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日本語なまり、上等!

はじめに


アメリカに来てから、あっという間に30年近くの年月がたちました。
来た時は、2、3年もすれば英語は完璧になるかなぁ、なんてのんきに構えていましたが、いつまでたっても英語は外国語。

なまりもあるし、書き間違いもよくします。ネイティブスピーカーと同じようにはなれないままです。でも、それで全然オッケー!
ツラの皮も厚くなり、大体、完璧ってなんだっけ?と開き直って暮らしてます。

大学、大学院と長いあいだ文系の学生をし、博士論文も書いたので、それなりに読み書きもしましたが、やっぱり日本語はラクでいいなぁ、と思う毎日です。


これからnoteで、英語好き、英語嫌い、英語にコンプレックスや苦手意識がある、などなど、英語が気になる人や、読書好きのみなさんと、ゆるく気楽に英語で読書をしたり、また、アメリカ生活や、英語のあれこれについて書くなどしていけたらいいなと思ってます。

でもその前に、これだけは!ということをひとつ。
日本で暮らす日本人は、英語のポテンシャルがかなり高く、能力があるのに、使える英語を使っていなくてもったいない、ということです。
特に、ネイティブ信仰に縛られて、発音に自信を持てないなんて、とてもとてももったいない!
ネイティブスピーカーを英語の頂点として、そこから比較して減点していく必要なんて、まったくないと信じてます。

大体、英語を使いこなすのに

ネイティブスピーカーになる必要ってあったっけ


最初の何年かは、自分のつたない発音が恥ずかしくて、しょっちゅう下を向いて口ごもったりしていたのですが、ある日、アメリカ人の友だちに言われたひとことで目からウロコが落ちました。

「どうして日本語なまりが恥ずかしいの?なまりのない人なんて、ひとりもいないのに。」

友だちの一言 大学院時代

確かに。。

英語には、ひとつの「標準語」と、その他おおくの「方言」、という日本語のような対立構造がありません。「標準(スタンダード)」が存在しないので。(アメリカ人に聞いてみると、シカゴが真ん中にあるから標準だ、いや大都会ニューヨークだ、とか意見はバラバラで、オフィシャルな「標準語」はありません。)
なまりは英語でアクセントと言うので、すべての英語は「OOアクセント(なまり)」。

アメリカなら南部なまり、中部なまり、など「地方の名称」+「なまり」。イギリス英語ですら、「ブリティッシュアクセント」、つまり無理やり訳せば、イギリスなまり。(ほんとに無理やりですが)

「なまり(アクセント)」という言葉にネガティブな響きはなく、「英語の特徴」みたいな感覚です。もちろん、「クイーンズイングリッシュ」にあこがれる人はいるし、なまりという以前に発音がまだ上手にできなくて通じない、というのも外国人あるあるです。

でも、ポイントは、「たったひとつの”正解”の英語(ネイティブスピーカーの英語)」VS「それ以外の、”間違い”の英語(なまった英語)」、ではなくて、この世界には「種類の違う英語」がたくさんある、ということです。

なまりもCool!


そして「自分たちの英語とは違う英語」には、いいイメージがつくことも多々あるのです。たとえば、ヨーロッパなまり(ヨーロピアンアクセント)はアメリカでは基本的にモテます。かなりなまりがきつくても、通じる程度であれば、好意的、どころか、セクシーとか言ってもらえます。

という話をすると、控えめな日本人は、でも「日本人のなまり」は好意的に受け取ってもらえないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、ここで朗報です。長年親しくしていた教授に、こんなことを言われたことがあります。

「きみの英語の発音は年々アメリカっぽくなっていってるけど、日本語なまりは残しておいたほうがいいよ。かしこく聞こえて得するから。」

文化人類学/言語学教授の言葉 大学院時代

もちろんこれは、誰にでも当てはまるわけではなく、たとえばアジア人蔑視の気持ちのある人にとっては、日本を含むアジアなまりはいいイメージはないでしょう。
でも、それ以外の大勢の人にとっては、イメージは特に悪くはないし、教授のような学術的な世界や、ビジネス界に生きる人にとっては、実際にかしこく聞こえるようです。(アジア人は勤勉で勤労意欲が高く、優秀なイメージが強いので)

更に言えば、これは10年以上前の話です。今の日本のイメージは、ゲーム、マンガ、アニメ、ファッションなどのおかげで更によくなりました。
最近、若い人を中心に日本にクールなイメージを持っている人が増えたな、と感じます。中国、韓国のイメージも急速に変わってきているので、アジアなまりのイメージは全体的にポジティブになってきているようです。

日本語なまりに対し、かしこさだけでなく、かっこいい、クールというイメージを持ってくれる人が、どんどん増えているんです。



日本語を使って毎日生活が成り立っている上で、英語を少しでも話せる、または話そうという気持ちがあるなら、それだけですごいこと。
だって、なくても生きていけることで、もっと上手にできたら。。など思い悩んだり、がんばったりしてるんだから。素晴らしい向上心!
謙虚な日本人は、なかなかそういう自覚を持つことがないようで残念ですが。

だから、英語の発音がうまくできなくても、英語しか話せない人に下に見られる道理はないし、たいていの人はそんなことしません。する人がいたとしたら、それはその人に問題があると言っていいでしょう。
そして、二か国語かそれ以上話せる人なら、母国語以外の言語の難しさもわかっているので、外国語の発音ってきついよね、とか話が合うかもしれません。

もちろん、英語の発音は日本人にとっては難しいものもあるので、通じる発音を身に着ける必要はあります。でも、そこを大まかにクリアすれば、十分です。言語はコミュニケーションのためにあるのだから、身振り手振りを加えてでも、通じればオッケー。発音より、笑顔のほうがよほどコミュニケーションを助けてくれます。

あなたの英語が、どこかのアメリカ人やイギリス人とそっくりの発音になる必要なんて、ないんです。そのアメリカ人やイギリス人も、なにかの”なまり”を持っているんだから。

世界的にイメージのいい日本人は、ラッキー!
日本人が嫌い、という人を見つけるのは(特に英語圏では)とても難しい。

だから堂々と、前を向いて、
日本語なまり(ジャパニーズアクセント)でいきましょう!




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