#6恐怖のデッキ係

前回までのあらすじ

日本大学芸術学部、演劇学科演技コースに入学し、俳優を目指すが、

なんだか上手くいかない日々、そんな時にダンスと出会い魅了され、勢いだけで中退。

三井聡19歳ダンサーとしての人生が今始まる!


#5恐怖のデッキ係

ダンススタジオに通い始めて、一年も立たない頃スタジオ公演に出るチャンスをもらった。

先生からは、まだ経験は浅いけど勉強までに。と

ダンスに夢中の三井に具体的な目標ができ、ますますエネルギーが増していった。

リハーサル場所には毎回、各地の公民館を使用していた。

場所によっては音響設備などが整っていない所もあり、日替わりデッキ係というものが存在していた。

デッキというのは今はなきCDコンポだ。重くてかさばる。

大きさはだいたいドラム型のメッセンジャーバックくらいある。

そのデッキを稽古場から自宅に持って帰り、次の稽古場に持っていき、それをまた別の誰かが持っていくというものだ。

ちなみに常に持ち歩いてる稽古着やシューズなどをいれてるmyバッグもデッキぐらいの大きさだ。

デッキ係の日は誰でも民族大移動みたいな見た目になる。

女性がデッキ係になる時は、「荷物持ちますよ」ってナンパの口実ではない、心からの「持ちますよ」を貰うだろう。

↓デッキ係になった時に不便になる事↓

・トイレに行く時。(和式は無理)

・狭いコンビニは入れない。(コンビニ型キオスク)

・満員電車(3回は謝る。)

・suicaをタッチする時。(体めっちゃ傾ける)

・タッチした後、改札を通る時。(カニ歩きならなんとか、、)

・先生に怒られた後、落ち込んでる時のデッキは異様に重い。(やはり心身は共になんだ)

などなど数えきれない足かせを感じる。


そして、デッキを忘れるという事はリハーサルが無音になってしまうので、スタジオメンバーは死んでもデッキを届けるのだ。

自分がいけなくても絶対デッキは届ける。

気持ち的には、戦時中に武士が伝書鳩に託すような、、

まぁ、鳩にデッキはデカすぎる。



スタジオ公演も佳境に入ってきて、衣装通しの日々

公演の衣装は10着以上はあったと思う。

もうお分かりだろうか、、

衣装通しの期間は、myバック+10着の衣装+デッキ

ただでさえ民族大移動だ、これ以上はサーカスだ。

流石に男でも「荷物持ちましょうか」て真心のナンパにあうに違いない。


衣装通しで体力気力共に疲弊しきった僕にスタジオメンバーが言った。

「今日のデッキ係は三井な」

サーカス団への切符を手に入れた。。


人はあり得ない状況にこそポテンシャルを発揮し、ドラマが生まれる。

なんとかする力はプロには必要不可欠だ。

人は人のポテンシャルを感じたい、そしてドラマを見たいのだ。


次回#7三井聡のポテンシャル

続きはまた明日!!







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