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銀河帝国本同好会 ⑤ 「太陽系帝国の危機」

すみません、ちょっとスケールダウンしました。
(^^ ;

巨匠、ロバート・A・ハインライン、1956年の作品です。
火星で重要な式典に参加する予定だった太陽系帝国の元最高大臣が行方不明になり、不遇だけど才能のある俳優がその替え玉として選ばれ、宇宙スケールの政治的陰謀に巻き込まれるというお話です。
舞台こそ、火星人、金星人、木星人などが共存する太陽系帝国なる星間国家ですが、ストーリーはフレデリック・フォーサイスみたいな政治サスペンスといった趣です。
派手さはないかわりに、替え玉にされた主人公が正体をバラさないように危機を切り抜けてゆく様がスリリング。
SF的な面白さを追求した作品というよりも、政治的な陰謀ものをハインラインが自分の土俵であるSFで展開したという印象です。

舞台となっている太陽系帝国の成り立ちは、読解力のせいか今ひとつわかりにくいです。
国家元首は「月の王」と呼ばれる皇帝で、終盤に登場して意外な役回りを担います。
この皇帝も、政治を担っている人々もみんな地球人なので、「太陽系帝国」というより実質「地球帝国」なのかもしれません。

ますます「銀河帝国」から遠のきますね…

火星人、金星人が出てくるほど古い作品である上、翻訳も古いので、「旅にん」とか「生命杖」といった言葉の持っているイメージを掴むのにちょっと苦労しました。
その後、原題である「ダブル・スター」のタイトルで新訳が出たようなので、こちらも読んでみたいです。

サスペンス一辺倒でなくユーモアもあり、皇帝が主人公にサインをねだるくだりは笑わせてくれます。

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