さらば、◯◯の事故物件よ

18歳の頃に、"とにかく安い"という理由で事故物件に住んでいた。
大学から徒歩5分で、近くにはスーパーなのかコンビニなのかわからないが生活の全てを売っている謎マートもあった(後に私のバイト先になる)

その事故物件は2階建で各階4部屋ずつ、合計8部屋ある築年数15~20年くらいのアパートだった。
しかし、1階の4部屋はすでに謎の新興宗教が借りていたので、学生への貸出は2階の4部屋のみだった。事故が起こった部屋は1K6畳の角部屋だった。

他の部屋は確か家賃35,000円?だったが、その部屋だけは事故物件+なぜか改装できない?という理由で水道代込みで25,000円だった。なんという安さ。ここしかない。

私には霊感があるとかないとか、そういうのが分からない。なんとなく感じる時もあるし、色々見過ごして生きてきたような気もする。
肉体を持っている方が強いだろ…どう考えても…みたいな思想があったので、本気で幽霊に勝てると思っていた。

そのアパートが事故物件だというのは、大学では結構有名だったので入学当初はよく周りから「なんであそこに住んでいるの??」と言われていた。

「(親の支援なしで…進学しているので…)」と言ってしまいたかったが、「(別に我慢して住んでいるわけでも…ないな…安いから…だな…!)」と思ったので「信じられないくらい、安いから…!」と素直に答えていた。

そんな私の初めての城は、マジでいろんな怪奇現象が起こった。

・鏡が置けない(なぜなら割れるから)
・電気が常についたり消えたりする
・玄関が常に湿気でビチャついている(なぜ?)
・ショートカットなのに、いつ掃除しても長い髪がある
・泊まりにきた人みんなが男の霊を見ている(私は見ていない)
・時々言った独り言に、返事がくることがある(はーい!って)
・この部屋で営もうとするとなぜか皆EDになる
(皆と書きましたが、2人です。)

あと、霊現象とは別で下記のようなこともあった。

・アパートの向かいに住んでいた天理◯の地域支部?みたいな家とアパート一階の信仰宗教が常に喧嘩していた。

・知的障がいを持っている中年男性がいつも私の自転車のサドルを舐めていた。(これは正直そこまで気にしてなかった。ほぼ毎日舐めていたので、100均の使い捨てシャンプーキャップを被せていた。)

・野良猫に異常に優しい民家と絶対に野良猫に餌をやりたくない民家が隣同士なので激闘の末、結果的に常に道路にキャットフードが撒かれており、アパートの周りに猫がめっちゃいた(個人的にはアリ。)

他にもたくさんのことがその部屋であったんだけど、私は意外とうまく付き合えていたような気がする。でも唯一、その部屋絡みできつかったのはその部屋で亡くなった人の母親が突然きた時でしたね。大事な人を無くした穴が塞がらないのを知っているので、なんと言っていいか分からず、ずっと無言でうなづいていたと思います。

色々書きましたが、結果的にはこの事故物件での寝泊まりを経験した元彼が「若い子が住むには色々環境が悪すぎる」という理由で、その後はほぼほぼ彼のマンションに転がり込んで生活していました。

そんな思い出のある事故物件も卒業と共にお別れし、自然と思い出す回数も減り、日々を過ごしていた。しかし最近になって、学生時代の友人から「さすらいちゃんが住んでた事故物件、今めっちゃオシャレになってるよ〜!」とLINEが来ていた。

あ、あそこがオシャレ???
そんなわけがない、あんな常に湿っていて常にほんのり寒いあのアパートが??

私はすぐに検索した…確かに、めちゃくちゃオシャレになっていた。
一階の新興宗教も撤退したのか、8部屋全部が学生向けのアパートになっていた。しかも女性限定。北欧風になっていた。ALSOKもついていた。

そして、201号室も…畳から綺麗なフローリングに変わり、蚊取り線香みたいな電気コンロもIHになり、トイレもウォシュレット完備に…

家賃も¥36,000に上がっていた….

私が過ごした奇妙(でもなんだかんだ楽しかった)なアパートの面影はどこにもなかった。誰でもいつでも舐めることができる駐輪場もなんか小屋みたいなのでができており、女性の初めての一人暮らしにぴったりのアパートになっていた。

ここまで綺麗に生まれ変わっていると、本当に私はこの部屋で過ごしたのか?とさえ思えてくる。でもすごい数の怪奇現象を容易に思い出せたので普通に過ごしている。改ざんしていない。うん。

スマフォのカメラロールに当時の写真が残っていた。

2階からの景色、とても良かった
手前の猫を撮ろうとしたら、下にもめっちゃ猫がいた
舐められすぎた自転車

写真を見返すと、色々思い出して懐かしくなる。私は自分からあまり写真は撮らないけど、あると今回みたいに当時を振り返れるのでやっぱり写真はとったほうがいいですね。

この事故物件のリフォームで結果的に写真の大切さを学んだので、やっぱり私にとってこのアパートは合ってたような気がします。

さらば、いとしの事故物件よ。今となっては懐かしく思える騒動の数々が愛おしく思えます。

書いている間に思い出したので、今度は学生時代に10万で彫刻のヌードモデルをやった話を書きます(多分)

ノシ

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