猿丸法師

東京下北沢から神戸元町に拠点を移した編集者です。旨いお酒と肴、阪神タイガースと南の島で…

猿丸法師

東京下北沢から神戸元町に拠点を移した編集者です。旨いお酒と肴、阪神タイガースと南の島でのゴロ寝をこよなく愛しています。最近は歴史の研究と本作りに熱中。関西一円の霊気の強い場所と古代遺跡を巡っています。気が向くと愛車で深夜の阪神や名神高速を東奔西走します。

マガジン

  • 猿丸法師の歴史奇想

    古今の歴史の謎や秘密を楽しむ、現地出張型の夢想エッセイ

最近の記事

奇想ノ八「楊貴妃を救い出せ〜吉備大臣入唐絵巻に隠された密命」

傾国の美女と呼ばれる楊貴妃をお存知でしょうか。世界三大美女のひとりにも数えられ、また唐の玄宗皇帝の寵愛を一身に受けてついには唐帝国を衰亡に向かわせた文字通りの「傾国の美女」です。楊貴妃は安禄山の乱で死んだと伝えられています。しかし世の人々が惜しむ人物には必ず生存伝説が付き纏います。平安末の源義経、戦国の明智光秀、幕末の西郷隆盛、そして楊貴妃にも。舞台は奈良時代の日本です。この美女の不思議でロマンティックな生存伝説を追跡する奇想に旅立ちましょう。 奇想は二人の唐への留学生から

    • 奇想ノ七「桃の伝説〜卑弥呼と桃太郎をつなぐ紅い糸」

      桃太郎という御伽話を知っていていますか? 犬、猿、雉をお供に連れて鬼ヶ島の鬼たちを成敗し、金銀財宝を持ってお爺さんやお婆さんの元に帰って行ったという勧善懲悪物語です。このシンプルに思える物語の主人公桃太郎には、古代史最大の謎と言われる邪馬台国の女王卑弥呼と不思議な繋りが見えるのです。キーワードは「桃の霊力」です。この不思議な桃の繫り=紅い糸を辿る奇想の旅に出てみたいと思いませんか。 伝説の始まりは弥生時代最大の墳丘墓「楯築遺跡」  桃太郎といえばその伝説の地は岡山県と言われ

      • 奇想ノ六「イシキリとイスキリ〜古代ユダヤと物部氏を結んだ信仰の旅」

        大阪東部、もう生駒山麓に接するような山裾に、「石切劔箭(いしきりつるぎや)神社」という古社があることをご存知でしょうか。今でも多くの参拝者が訪れ、また地元や関西一円で信奉されている信仰が息づいている社です。この古社に訪れたとき、天啓のようにある奇想が浮かびました。「ここは古代ユダヤの渡来人と初期物部氏が習合して力を得た場所ではないのか」という奇想です。さてさてこの奇想が成り立つのかどうか、時間を遡って冒険してみたと思います。 今もお百度参りが実践される饒速日(ニギハヤヒ)の

        • 奇想ノ伍「長江から東シナ海を渡った鯉のぼり」

          GWがもうすぐやってきます。そして5月5日には端午の節句も。チマキや柏餅に鯉のぼりが思い浮かびますが、これらはどこからやってきたのでしょうか。国内での習俗としての発展もありますが、そもそもの発祥は何なんでしょうか? 今回はそれを奇想する旅に出てみたいと思います。 奈良時代の災厄封じから、江戸時代武士のお祭りへ 5月5日の端午の節句は、男の子のお祭りだといわれています。ですからこの日は鎧兜を飾り、あるいは鍾馗様を祭ります。そして青い空には高々と鯉のぼりが泳ぐ姿を想像しませんか

        奇想ノ八「楊貴妃を救い出せ〜吉備大臣入唐絵巻に隠された密命」

        マガジン

        • 猿丸法師の歴史奇想
          9本

        記事

          奇想ノ四「八岐大蛇殺人事件 凶器の天羽々斬剣を追え」

          八岐大蛇の退治物語をご存知でしょうか。記紀神話にも描かれている素戔嗚命が活躍する物語です。怪物を退治して美女を手に入れるという、古今東西の神話で語られる、英雄譚のプロトタイプといってよいでしょう。しかしそれはあくまで素戔嗚側から見た物語で、八岐大蛇側(あるいはその一族)から見たらどうなるでしょうか。これは立派な通り魔殺人事件です。今回はその視点から奇想してみましょう。 容疑者スサノオ、被害者ヤマタノオロチ、殺人現場出雲国 素戔嗚命による八岐大蛇退治物語を、日本書紀をベースに

          奇想ノ四「八岐大蛇殺人事件 凶器の天羽々斬剣を追え」

          奇想ノ参「神戸、海の古墳に眠る猿田彦」

          神戸は明治維新以降の新しい街なので、古代史の関連遺跡があまりないとお思いかもしれませんが、実は奈良や京都に負けない遺跡があります。それは垂水にある巨大で実に美しい前方後円墳の五色塚古墳です。この瀬戸の海が望める古墳の頂に立って、遥か古代を奇想してみませんか。 明石海峡を見降ろす海の古墳 私が神戸に住み始めてから一番驚いたのが、世界で最も美しい前方後円墳がこんなとこにあったのかという発見でした。  JR垂水駅から徒歩15分ほどのところに「五色塚古墳」という石で葺かれた美しい古

          奇想ノ参「神戸、海の古墳に眠る猿田彦」

          奇想ノ弐「会津は日本征服のメルクマール」

          古代から近世までの歴史を見ると、日本を制覇するには幾つかの場所を獲得する必要があるようです。その中で最も重要な2地点が「北の会津」と「西の吉備」です。歴史の中で多くの征服者が目論んだ日本征服戦略を見てみましょう。(注・メルクマールは目標、経由地などの意味) 奇想の始まりは会津の美味し居酒屋 福島県会津若松市、誰もが知る会津地方の中心都市です。私は岡山生まれで、長く東京の学校に行き、仕事をしていたのでなかなか縁遠い地でした。さらに北の北海道や仙台には行く機会もあったのですが、

          奇想ノ弐「会津は日本征服のメルクマール」

          奇想ノ壱「太秦は聖徳太子と秦河勝の夢の砦」

          太秦は不思議な場所です。決して京都(平安京)の中心地という訳ではないのですが、そのくせ広隆寺や松尾大社などの有力寺社もあります。そもそも地名がウズマサと読めません。ここがなぜ太秦=ウズマサになったのか奇想してみましょう。 広隆寺に掲げられた変形菊花紋 まず太秦で有名なのは広隆寺です(東映映画村という声もりますが、これは歴史奇想なので却下)。何といっても日本第一号の国宝、弥勒菩薩半跏思惟像が有名です(これは撮影不可です)。とても素晴らしい仏像で、半日でも眺めていられます。その

          奇想ノ壱「太秦は聖徳太子と秦河勝の夢の砦」

          猿丸法師の歴史奇想〜神戸からのプロローグ

          個人的趣味を超えて、商業出版にはできない歴史と旅へのアプローチを!   こんにちは猿丸です。コロナ前に東京から神戸に移住し、なかなかできなかった史跡、古代史巡りなどに勤しんでいます。東京にいた頃も西へ東へと愛車アウディA1で史跡を走っていましたが、神戸に住むと歴史がとっても身近です。神戸三ノ宮駅から京都でも奈良でも1時間以内に行けます。なんて素晴らしいんだろうと喜んでいたら、昨年一年はコロナで足止め状態に。それでも緊急事態宣言が解除された合間に、京都、奈良の史跡を巡っていま

          猿丸法師の歴史奇想〜神戸からのプロローグ