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ゴールデンシバスキー、そんな犬種はないですが ー4

飼い主が障がい者ですけど

あなたを幸せにできているかな。
長い散歩ができて、追いかけっこやボール遊びもたくさんしてもらえて、みんなで遠出して、兄弟を迎えてあげて、素敵な服を着て、高価なおやつを食べて。
そんなことは私たちにはできないけど、あなたは毎日楽しく暮らせているかな。

長い期間外飼いにして、寒い日暑い日、外で過ごさせてしまいました。
子犬の頃は夜中、犬小屋でよく遠吠えをしていたっけ。
寂しかったんだろうなと思います。
一人ぼっちで長い時間留守番させることも多かった・・・。

どうにかしてあげたいと思いながら、やっと、余生短くなってしまった今、家の中で、一緒に過ごしています。
暑い時寒い時も共に、おはようも、いただきますも共に。
夜、おやすみと言って電気を消すと、私たちの寝室を見にきます。
よし、二人ともいるな。そう確かめに来るみたいに。
「ここにいるよ。おしっこ我慢できなくなったら起こしにおいで」
と声をかけると、自分のベッドに戻ります。

那須は犬も飼い主さんも暮らしやすいところかと思ふ

トイレのこともあるので、長時間の留守番はさせません。
必ず私か夫がそばにいる。二人で出かける時は連れて行く。
少しでも暑い日は出かけない。
外食する時はできるだけ犬も入れるレストラン、またはテイクアウトで公園で。
テツを連れて夫婦で引っ越してそろそろ3年になります。

雨上がり、ここが一番近い舗装道路。お腹がどろんこにないようにアスファルト道まで来ました


幸いにしてここ那須は、犬に優しい土地柄です。
犬と一緒に入れるカフェはたくさんあります。
普段の散歩では誰かに会うことはありませんが、週末はみんなで公園に行きます。
「てっちゃん元気だった?」
テツを覚えていて、声をかけてくれる犬友もたくさんいます。
時々、ドッグランにも行きます。
テツは年寄りですが、けっこう思い切り走ってきます。
犬だって、老化は足から、だと思いますので、毎日歩いて目指せ「ピンピンコロリ」です。

近所のお姉さん

大雪が降って20センチは積もったな、という日に、テツを連れてカッパを着て、車椅子でラッセルしながら散歩しているのを見ていたのでしょうか。
近所のお姉さんが、「てっちゃんのお散歩、私がやってもいいっですか?」と言ってくれました。

とりわけ雪が好きというふうでもないテツ

YAMAHAの電動車椅子は以前東京にいた時、行政に買ってもらったもので、もう20年も使っていますが、かなり頑丈。
この地にやってきて、冬の雪の日に車椅子でラッセルしながら散歩に行くのは、私には楽しくて仕方がない。
しかし見る人によっては「大変だなぁ」と思われたかもしれません。

しかしその車イスも、未舗装道路を毎日ガリガリ走らせたせいか、とうとう壊れかけ、砂利道、雪道の走行が難しくなりました(東京にいた頃は駅のホームとかデパートとか、きれいな道しか走らせなかった・・・)
ここ栃木県で再度申請してみたのですが、電動車椅子は買ってくれないので、さあどうする、自分で買うと50万だぞ、と困っていた頃です。

お姉さんは家業を手伝っている人なので、時間を制約してしまうと申し訳なく遠慮したのですが、犬が好きだし、テッちゃんも好きだし、いずれ犬を飼うつもりだから慣れたいのだ、と言ってくれました。
冷たい風の吹く日、雪の日、テツのお散歩を代わってくれます。
お姉さんはその後、本当に保護犬を飼い始め、今ではその子と一緒に散歩に連れて行ってもらってます。
私たち家族を見守っていてくれる人が近所にいて、ありがたい限りです。
テツも強運を持った犬だと思います。

ご飯机を父ちゃんに作ってもらったテツ。廃材、ワインコルク、最後にペンキで塗装

他のわんこを考える

今、食べ物も飲み物もなく、ひとりぼっちでさまよっている犬が、日本中世界中にいると思います。それは子犬であったり、高齢犬であったり、病気や障害を持つ犬であったりするでしょう。
飼われていても、繋がれたままで、うんちやおしっこをそこでするしかない子も田舎ではよく見かけます。
真夏の最中に日陰のない場所に放置されている子、雪が降りしきる中、雪だるまのようになっている子もいるでしょう。
近所にも助けてあげたい野良の犬がいますが、私にはどうすることもできないまま、ご飯だけを差し入れています。

どうしたらいいのだろうと思いあまって、やったことのないSNSを始めました(それぞれ慣れるのに2〜6ヶ月かかった・・・)。
私財と自分の時間をかけて東奔西走し、不運な動物たちを救い続けている人々が、SNSを読むとたくさんいらっしゃって、その人たちを私は尊敬します。
不運な犬たちを私は助けることができないので、テツの面倒だけはせっせと見ています。
それでもいつか介護が必要になるかも知れず、その心の準備をし、日々『ピンピンコロリだぞ』とテツの耳元に囁きます。

テツ16歳。お誕生日は知らんけど、多分もう16歳になるゴールデンシバスキー、テツのお話でした。

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