SatoshiIwasa

岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。季刊「Recipe」。詩誌「凪」参加。日本現代詩人…

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岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。季刊「Recipe」。詩誌「凪」参加。日本現代詩人会員。詩集準備中。詩の下書き用。マガジンにて過去作を掲載しております。Twitter:@iwasasatoshi 1984iwasasatoshi0428@gmail.com

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最近の記事

野菜を、借りる

お隣さんから、 玉ねぎの、静寂を借りて、お料理がはじまった 別の惑星が、この家から、ひろがった 我が家に新しい、虚空を なりたたせるという 口約束には、アルコールが入っていないから ものがたりという、日付の無い暦を 駆ける季節風に、溶けこみ 体毛を、くすぐられた鹿の 歩幅の、一つ一つに神さまが こびりつき、死後の肉片が 古代の文字に、生まれ変わった 真冬の犬のように無駄のない優しさがあった。 隣に住む人の 欠落を探そうとした。 例えば、発熱するときの吐息。そのにおいは

    • ~5/15

      新雪は、人を耳で、睨む。冬を知る人が根菜を、片手に持つ。いづれ風雨が、しずかに煮込まれるだろう。木漏れ日から、生まれる光の幾何学を、いつか屋根裏部屋に、もたらしたのは誰か。雨漏りの比喩がしたたり、一文の述語が、さだまらない会話文。海月水族館を、しずかに聴いていたことがある。恣意が、指のかたちで、水槽に、触れ る。水母に、耳を澄ます。わずかな静電気から、心のにおいが漂ってくる。暗緑色の光の、屈折のなかでしか揺蕩えない。本当は、どこにいるのかわからない小さな表現。移動水族館が、街

      • ~5/6

        辞書の、文字から雨音がする。午後の、言葉たちは、濡れた欠片だった。牛の、破れ目から、植物の一節が、芽をだそうとするとき、影踏みで遊んだときのようにとても感覚的な少女が、自分の名前を、逆さまに唱え続ける。静脈の色を、幾筋もためこんで、漁のための歌の、嚥下を繰り返し、駆けている。 アトピーは、宙に浮くもの。午睡の、私はわたしと手を繋いだ。はじめに、手を繋ごうとした私はすでに、余白になっている。肌は静かに、動物であることを、拒否している。爪をたてることはわたしが、自分であることの

        • 〜4月24日

          河口のように睡眠して、鼾は緩やかな抑揚を描いたが、寝言は立体だった。人でありたいならば、馬に内臓を蹴られる必要がある。死に、直結した意思が、言語の直訳しかゆるさない。隠語のような微笑みで、夜を膨らませたい。闇には結構、薄荷が混じっているから、拒食症の気配を、少量ずつ食う。 風が、不意に鹿だった。どの消去法で、現れたかわからない。目に少し、青空を溶かして、次は誰が、殺されるのを望むのか。静脈の続きから、夕方が生まれ続ける。新しい骨を、地面にくれる倒置法。群れのなかの鹿が、次々

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        • 詩作、過去作品 公開保存用
          31本

        記事

          墓(朗読)

          凪、朗読会のためのもの 会の運営、お世話様です。 録音にて、失礼いたします。 第5号、16ページ、です

          ~4/10

          人でありたいならば、馬に内臓を蹴られる必要がある。 生き残った最後のネアンデルタール人は、自慰も忘れて、刃物を研いだ 絶滅危惧種が、水辺で、虚空にとけようとする。次の語源を、待っている。 最後に、役割を考え、罪悪感を、排泄することで、妥協した。 白亜紀からつづく山土に、いくつもの受精があった。遠くの人間の、静脈が、ほぐれているのか。 林床の、ネアンデルタール人は、消滅した。陽光にあたり遺伝子が、ひらがな、に落ち着く。 霊性を、たどる蝶は 骨を、吹く 岩陰に、排泄された跡があ

          ~4/3

          見ず知らずの霊性を、乱視に、取り込み、少しずつ、純血を、こぼす。頭文字のような母親が、声をあげた。子どもの、便の軟らかさが、元にもどった。薬箱は、まだ夜の味方で、黙秘権を、使い続けている。指先に刺さった棘を、抜いてくれた人を、時折、思い出し、身体のどこかで不安を飼い続けるだろう。 舌ったらずの歩行で、神さまがサ行を運んでいく。遠くの森林が夜を、吐き出すのを、諦めきれない雨の朝。発音記号に、石鹸をつけて、揉むように洗う。神経かけらが、散らばって、排水口に、痛み、が残されている

          ~3/26

          日記を開いてうつ伏せにする 夏が猛暑だったからといって 暖冬とは限らない 過去を含んだままの肺が 未来の空気を吐き出す 大きい息の塊をもった 誤差のような人が 早めの時間を連れていると 言葉に引き止められるが どこまでも書きかけの手記で 先送りがまだ到着しないから 寓話をあてにして続ける 空耳は、別の空耳を探す。空耳の快活さで、神経は身体の外にはみ出すことがある。空耳は、齧歯目のみる夢に繋がる。齧歯目は夢のなかで、新しい招待状の挿絵が、多年草に変わっていたことを尋ねた。休暇

          生活のアスタリスク

          詩集 掲載 予定 です 以前、ココア共和国と、日本現代詩人会投稿欄に、投稿した作品を、詩集に載せる為に、仕立てたものです。約4000字くらいありましたか。すいません、、 組版? などを現在、やっておる。出版、は、七月堂さまに、おねがいしています。 今年中に間に合えばよいが、、、読んでいただいた方、ありがとうございます。。

          生活のアスタリスク

          依頼エッセイ下書き 詩の書き方について どうせ才能なんてないのですから

          ①才能とかないから諦めましょう。  自分が、特別だと思っている人がいますが、そういうあなたは、一度死んでください。まず、あなたが、才能ある人を、見たことがありますか?? わたしは、特にないです。人は身近な他人を特別であると、あまり思わない生き物なので、あなたごとき人がこの狭い世の中で特別と、認められるであろうはずがないのです。ということは、書いている人間は、なんかよくわからない在りもしない思い込みで書いているし、ましてや読んでいる人間だって曖昧なのです。  だからこそ、書きは

          依頼エッセイ下書き 詩の書き方について どうせ才能なんてないのですから

          海老せん餅

          窒息を、美味しく食べて 海老を、せん餅にする不安に満ちる その感情を尾行すると 海老の目の裏側がみえてくる 異性の指先が、いくつも残っていた 生活の下書きのような、指紋の連続に 砕くと輪郭が、溢れた 血が次の火曜日を運んでいます 一つ一つの活字を、咀嚼する口の形を 海老は忘れない 遺骨の匂いを、混じらせながら 小さな蜂起の跡がある いろいろな季節の暴力に 満ち足りた豊かさの味 我々はいったいどこに 咀嚼を飼っているのか 薄っぺらの火曜日を 口にするとその遺伝子が 粉々にのこ

          海老せん餅

          〜3月16日

          病気の白い指こそ詩をすすめていく。ことばをつねに、洗面器の水に浸そうとするから思い出の頭痛、その一つ一つが、素数になって水面に浮かび上がってくる。いつかわたしの、ささやかな失禁のはなしをしたい。青空を、脇にはさんだまま、5月の水田を、嘔吐する。砂鉄を、出産するのはいつになるのか。 砂浜をあるく。砕いた星を、踏んでいる。船は、以前を、積んでいる。綱をもやう。散文を、過去に向かって綴る。そんな名前が、永遠につかない行為の微熱で、訴訟をおこす。清潔に、ただ在るというだけで一方的な

          虚空との対話

          「擬人化は人の都合ではありませんか」「言葉で捉えるしか方法がありませんし、言葉は人の都合で生まれています」「それであなたの女にまでなる、というのは些か図々しいと思います」「同時に何か所にもおいでになるので困り果てておりましたし、それに一ヶ所に、どの時間にもいらっしゃるからです」「理由になっていませんし、もともと捉えどころがないという意味です」「とりあえずわたしの脇の下の空洞を『タキコ』と名付けてもよろしいでしょうか」「なぜタキコなのですか」「初恋の人の名です」「スーパーキモい

          虚空との対話

          ~3/13

          演繹法をもう一生、理解できなくてもいいや。太平洋を、シャーレにおさめて、季節風で希釈すると、抽出される魚の群れ。瞳孔から産まれた具体例が、見る、という行為を、波間に、還そうとしている。姉たちの背中の上を、散歩できていた時間がすぎると、汽水域の恋愛は、激しい素数の姿でとおりすぎる。 悪意がないから尚更たちがわるい腐葉土は、果実のなかに無理やり入りこもうとします。 静かな書斎を探していたのでした。にぎやかな兄妹が多い腐葉土は、死が近い場所で、小説を描きたかったのです。 そうして

          ~2/28

          過去、坂道は、点描であふれていて、それらが側溝に入ってしまわないように、丁寧に蹴りながら帰った。手袋のなかの、一人称の温さを覚えている。角の更地。以前に住んでいた友人の、たましいだけ残っている。この水溜まりの一つにも願いごとが溶けているから、できるだけ鉤括弧を小さくしながら喋る。 気管支炎の夜に、胸にぬってくれた薬。今の生活の、脈絡を棄て、前世で聞いた、濃い方言のなかで、眠りまじめた。自分も噴水の続きになろうと、魚が、午後の日光を吐き出しはじめる。湖面を、底側からみた景色を

          残骸

          俳句を、ホモ・サピエンスがつくっていいのだろうか。 。瞬間現れ出る光は、どう痛むだろうか。 繋がる例え話の一節に生まれ変わる。秒針よりも正確な手話を、この夜から拾えるか。わたしのなかの暗闇の かすかに重くなる。 の歌を隠そうとする。 砂を、手からひと続き 尖 別の惑星にも蒔きたくなる。 8月14日まとめて冒頭、か。この世界の学校には、、平均台…雨季の人 いつか通りすぎる子午線を本当の色のついた線だと想像して。 感じながら、 のみ込むという行為。私の精神を、牛の喉