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文学フリマ京都8買った本の感想!2

さしす文庫が参加した文学フリマ京都8で、それぞれが買った本の感想です。

今回の #文学フリマで買った本 は、はるはる(その1)です。


『少女21グラム』 螺怪(樹海月文庫)さん(@kerakera925

女子高生を主人公とした20ページほどの短編小説が6編収録された百合短編集作品。

この作品を読んでまず感じたことは幅の広さ、角度の豊富さです。
全てのお話が、女子高生が主人公かつ舞台は学校でありながら、ストーリー、キャラクター、関係性、設定などがバリエーションに溢れていてシンプルにすごいなと思いました。
作者さんは小説のみに限らず、様々なメディアにアンテナを張って、たくさんの経験もされているのだろうなと思います。
自分のインプットの弱さを思い知りました。見習わねければなりません。

さて、内容についてですが、収録作品の中で好きだったのは3作目の『ペット』です。
※以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。



お金持ちの家に生まれた孤高な女の子(主人公)と家が貧しくいじめられっ子で孤独な女の子(ヒロイン)の物語。体育の授業で二人組を作る際、余り者同士で組んだことをきっかけに関係性が築かれます。

主人公はヒロインをペットと呼んでお小遣いを渡したり、ご飯を奢ったり、化粧品などを恵んだり、ある行為をさせたりと一見すると優位に見えるものの、その内情は穏やかではありません。

それはあくまでもお金で繋がっている、築かれている関係性であり、主人公も読者もどこかに不安を覚えながら過ごしていく(読み進めていく)こととなります。
加えて、主人公はお金目当てで友人のふりをされて傷ついた過去があるのに、他人よりも経済的に優位であることでしか自尊心を保てない面や、父親のおかげで経済的に豊かであるのに、父親の不倫が発覚したあと、もし両親が離婚するなら母親についていこうと決めている点(母親について行って経済的にどうなるか、このときは想像していない)など、主人公の不器用さや抱えている矛盾などが、二人の薄ら氷のような関係性の不安定さを増させている思いました。

そして物語終盤では主人公が恐れていた事態が起こってしまうのですが、それを解決しようとするヒロインの言動の突拍子のなさ、突飛さというのも二人の関係性"らしさ"のようなものを感じて面白かったです。

また、『少女21グラム』というタイトルも興味を惹かれる良いタイトルだなと思いましたし(実際にタイトルきっかけで買いました)、表紙イラストの女の子も可愛いです。
表紙のデザインもシンプルでありながらどこか惹きつけられるものがあって、見事に惹きつけられました。

百合作品、女の子同士の関係性を描いた作品を読みたい+短いお話を読みたいという方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。




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