見出し画像

神道は生き方 ヨーロッパ唯一の神主を訪ねて。

ポールさんは40年前、山陰神道の門をたたき、神主になった人だ。
きらさんにご紹介いただいて先日2回目の訪問。

今回は、神道の瞑想ワークがあるとのことで、是非体験させてほしいということをお伝えしていた。

ポールさんがDramaについて在学時に勉強していて、そこで日本人のアクターと会い、その動きに魅了されたという。
あまりにも美しくて、どんな美女が舞っているのかと思えば、年齢を重ねた男性だったという衝撃。
そこからポールさんは神道を探究したい思いで数々の神社の門を叩いた。

縁もゆかりもない外国人を受け入れてくれたのは山陰神道の創始者、山陰基央(もとひさ)氏だった。
https://d-museum.kokugakuin.ac.jp/eos/detail/id=9126

修行は、毎日海での禊、そして掃除。とにかく自分も外も清くすること。
感性を研ぎ澄ませ、師と様々な土地に行き、そこに根付くエネルギーを感じる力があるかどうかを試されたという。

100日間の修行を経てポールさんは神主となる。

そこで師からは神主の衣装だけ手渡され「あとは自由に」。
国家神道のように形式的な伝統を引き継いでいくというよりも、
目に見えないもの、言葉にならないものを引き継いでいく。
殊にルーツが違うオランダ人であるポールさんは戸惑われたに違いない。

ポールさんは「God」と「神(Kami)」を使い分けている。
神は神だそうだ。
そして全てに神が宿っている。
そばで咲く花々に、風に、木々に。

都市住宅のアムステルダムの一角にその神社はある。
自然と分断された生活を送るこの街にあえて拠点を置く。

ここに集う人こそが、この教えや救いが必要と考えているからだ。
オランダ人が通い、体や心の不調が治癒されていく。
目に見えるもの、論理が通るものだけが真実ではない。
ポールさんの生き方はまさにそれを体現されているものだ。

対話の後、待ちに待った瞑想ワーク。

一挙手一投足の意味を伝えてくださりながら、
ワークは流れるように進む。
息を深く吐く。
片腕を上げ、片腕を下げ、中心でパンと合わせる。
体を震わせる。

瞑想と聞いていたのでこんなに動きがあるものなのか、と興味深かった。
ただ激しい呼吸や無理な動きは一切なく、
その場の空間と一体となるような感覚があった。

ご一緒させていただいたNaoさんは、精神世界にも造詣深い整体師の方で、
終わられてから、普段されている瞑想との違いに驚いたという。
禅の瞑想との違いについて、
「禅は内的世界、内側へのベクトルに対して、今回体験した神道は、
外側に向かって、世界とつながる感覚だった。禅が陰なら神道は陽。」
と興味深い感覚をシェアしてくださった。

宇宙、自然、神。
極限まで自らを清めた時それらと自分はイコールで結ばれるのだろうか?
私たちのルーツを辿れば、元々はつながりを持てていたのかもしれない。

ここで、私がこの1日でずっと引っかかっていることがある。
それはポールさんの見解ではその「Kami」の思想が今のオランダの地方、
殊にキリスト教普及以前のオランダにも存在していたということだ。
諸説あるだろうが、ケルト系の人たちがその思想を持っていたのではないかとおっしゃっていた。

日本のオリジナリティ、ルーツを探究すればするほど、
世界はつながっていることを感じる。

私はいつも思う。
アニメ文化、和食など、異文化としての日本に他国の人々は惹かれているのだろうか。
「Ikigai」に代表されるように、その底流にある思想感に、懐かしさやオーセンティシティ(真正性)を感じ共感が生まれているのではないか。
そう、ポールさんが日本人のアクターの舞の美しさに息を呑んだのと同じように。
日本のコンテンツがワンネスを生む。世界を結ぶ。

そんなすぐ先の未来をどうリアルにしていくかを考え続けている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?