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[閉鎖病棟入院日記]暴れる患者がぴたりと静かになる薬

精神科の閉鎖病棟では不安になったり気持ちが不安定になった時に渡される薬があるのでそれについて今回は書いていこうと思います。

抗精神病薬クエチアピン

まず、閉鎖病棟ではいきなり大声で叫び出したり、いきなり泣き出したりする情緒が不安定な方がたくさんいます。

そうした方は大抵の場合、ナースステーションまで連れてこられて半強制的に薬を飲まされます。それがクエチアピンという薬です。

私もナースステーションの前でよくテレビを見ているので、他の患者が飲まされる様子を見ていたのですが、ものの見事に荒れ狂っていた患者が静かになるのです。

またクエチアピンは難治性の不眠にも使うらしく、双極性障害の人で睡眠薬が効かない人に使うと良い場合もあると薬剤師の方が言っていました。

ただの不眠ではなく、病気からくる不眠の場合にはその病気自体を治療することで不眠が治る場合もあったりすると作業療法で教わりました。

パニック障害である私の場合

ただ私の場合は少し違います。パニック障害にはクエチアピンは少し強すぎるからです。先日入院中にパニック発作が起こったことがあって、その時は頓服を飲めることを知らなかったので我慢するしかありませんでした。

そこで医師の診察の際にそれを言ってみたところ、まず頓服でロラゼパムを処方してもらいました。

ロラゼパムは中時間型の抗不安薬でマイナートランキライザーの一種です。マイナーという名前にもある通り、そこまで作用は強烈ではありません。おそらく暴れている患者に投与してもそこまで効かない薬です。

医師からはロラゼパムが効かなかった時は、次にクエチアピンを飲むと良いとアドバイスされました。

まずはマイナートランキライザーのロラゼパムで抑えて、それでもダメだったらメジャートランキライザーのクエチアピンを使うという処方になっています。

今後パニック発作が病院内で起こった時は迷わずロラゼパムとクエチアピンを使ってその効果を試してみたいと思います。

統合失調症と双極性障害を合併した患者が飲んでいた薬

病院内で過ごしていると、たまに他の患者から話しかけられることがあります。その時はお互いの病気のことや現在の仕事の状況などについて話します。

私もテレビが置いてある病院のホールの前でくつろいでいたら、たまたま30代くらいの男性から「最近入院してきたの?」と話しかけられて少しお互いのことについて喋りました。

どうやら彼は統合失調症と双極性障害を合併しているらしく、ヒルナミンというめちゃくちゃ強烈な薬を飲んでいるそうなのです。

彼は大学卒業後に病気を発症してしまったらしく、私と同じように無職のようでした。

それからはたまに話をする程度の仲なのですが、側から見ても誰も彼が病気だとは気づかないでしょう。それくらい自然な振る舞いをする人です。

しかし、頭の中では色々と悩んでいることがあるのだろうと思います。私のパニック障害は薬を飲めば症状がすぐに抑えられますが、統合失調症と双極性障害を合併していたらなかなか症状を抑えるのは難しいと思います。

妄想や幻覚、気分の落ち込みなどが主な症状だと聞きましたが、薬を飲めばそれですぐに治る病気ではないのだと思います。

入院して良かったこと

入院して良かったことは、私の病気はまだ精神科の中では軽い方だということです。先ほどの彼のように薬で症状が抑えられない人もいるし、そもそも人格障害を持っていて、もはや何の病気かわからない人たちも多く入院しています。

そうした治療しても治る見込みのない人に比べれば、自分の病気なんて大したことないと思えたのは大きな収穫だったと思います。

きちんと薬を飲んで休養をとればおそらく治るだろうという見込みが立つだけ私の場合はまだ運がいいのかもしれません。

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