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高校にイナゴの佃煮を持ち込んだ話

※商品名は甘露煮ですが無視する方向でお願いします
高校生が希望性でコオロギの粉末入りのコロッケを試食したという話が炎上しています。

まず、記事をきちんと読んでほしいというのはさておき、この原因の一つが無理やり食べさせられた等の思い込みからくる根拠のないデマです。こういった意見を見ていると若い世代とそれ以外の感覚の乖離のようなものを感じました。
そこでもう4年も前になりますが、わたしがお土産としてイナゴの佃煮を高校に持って行ったときの同級生たちの反応をまとめたいと思います。

普通の教室にコオロギが現れた

まず、最初に私が通っていたのは少人数のクラスでこそありましたが、SSHのような特殊な取り組みをしているわけではなく、特段偏差値が高いわけでもないごくごく普通なクラスでした。
私自身のカーストは高いというわけでもなく、どちらかと言えば大半のクラスメイトからは苦手意識を持たれていたとのクラスメイトの証言もあります。実際遠足など単独行動可の行事ではおおむね一人でした()
クラスメイトが特別意識が高かったとか、私が立場を利用して半ば強制的に食べさせたということではないことはご理解いただけたでしょうか。
そんな僕がお土産としてイナゴの佃煮を教室に持って現れたのです。
当然ながら最初はドン引かれました。当たり前です。ゴキブリが現れたというだけでわざわざ僕を呼びに来るようなクラスです。基本的に虫に対する免疫はありません。
とりあえず、私からは味の説明と甲殻類アレルギー持ちは食べないようにという説明をしたうえで昼食の時間に実際に自分が食べるというパフォーマンスを行いました。

一人が食べるとみんな食べ始めた

私が実際に食べた後、一人の女子が興味を持ちイナゴを食べました。すると、その女子からイナゴの味を確認したほかのクラスメイトもイナゴを食べ始め、その日のうちにクラスメイトのうち半数以上はイナゴを食べました。
次の日には他クラスにもうわさが広まり、わざわざ他クラスからイナゴを食べにくるという一見異様な状況が発生し、最終的にはパックいっぱいのイナゴは消費されることとなりました。
イナゴの佃煮はおいしいものですが、いい方は悪いもののそこまでキャッチ―な味ではありません。(どう転んでも佃煮です)この現象には若年層の間に昆虫食への好奇心、言い換えれば潜在的な需要があるが故ではないかと思います。
また、この際に面白いと感じたのが意外と女性の方が昆虫を食べることに対する抵抗がないということです。最初に食べたのが女子であったということも関係するかもしれませんが、今回の事例では女子が率先して食べ始めるという現象が起こりました。また、うちのクラスの生徒はほぼ全員がイナゴを食しましたが、最終的に食べなかったのも男子生徒です。(甲殻類アレルギー無し)さらに、他クラスからわざわざ食べに来たのも大半は女子でした。
私の経験上、女性ほど虫に対する拒否反応が強いという印象を受けていましたが、この時から考えを改め、女性の間で虫が忌避されるのはおそらく教育が原因であると思うようになりました。
実際、上京してからいろいろな昆虫関係のイベントに参加すると、女性比率がかなり高くなっており、順応性の高さが感じられます。ボランティアなどでも存外、説明をしても虫に近づけないのはお父さんの方だったりして、思い込みの危険性と同時に全員に理解を求めることの難しさを痛感しました。

今回の炎上について

今回の件に私の経験がそのまま当てはまるかということはわかりませんが、若年層の間に思ったほどの昆虫食への抵抗感はないという一つの事例は少なくとも示せたと思います。
また、昆虫食に興味があっても昆虫そのものへの忌避感がない世代というわけではないので、仮に食べなかったからと言って批判の的になるという空気は醸成されていないと個人の経験からは思います。(いじめなどがあれば別の問題ですが)
個人が食べたくないと思うのは別の問題であり、押し付けられることがあってはいけませんが、一方で学生たちの活動に対して自分たちの価値観をもって批判を行うということもいかがなものかと思います。
決めつけや押しつけは将来の可能性をつぶしかねないということはここ数十年の日本社会が示してきたことのように思います。
実際、僕も属性で価値観を決めつけていたりもしましたが、そうじゃない可能性も考えることが重要なのではないかと思います。

コオロギの危険性について

コオロギの毒性等の根拠のない意見はさておき、意見の中にはコオロギのアレルゲンとしての側面を気にするなどある種自然というかまっとうな懸念もありました。
こちらについても少なくとも学校側は甲殻類アレルギーの生徒に対して注意を促していたことは確かです。
また、調理自体を実習という形で生徒が行っており、少なくとも関係した生徒たち自身の理解度は、おそらく批判している方々の理解度よりも上だったのではないかと考えられます。(添付記事参照)

まとめ

とりあえず、今回の僕の経験はきちんとした統計でないにしても若年層には意外と昆虫食が受け入れられている(あるいはその土壌がある)という事例の一つにはなるのではないかなと思います。
個人個人の意見や特性は尊重されるべきですが、それはだれでも同じこと。根拠のない批判によりそれらがゆがめられたりつぶされたりすることは本人の未来や社会の可能性をつぶすことにもつながります。(無論、昆虫を食べたくないという意見についても同じことです)
自身の忌避感や思い込みでで他人の未来をつぶすことがないようにしていきたいです。

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