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【詩作】冬の夜

チェーン店のファミレスで
胸の小さなウエイトレスが僕に寄る
しばらく僕は、目を逸らしながら考え込み
ドリンクバーを頼んだ

冷たい言葉をたくさん選んでも
心の中までは冷やせなかった
そびえ立つ妥協の壁に
安くて苦くて熱いコーヒーをぶちまけた
泥水みたい
ねえねえと甘ったるい声で彼女
ねえ、ねえ、湿っぽい関係を続けられるなら
誰かの尺度で生きるのも楽しいのかもね
しがない日々にロマンスは要らなかったと、
国道沿いで立ち止まる
うねる前髪に積もる冬の夜
自意識だけが溶けずに残る
遠く、好きだった人を思い出す
風に消えて、うちへ帰る


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