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角野隼斗ツアー2024KEYS@Kitara2024.3.19


はじめに

思えば、昨年の2月、やはりこの同じ場所で、私にとっては初めて体験したかてぃんさんのソロツアー

その時以来のかてぃんさんのピアノ…

昨年6月にPenthouse さんのライブでも聴く事が出来たけど、リサイタルでは1年1ヶ月ぶり…

その間、道外への遠征予定もあったけど流れてしまい、結局北海道に来て頂く事をお待ちする日々…

今や、たくさんのオケとの共演があれど、津軽海峡を渡ってくるのは難しいらしく、どんなに北でも東北止まり…

そんな中、ツアーが発表されて本当にうれしかった…
そして、当日MCで
かてぃんさんご本人が

「大好きなホールに戻ってこれてうれしいです」

私もまた来れてうれしいし、
かてぃんさんも思ってくれていてうれしい

そんな私が聴いてきたKitara札幌公演をまとめるほどの内容ではないけれど備忘録として残します



待ちに待ったかてぃんさんは蝶ネクタイ姿で相変わらず颯爽と現れまして

私にとって生蝶ネクタイ姿は、オルソップさんとのショパンピアノコンチェルトツアー初日のリリアの公演ぶり…

わ、正統派…
クラシカルな前半だからかな…

なんて思いながら
そして

お帰り〜!
めっちゃ待ってたよ…
ちょっと〜、久しぶり過ぎない?

など、上から目線で心の中でつぶやいていた

昨年同様、全方向に向かってご挨拶をされてから着席…



バッハ
イタリア協奏曲へ長調BWV971


予習のグールドさんよりテンポは少し早めに聴こえたけれど、とても心地が良いバッハ…

1楽章は、凛
2楽章は、蒼
3楽章は、華

って漢字が浮かんだ…

凛としてはじまり
少しくすんだ青を感じて、蒼
その後、華やかに

そしてずーっとトリルが美しく

是非バッハさんが作曲した時代のチェンバロでこの演奏を聴いてみたい
強弱のつけられない楽器では、かてぃんさんのトリルが曲に抑揚をつけてさらに美しく聴こえるはずで、是非生で聴いてみたい

前回ツアーでは、1曲ごと一度下がられていた記憶だが、今日は1曲目が終わったあと、すぐにマイクをお持ちになりMC

「寒い中、来て頂きありがとうございます
札幌に戻ってくる事ができました
大好きなホールに戻ってこれてうれしいです」

コンサート前日夜から札幌は3月にしては多めの雪が降り
寒い中…なんて、こちらのセリフですよ
昨年の2月開催よりは、天候の心配もないかと思っていたが、前日の強風もあり飛行機が飛んだのかも心配だった
そんな中、かてぃんさんが無事に来道してくださり本当にありがたい

「前半はバッハ、モーツァルトと、まだピアノがこのような形になる前に書かれた曲を演奏します」

あぁ、そうか
昔の楽器と同じように、その限られた鍵盤の範囲内で演奏されているのか
88鍵の上から下まで、ではなく
もっと狭い範囲で

しかも昔は強弱もつけられない楽器だった時に作られた曲を今のピアノで演奏なのね
その時代を想像して聴いてみる…

モーツァルト
ピアノソナタ第11番イ長調k.331「トルコ行進曲付き」


優しい優しい子守歌のような音がホール全体に響いて心地よい時間が流れる

時にどこか茶目っけたっぷりに飛び跳ねる音たちはKitaraのホールいっぱいに広がってキラキラと聴衆の心に舞い降りる

タッチが本当に柔らかく

私はかてぃんさんのモーツァルトを生で初めて聴くけれども、かてぃんさんにとてもピッタリ!と聴きながら思っていた
マエストロサッチー(指揮者藤岡幸夫さん)が絶賛するかてぃんさんのモーツァルト
コンチェルトも是非生で聴きたくなった

3楽章のトルコ行進曲
メロディが流れてきて懐かしさが込み上げる

我が家の二女が小学生の頃、この曲を練習していた
我が家に先生が来て頂く出張レッスンだったため、私は隣の部屋から聴こえるピアノ曲をいつも楽しく聴いていた

ある日、トルコ行進曲の楽譜をチラッと見たら、シャープやフラットがない!左手もなんとか最初は簡単そう!と思った私はニ女に負けじと毎日毎日トルコ行進曲を練習…

そんな20年近く前の事が思い出され
また楽譜開いてみようかな…とも思わせるかてぃんさんのトルコ行進曲は素晴らしかった

軽やかで、でも勇ましい
装飾音で跳ねる音までも美しく
オクターブのメロディで進む最終コーナーは本当に気持ちが躍動する
とっても素敵な演奏だった

角野隼斗
24の調による
トルコ行進曲変奏曲


いよいよ予習にはない、完全お初になる曲…

MCにて

「調というのは全部で24あるのですが、その24個全ての変奏曲にしてみました
聴いている調がなんの調なのか、わかりやすくするために、この白い球体を用意しました
ちょっと弾いてみます…
(球体に色が灯り、変化する)
ハイテクですね笑
照明さんありがとうございます笑
詳しくはプログラムに説明がありますが、数を数えたりどの調が好きだったかなど楽しんで聴いてみてください」

楽しんで、と言ったかはうろ覚えですが、私には楽しみしかなかった…
こうして聴衆を飽きさせないアイデアも他のピアニストさんのコンサートとは違うよなぁ…と思う

昨年は4つの電球💡が灯り、それを見て足し算の暗算をした
ピアノのコンサートで暗算をする日が来るとは思わなかった笑
でもそうやって目も耳も舞台に集中するのには、とても効果的だと思う

今年は暗算はなくなったが、今は何番目の調の曲なのかと、今回は指折りして数えるモードとなった
私のポンコツな耳だけに頼らず、球体の変化する色も頼りに24調を確かめる旅に出た

先程聴いたノーマルなトルコ行進曲がどんどん展開されていく

This is HAYATO SUMINO!!!!!!

もう、これが角野隼斗さん✖️かてぃんさんなんですよね、と言わさる
(北海道弁で、言うつもりはないけど言ってしまうの意味)
(今回は、聴いた人はみんなわかっているだろうから言わなくても良いと思うけど、どうしても言ってしまう…のような意味)

クラシックの超有名曲、誰もが知ってるメロディを、こう来るか、そう来たか、と指折り数えながら聴く私…

クライマックスが来て、すごいなぁすごいなぁ…と拍手しながら私の指折りを見てみると

21…笑

アレ⁈
どこで違っていたの?
球体、ちゃんと見ていたんだけどな…

その後の休憩時間に改めてプログラムで確認すると
非常に非常によく似た色が隣同士にある調を発見
私も何度か、アレ、転調したように聴こえたけど、球体の色は変わらなかったな…やっぱ私の耳が変なのね…と思った箇所があったので、もしかしたらそういう部分でズレてしまったかと思う
次は自分の耳をもっと信用して数えてみたい(←千穐楽の配信で再チャレンジ!)

たくさんの拍手の中、かてぃんさんは一度ご退場…

休憩中


前半はグランドピアノ1台だった舞台にアップライトピアノ、チェレスタ、トイピアノ、鍵盤ハーモニカが運ばれてきた
設置されたアップライトピアノは昨年12月たまたまの上京時に会う事が出来た、恥ずかしながらポロンポロンと直に弾かせて頂いた、あのかてぃんピアノだった事がとてもうれしかった

かてぃんさんの鍵盤ランド→コックピット→要塞が出来上がった

自席からもかてぃんピアノのサインが見えて
テンション上がる…


角野隼斗
大猫のワルツ



たくさんの拍手に迎えられて現れたかてぃんさんは黒シャツにお召し替えされて、ピアノではなくチェレスタに向かってご着席

あの可愛らしいイントロがまたまた可愛らしくオルゴールの音のようなチェレスタで演奏される…
とても幸せな気持ちになる

全編チェレスタで弾かれるのかと思っていたが、曲の途中でチェレスタの反対側にあるグランドピアノにクルッと身体の向きを変えて何事もなかったように弾き続けるかてぃんさん

その向きを変えた時に

「おお〜!」と言う声と、どよめきがホール内に響く
続けてトイピアノの音が鳴ると今度は温かい笑い声が

昨年のツアーでも、アップライトピアノからクルッと向きを変えてグランドピアノを弾くのは見ていたし、Penthouse さんのライブの時には電子ピアノからグランドピアノに向きを変えるし、私はあちこちで何度も見ている光景だが、やはり今回初めてかてぃんさんのピアノを聴きに来ている方がたくさんいる、という事がよくわかった瞬間だった

思い返せば
2022年5月に、このKitaraで私は初めて生のかてぃんさんの演奏を聴いた

札響さんとのラプソ
その時も途中鍵盤ハーモニカを吹きながらピアノも弾くかてぃんさんのパートでやはり

「Oh〜…」

と、控えめだが漏れてしまった驚嘆の声があちこちから聞こえた

その時よりもこの日は何倍も大きなどよめきに感じた

自作の曲の時に、聴衆の隠しきれない反応を感じながら演奏するかてぃんさんはうれしそうに見えた

昨年のツアーの日に動画の再生回数が100万回に到達し、Ecでこの曲を弾いてくださった時よりも、一段とプリンちゃんの可愛らしさと軽やかさが増した演奏だった

チェレスタは妖精の雰囲気だったりトゥシューズで可憐に踊るバレリーナさんを思い出す浮遊感のある音色だが、これからはプリンちゃんも思い出す音色になった


ガーシュウィン
角野隼斗編曲
パリのアメリカ人


私が今回のツアーで1番興味深く、早く聴いてみたかった曲がこの曲だった

プログラムの次の曲、ボレロと同じようにオーケストラの曲を一人で演奏する編曲をかてぃんさんご自身でされたという

ボレロは前にTVで拝見していたから、きっと今回のはもっとすごいとは思っていたが、パリのアメリカ人に関しては、鍵盤楽器で全編演奏するのはどんな風になるのかとなかなか想像がつかなかった

ボレロは決まったリズムと楽器を変えながらも決まったメロディ、フレーズが最後まで続いていく曲だが、パリのアメリカ人は、おもちゃ箱をひっくり返したような(ガーシュウィンがパリの街で感じたままの)曲調で時に突飛なクラクションが鳴ったりもする

予習でシカゴ交響楽団の演奏を何度も聴いていた
曲を歌えるまで全部覚えることは出来なかったけど私がこの部分はどうやって鍵盤で表現するんだろう…と思ったフレーズやメロディは何ヶ所かあった

オーケストラはたくさんの楽器があり、そのそれぞれの楽器の中でも1st、2nd、3rdなどと分かれていて、違う音やフレーズを演奏し、それがオーケストラ全体の合奏となって曲が出来上がる

1人で演奏するとは、主となるメロディだけを追ってコードを付けて演奏するのではなく、たくさんの音数の中から音を選び、演奏する事で和音や厚みを深めてオーケストラに近づけていく作業の中、どのように音を選び、鍵盤ランドで再現させようとされたのか非常に興味深かった

私が気になっていた中間部のトランペットで歌うフレーズの1つは、エモエモの鍵盤ハーモニカが使われた
あ、この鍵盤ランドの中では、この選択になるなぁ…合うなぁ…と

もう1つは、その後に現れる静かなパートから一転、若々しいブギウギのようなフレーズはアップライトピアノでの演奏
そう来たか…笑
こちらも、とても楽しくて良かった

最後まで鍵盤ランドのKEYSを駆使して1人オーケストラの完成…
オケ譜をどのようにKEYS譜にしたのか気になって仕方ない…

曲前のMCで

「自宅と同じように鍵盤に囲まれているとそれだけで気分が上がるんですよ」

本当にそれがわかる演奏だった
素晴らしい1人オーケストラ
しかも鍵盤楽器オンリーで

ガーシュウィンさんも喜んでるはず

ラヴェル
角野隼斗編曲
ボレロ

いよいよプログラム最終曲
一度下がられたかてぃんさんと入れ替わりで調律師の桉田さんがアップライトピアノへ

何かしてる…
何か長いものを取り付けてる…
マイクかな
(この疑問は3/21に公開になったかてぃんラボの動画で謎が解けた)

舞台は暗転
そこにかてぃんさんと思われる方が
そっとピアノの方へ歩いていく
暗いので目を凝らしている時に
あのボレロの冒頭のスネアドラムの音が小さく聴こえてきた

ピアノの音としては音色が違う
そしてずーっとブレずにあのリズムを刻み続けている…
そしてメロディが流れている
舞台は暗く

アップライトピアノに照明がついているようだったが私の席からは良く見えなかった

スネアドラムの刻む音はルーパーだと思っていた
でもアップライトピアノでかてぃんさんが刻んでいるようにも聴こえる…
途中少しだけ途切れて聴こえる時はかてぃんさんがグランドピアノに真っ直ぐ向いている時で…
もうそのリズムがどうなっているのか気になり出したら止まらない

メロディはオケ版を聴いていても気になっていた、ピッチが合っていないように聴こえる不思議なパートになり、コレはどうやって弾いている?
(これもかてぃんラボで解明された)

1人で演奏しているのが信じられなく、ずーっと聴いていたいのに、ラストに向かい、ものすごい盛り上がりでエンディングとなった

なんなんだろ、これ、本当に本当に素晴らしすぎるんですけど

割れんばかりの拍手
ブラボーの声もかかり
でも道民はシャイなんで、すぐスタオベは出来ず
(でも、スタオベする人もいた)

アンコール①
角野隼斗
夜明けのノクターン

鳴り止まない拍手の中、アンコールに応えて、マイクを持ったかてぃんさん

「ツアーも残り少なくなりまして…
明日は函館へ初めて行くんですが、札幌〜函館間は東京〜大阪間より遠いと聞いてビビり散らかしてます笑」

と、かてぃんさんのお話に客席は笑い声…
道民にはよくわかる話題で…

「遠い」と話されていたが、言いたかったのは「距離」ではなくて「移動時間」が東京〜大阪間よりも、札幌から函館へ行く方が時間がかかるって事だと思われ、ビビり散らかしたのだと思う…
北海道は移動時間が本当にビビる…
(距離は東京〜大阪は約500㌔、札幌〜函館はその半分ではあるが、交通機関での移動時間が全然違う)

アンコール曲は、僕が作った曲でまだどこにも音源は出ていないもので
ノクターン(夜想曲)というタイトルですが夜明けのノクターンという感じの曲です

と、ご紹介がありアップライトピアノでの優しい優しい温かなメロディ
1度しか聴けていないので、雰囲気しか思い出せないが、心の中に灯りがともるような美しさがあり、冒頭から続く三連符は水面が優しく波立つように感じる部分もあり
温かな希望を感じた曲だった

静かに曲が終わり、少しの静寂のあと、先程のボレロにも負けないくらいの拍手…

かてぃんさんは何度もお辞儀をして拍手に応えて下がられた

その姿を見ていて

さっき、渾身の演奏でボレロを弾ききった人と本当に同じ人?
この振り幅って、何だろ…
かてぃんさん、凄すぎる
こんなにすごいプログラムを聴かせてくれてありがとうありがとう…
ノクターン、心に沁みるよ…

と、そんな気持ちがわいてきて
涙が流れて仕方なかった…

アンコール②
角野隼斗
きらきら星変奏曲

またまたアンコールに応えて頂き、マイクを持つかてぃんさん

「この曲はツアー中、毎回違う調で弾いてきました
だからなんだ、って感じですが笑
今日はB♭mです」

(あの黒パーカーの5度圏をツアー初日からずーっと1つずつ回ってきている)

そして、撮影OKのきらきら星変奏曲が始まる

途中、「さよならマエストロ」のテーマ曲を彷彿させる部分が来たか、と思えば、そこからものすごいジャジーに一変して、かてぃんさんの頭の中はどんな事になっているのか…

今までのツアーでの30秒動画をたくさん拝見してきたけれど、今日のはまた特別に感じるきらきら星…

たくさんの拍手の中、一度下がられ、その後は私も周りもみーんな立ち上がりスタオベ
会場、ほぼスタオベに見えた

私の席の右側の方に金子先生とかてぃんさんのお母様が座っていらして、お母様がスタオベの様子をホール全体見回して、ニッコリされているお姿がとてもホッコリした
金子先生もお母様もうれしそうだった

最後に舞台に現れたかてぃんさんは、コンサート前と同じように全方向にお辞儀をして、去り際に手を大きく振って帰られた

久々のコンサートはこうして終わりとなった
私も幸せな気持ちで帰路についた
(自宅着はAM1時頃だった)

行かせてくれた家族にも感謝

おまけ

私にとってKitaraといえば、絶対にご挨拶に行かなければならない場所が

レナード・バーンスタインさんの像
まだまだ雪深く足元も危ない雪原の中を歩いてレニーさんに会いに行った

寒空の下、1人でKitaraの庭から若い音楽家さんたちをいつもどんな時でも見守っていてくれてると思う



最後まで読んで頂きありがとうございました
次は6月Penthouse さんの札幌2days、7月の武道館で…

号外も頂き、KEYSのキーホルダーのリボンは
濃い紫だった


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