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新潟県庁の医学生向け行政インターンに参加した話

7/24-27の4日間、新潟県庁の福祉保健部にてインターンシップに参加してきました。
医学生が参加できる行政のインターンはなかなか珍しく、メインは厚労省(倍率高い…)と新潟県庁だけなんじゃないかと思っています。
私は医療の中でも、より多くの人数にアプローチして集団の健康レベルを高める公衆衛生に興味があったことや、周りで新潟県庁インターンに参加した医学生からの口コミを聞いていたことなどから、今回参加してみることにしました。


失うものは何もない、得るものしかなかった!!

結論から言うと、新潟県庁インターン、本当にオススメです。
新潟まで交通費結構かかるし…そこまで行政や公衆衛生に興味があるというわけでもないし…という画面の前の医学生のみなさん!朗報です!
なんと、県庁のインターンに参加するタイミングで新潟県の病院を見学すれば、交通費補助が6万円まで出ます。(しかも全学年対象!)

また、泊まる場所についても、タイミングによってはホームステイの利用ができます。
私が泊まらせていただいたのは、新潟県医師会長の先生のお宅でした。ご夫妻がきめ細かい気配り・声掛けをしてくださる上、ふるまってくださる料理も本当においしく、温かい雰囲気の中で1週間生活することが出来ました。
同じタイミングでインターンに来ていた医学生とも毎晩遅くまでいろいろな話ができ、とても楽しい思い出になりました。

ホームステイの様子

新潟県庁インターンってどんなことするの?

私がいた4日間では、大きく分けて以下のことをしていました。
①福祉保健部で行われる様々な会議に同席
②新潟県のコロナ対策、特色ある研修プログラムなどについてのレクチャー
③部長から割り振られるタスクにインターン生で取り組む
④and more(タイミングによる)
下記で詳しく説明していきます。

①福祉保健部で行われる様々な会議に同席
じつは、新潟県は医療に関して様々な課題がある地域です。
例えば、人口あたりの医師数を見ると新潟県は全国でも最低の水準。また南北に長いという地理的特徴により、過疎地域も多くなっています。
こうした現状から「限られた医療資源をどう活用し、医療の提供体制を保っていくか」「若い医師をどう新潟県に誘致するか」といったテーマでの会議が毎日数多く行われていました。

医師不足の課題を解決するために、新潟県では病院の再編・地域枠の拡充・各病院で特色ある研修プログラムの提供など、様々な対策が講じられています。
病院の配置や医師の確保という、今まであまり馴染みがなかった医療の課題を認識できたこと、複雑な課題にどう長期的にアプローチしていくのか間近で体感できたことなど、大きな学びがありました。

新潟県のコロナ対策、特色ある研修プログラムなどについてのレクチャー
①で触れたように、新潟県では医師不足の課題が深刻です。そんな現状にもかかわらず、コロナ対策では陽性者あたりの死者数・人口当たりの感染者数を日本一少なく抑え込んだという特筆すべき成果を収めています。
なぜそのような成果を出せたのか、スピード感を持って数々の先進的な取り組みを実行してきた行政医の先生から直接レクチャーしていただきました。

また、若い医師に新潟の医療に興味を持ってもらうため、新潟県では特色ある初期研修プログラムを提供しています。
その一つが、「イノベータ―育成臨床研修コース」という、初期研修と並行してMBAで扱うビジネスの視点や課題解決力を養う講義を受けられるプログラムです。
この講義の内容を決める会議にも同席させていただき、課題解決力を高める考え方などについて、福祉保健部長でありMBAも取得されている松本先生からレクチャーしていただきました。

③部長から割り振られるタスクに取り組む
①、②はインプットがメインでしたが、③ではアウトプットのために、インターン生同士で議論しながら資料作成などに取り組みました。
各々がどこまで内容を理解できているか確認しつつ、伝える対象を意識した構成や表現になるよう、考えを共有しながら一つのものを作り上げていきました。作成の過程は大変でもありましたが、全員での議論を経て、資料を納得できる形に着地させることができ、大きな充実感を得られた経験でした。

④and more (タイミングによる)
今回私が県庁に伺ったのは、3年間福祉保健部長をされていた松本先生が7月末で退任されて厚労省に戻られ、8月から新たな部長が就任される、という引継ぎのタイミングでした。
引継ぎに際しての松本先生のメッセージなど、これまで新潟の医療を引っ張ってきた松本先生の言葉を受け取る機会や、先生がしてきたことをどう次に引き継いでいるかを垣間見る機会も特に多かったのではないかと思います。

県庁インターンを通して得られたこと、これから頑張りたいこと

新潟県庁インターンでは、得られることも本当に人それぞれですし、経験できることもその時期によって大きく変わってくると思います。
そうしたことは念頭に置いていただきつつ、私が得られたこと、今後意識したいことをここに書き留めておきたいと思います。

・リーダーとして意思決定、実践をしていくこと
・言語化の重要性
・常に考え続け、前に進んでいくこと

リーダーとして意思決定、実践をしていくこと
新潟県庁福祉保健部は、県の医療の進むべき方向を決める中心となる機関です。その中で松本部長や行政医の先生は、さまざまな会議で迅速かつ正確な意思決定と実践をされていました。
議論の中で適切なタイミングで目的を再提示し、現在地と進むべき方向をクリアにすること・県として市町村の見本となるような姿を示していくことなど、どのように周りを巻き込み引っ張っていくかというリーダーシップを間近で体験できました。

言語化の重要性
松本先生は、課題を解決していくうえでの言語化の重要性を特に強調されていたように思います。
ひとくちに「課題解決のための言語化」といっても、

「そもそも課題を正しく認識できているのか」
「伝える対象はだれで、どの程度の前提知識があるのか」
「正確に言語化するためにどういったワードチョイスをしていくのか」

などなど、考えるべきことは本当にたくさんあります。
私は言語化にこれまであまり向き合うことなく、こうしたプロセスをおろそかにして、伝えることを諦めてしまうことも多かったです。
今回タスクに取り組んだりレクチャーを受けたりしたことで、言語化の取り組み方のヒントをいただいたので、これからは少しづつでも言語化にこだわるようにしていきたいと思っています。

常に考え続け、前に進んでいくこと
これは、7月末で退任される松本先生が、退任にあたって県庁の職員の方に伝えていたメッセージの一つです。
新潟県が抱える医療の課題の解決を3年以上にわたり行ってきた松本先生のメッセージは、強い説得力を持って自分の中に入ってきました。

松本先生は初日からわたしたちインターン生に「スタンスをとること=自分の中に仮説を持つこと」を大事にしてほしい、とおっしゃっていました。
わたしはこのメッセージは、「前提を疑って自分なりに仮説を持つことで、本来の課題を認識し、解決に向かうことができる」ということなのではないかと解釈しています。考え続け、動き続けることはなかなか難しいことでもありますが、しっかり向き合っていきたいなと思っています。

おわりに

いろいろ書いておきたい!と思っていたら、すでに思った以上の長文になっていました。。ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。

なんやかんやいろいろ書きましたが、一番自分が今回行ってよかったなと思ったのは人との出会いでした。
部長をはじめ、県庁の皆さんや行政医の先生、同じタイミングで来ていたインターン生・研修医の先生、ホームステイ先の会長ご夫妻、最終日の病院見学でお世話になった皆さん…などなど、1週間だったにも関わらず挙げきれないくらいたくさんの方とかかわり、多くの刺激をもらいました。感謝してもしきれません。
(実は帰宅するはずの日に携帯をなくすという大失態をしてしまい、携帯の捜索に協力していただいてホームステイも快く延長していただくという、人の優しさをさらに痛感する結果になりました…)

県庁インターンに行けて本当によかった、その一言に尽きます。
学んで持ち帰ったことを各所で活かしていくため、今後も精進していかねばと思っています。
今回はそんなところです。
読んでくださってありがとうございました。

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