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虎に翼 第6週

「寅子は試験に合格し、初の女性弁護士になれました」

ひとことで言ったらこういう週で、劇中でもたくさんの人が「おめでとう」と喜び祝ったのに、寅子も私も全然そんなめでたい気分にならない。「弁護士になれた寅子」の後ろにいる「弁護士になれなかった人たち」にも、大事な物語があることを知ってしまったから。

生まれた国が違うことであらぬ疑いをかけられ、試験には決して合格できない。それを知りながら友だちのために一緒に勉強を続けていた香淑さん=ヒャンちゃんのこと、思い出すとまた泣いてしまう。彼女を責める特高に、真っ先に「なぐる?こいつなぐる?」って顔でズン!と立ち向かうのが寅子とよねさんなの、すごくよかった。虎と狼。
梅子さんと涼子様もそれぞれの言葉で立ち向かうし、強い。涼子様が「うるせえ黙れ」を涼子様ワードで言うのよかったなあ。玉ちゃんは「お嬢様を守る!」という自分の使命を忘れていない。甘味屋の夫婦もやんわりと大人なやり方で助けてくれる。みんなが、巨大な横暴と戦おうとしている…でも、勝てない。

ヒャンちゃんは帰国。涼子様は家と親を捨てられずに結婚。梅子さんは離縁されて光三郎くんと家を出ていく。それにしても試験直前に離縁を言い渡すの、タイミング最悪すぎる。自分の妻が愚かではなく自分と同レベルの知性があると認めるのが嫌で、どうしても試験を受けさせたくなかったんだろうな。ああいう、一番相手が嫌がる時に一番嫌なことをするのが生きがいみたいな人っているよね。これで、クソ夫オブザイヤーにエントリー確定です。

仲間たちが次々脱落していく中、高等試験を突破しても。
口述試験で服装のことを言われて反発したよねさんは不合格。
寅子の励ましで、お腹の調子がよかった優三も不合格。
月のものが始まって本調子ではなかった(だからたぶんおとなしくしおらしく見えた)寅子は、合格。

そして寅子たち合格者三人は「一番だ」とほめたたえられる。
男だけしかいない祝賀会で。

あの人たちをずっと見続けていたかった。

寅子の演説、何度聞いても泣いちゃう。そうです、その怒りは寅子たちだけのものじゃなくて「私たち」のものなんです。私たち、すごく怒ってるんです。

ありがとう寅子、怒ってくれて。ありがとう伊藤沙莉さん、あんなにすばらしい演技を。ありがとうこのドラマを作ってくれた人たち。

海辺ではしゃいだあの時間。いつかまた、あんなふうに彼らが笑い合えますように。私たちも、怒りから解放されますように。勝てますように。

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