナリ竜)や勇ましい大型肉食恐竜の立ち並ぶ様は壮観であり、来館者は必ず圧倒されることでしょう。

Tレックスことティラノサウルス・レックス。骨格は頑強で歯も大きく、見るからに強そうです。地上で最強の生き物の名にふさわしい威厳を感じます。
全長20 mに及ぶ実物大のオメイサウルスの模型。これだけ大きいのに竜脚類恐竜では中型クラスというのですから、桁違いのスケールに改めて驚かされます。

恐竜以外の古生物展示も、とても充実しています。古生代・中生代・新生代における幅広い生物ーー昆虫から哺乳類まで多様な標本を見ることができます。一つ一つの生物種に進化のストーリーがあり、はるかな古代から果てしない生存競争を戦ってきたと思うと、壮大なロマンを感じずにはいられません。
ちなみに、個人的なオススメは、白亜紀の海洋生態系に君臨した獰猛な捕食者ティロサウルスです。骨格から強さと恐ろしさが伝わってきます。

全長13 mもある大型海洋爬虫類ティロサウルス。恐竜と同時期に海の中で猛威を振るった肉食の海洋性トカゲです(恐竜ではありません)。

日本の誇り! 福井県で発見された恐竜たち

福井県立恐竜博物館の主役といえば、やはり日本の恐竜王国・福井県で見つかった国産恐竜たちです。福井県の名を冠するフクイサウルスとフクイラプトルの全身骨格標本は極めて美しく、後者については動く全身復元ロボットが1階エントランスホールに設置されています。また、ゾウのようにたくましい足をした竜脚類フクイティタン、可愛らしい小型獣脚類フクイベナートルなど福井県産種の研究成果の解説も充実しており、太古の福井県が正真正銘の恐竜王国だったことを強く感じさせてくれます。

個人的には、フクイラプトルのかっこよさに胸が踊りました。ぜひご来館して、日本の大地を闊歩していた勇猛な肉食恐竜と対面してください。

福井の恐竜フクイサウルス。約1億2000万年前(白亜紀前期)に生きていたイグアノドン類の植物食恐竜で、全長は4.7 mあります。骨格を眺めている人物は筆者の母です(笑)。
フクイラプトルの生体復元ロボット。福井県で発見されたメガラプトル類の肉食恐竜です。本物は全長4.3 m、体重300 kgと推定されています。

勝山市の地層では恐竜以外にも多種多様な動植物が発見されていて、約1億2000万年前の福井県はとても豊かな生物相を有していたことがわかります。当時の福井県の自然環境を再現したジオラマ展示は、見れば見るほど想像力を掻き立てられます。

白亜紀前期の福井県をイメージした再現ジオラマ。手前に立つフクイベナートルは全長2.5 mのテリジノサウルス類であり、脳や耳の構造が詳細に研究されています。

福井県立恐竜博物館 総合レビュー

所在地:福井県勝山市村岡町寺尾51−11

強み:圧倒的な恐竜研究の知見、超広大な施設による大迫力の化石展示、県行政と一体化した抜群のブランド力

アクセス面:各種交通機関が充実。えちぜん鉄道や送迎バスを乗り継いで、地域の旅路を楽しめる。自家用車やレンタカーの人は、勝山市内の恐竜スポットを巡りながら行くのがオススメ!

恐竜王国・福井県を象徴する大型博物館ということで、学術面でもエンターテインメント面でも卓越していました。入館時は冒険へ旅立つような高揚感を覚え、観覧後には恐竜についてもっと知りたいと思う強い好奇心が芽生えているはずです。
国内有数の恐竜化石産地に立つ福井県立博物館は、まさに日本の恐竜学のトップランナー。最先端の研究成果に触れると同時に、我が国に生きていた恐竜たちとの出会いを楽しんでください。

なお、めちゃくちゃ大人気の博物館ですので、全国各地からたくさんの人々が訪れます。観光シーズン中は混雑が予想されるため、観覧時間には余裕を持って来館しましょう。

博物館の手前の広場にある竜脚類恐竜型のモニュメント「レインボーサウルス」。イタリアのデザイナーが設計した巨大な芸術作品です。

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