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ファシリテーションとは何なのか【読書のキロク】

こんばんは、"もっちゃん"です。

教職大学院で講義を受けています。
多くの講義で、省察・リフレクションの名のもとに、グループでの討議が行われます。

そういった際に、しばしば"ファシリテーター"という役割を指示されることもあります。

なんとなく話し合いを進めたり内容をまとめたり、と漠然としたイメージを持っている方も多いと思います。

自分は学生時代にファシリテーションを対象とした研究をしてはきました。

が!

ファシリテーションという言葉が広まり、どう捉えられているのか私もわからなくなってきているところもあります。

なんとなく世間でいうところの"ファシリテーション""ファシリテーター"がどういうものなのか、ひとまず概観したいと思い、今回の本をチョイスしました。

大学院での研究から10年もの月日が経っているもので、まずはアップデートしないとと思っています。

◯今回読んだ本:『マンガでやさしくわかるファシリテーション』 著者:谷益美 作画:円茂竹縄 日本能率協会マネジメントセンター

以前読んだ『知識創造』バージョンに味を占め、こちらで外観することにしました。

ちなみに以前の【読書のキロク】はこちらです。

どちらかというと、こっちの方が面白かった気もするが…。

◯概要

本書が取り上げるファシリテーションとは、単なる会議進行のスキルではありません。チームを率いて成果を生み出すリーダーに欠かせない重要なスキルです。
ストーリーの主人公は、地方のとあるメーカー代理店に出向した若手社員。現場のメンバーは立場もタイプもさまざまで、うまくミーティングを進めようとしてもよそ者扱いでまったく相手にされません。ファシリテーション講師の教えを受けながら、プロジェクトを成功に導くために「メンバーのやる気を引き出す」「ミーティングを活性化させる」ファシリーダーへの道を進みます。
リアルなマンガとベストセラー著者による解説のサンドイッチ形式で楽しみながら学べる1冊です。

上記ホームページ「この本の内容」より

「ファシリテーション」という言葉は現在ではいろいろな場所で使われますが、この本ではそれを包括的に捉え、“会議”“ミーティング”におけるファシリテーションをメインに据えて、話を進めているように思います。

◯“会議”や“ミーティング”におけるファシリテーション

本書では、“会議”や“ミーティング”におけるファシリテーションについて描かれています。細かいストーリーについて書くとネタバレになってしまいますので控えますが、社会人がより遭遇しやすい場を想定していると思われます。

合議に至りたい、話し合いの末に最適解を見つけたい、という最終的なゴールがあるもとでのファシリテーション、と言い換えることができるでしょうか。

教職大学院にいる私でさえ(社会とは少し場の異なる場所に在籍する私でさえ)、参考になる考え方、テクニック等がたくさんありました。

個人的には、「ソーシャルスタイル理論」(David Merrillによる)に基づいて、自分やメンバーをタイプ別に分けながら考えていくもの等、面白かったと思っています。
※ソーシャルスタイル理論についての説明は割愛します。以下のリクルートマネジメントソリューションズのコラム等、いろいろなサイトでも紹介されています。

https://www.recruit-ms.co.jp/issue/column/0000000149/?theme=skill

また、意見をまとめることに向けたさまざまなテクニック(考え方の枠組みや、実際に出た意見をまとめる方法など)がとても参考になりました。

◯ファシリテーションのキモ

本書では、ファシリテーションを簡単に言うと、という問いに対し、

「引き出して」「まとめる」

という言葉で表していました。
上記で挙げていることは、そのための一つの手段、ということになります。

細かく言うと、
「引き出す」とは、参加メンバーの中からアイデアや思いを表出してもらうこと
「まとめる」とは、出たアイデアや思いから、一つのアイデアを練り上げていく
ということになるでしょうか。

それを踏まえると、主に「唯一解のない、最適解を導く」際に、このファシリテーションというものが行われる、と考えられるようにも思います。

◯そもそものファシリテーションのはじまり

上まで考えたところで、「ファシリテーション」とはそもそもなんなのか、というところを考えたくなりました。

自分としてはファシリテーションというと「ワークショップ」のイメージがあります。
教育現場でも「ワークショップ型研修」と呼ばれるようになった研修のスタイルから、「ファシリテーション」という言葉が浸透してきたように思います。

そこから「ファシリテーション」という言葉が、少し一人歩きし始めたような印象を持っています。

そもそも「ファシリテーション(facilitation)」の元の意味を考えてみると、

facilitation:容易にすること、便利化

weblio英和辞典

でした。
では、facilitateという動詞はどういうことでしょう。

fasilitate:容易にする、楽にする、促進する

weblio英和辞典

ということのようです。
ファシリテーションという言葉は、もう日本語としても定着してきていることのように思います。もともとの意味をたどると、上記の「促進する」という部分が、本来の意味で着目すべきところかなぁと思います。

もともと使われていたワークショップを考えると、ワークショップはそもそも参加者が積極的に物事に関わることが想定されている集団のように思います。

それが非常に広義的に解釈されるようになり、もはや積極的でない参加者もいるような場でも「ファシリテーション」の言葉が使われるようになり、参加者から考えを「引き出す」というニュアンスが付け加えられてきたようにも感じます。

◯目的と場に応じたファシリテーション

そう考えると、一般に「ファシリテーション」という言葉が出過ぎてきているようにも思います。

ワークショップでのファシリテーションもあれば、会議やミーティングにおけるファシリテーション、懇親会等でのファシリテーション、いろいろあると思います。

その人の集まりの“目的”“場”に応じて、必要なファシリテーションというものも変わってくるように思います。

“目的”“場”によっては、本書のテクニックはいらない、あるいは別のスキル等が求められることもあるように思います。

いろいろなスキルやテクニックを自分の引き出しとして持ちつつ、適切に提供できることが大切なのかと思いました。


ということを考えました!

安易に"ファシリテーション"と言ってきていたものの、改めて考えるとその深さを感じた次第です。


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