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【詩作】deep blue

まだ、隠れたままだよ
軽はずみな早起きで
ジオラマみたいな街を行く
朝未だきの空、
星ひとつ
一日の手前は静かに横たわり

100円のコーヒー
値上がりの煙草
湯気と煙
ゆらゆらと外気の中
寂しい味を、味わった


君の好きな店の前に立って
ガラスに映る顔を見つめたら
アーバンな生活が不意をつく
後ろめたい気持ちも歌にすれば
どうにかなると思ってた
すれ違う時ほど我慢して
それが正義と思ってた
“うそみたい”って呟いた関係も
棄てたところで何も変わらなかった
君と一緒にいられるなら
季節の移ろいに戸惑う寒がりも
怖がりな去り際も、お喋りな夜更けも
ぜんぶ受け入れて 暮らしていけるかな
最寄り駅の改札付近でしゃがみ込み、
見上げた、青、白、
深く潜って
魚の気分で東雲を縫い泳いだ
汚い野良猫が懐いてきたから
あの日と同じ手で可愛がった
でもね、そろそろ行くよ、僕も
寄り道の家路、薄明、背に受けて
ほんのり温かく
そうやって寒さを知った、
秋の朝

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