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おっぱい

果物みたいに実っていく。蜜柑、林檎、グレープフルーツ、メロン、スイカ。味も形も異なる二つの果物。揺れる美に興奮を覚える青少年達は、その果物を貪る為に生を全うする。果物を口に放り込む為だけの努力は虚しく、人の畑を見て羨む人々。他人の果物を取るのは御法度だ。勝手に口に放り込んでは行けない。一つの種を丁寧に時間をかけて育てて行く。実がなって、熟れたら食べてね。口の中で甘く溶けて、喉の奥まで感覚を犯す。まるで禁断の果実。刺激で妖艶な味、溢れる情熱を支配できなくなるような、そんな危険な味。思わず他の果物もたべたくなってしまうような、そんな味覚。そんな危ない味覚。僕ら果実を求めて種を探して育てていくね。途中で枯れたり飽きちゃったりして。蜜柑もグレープフルーツも味が違うから、舌に合うかはわからない。僕ら種を探して育てて貪る。お腹いっぱい果物を食べる。君の味を知ってみたい。君の柔らかさに包まれて、無我夢中で貪りたい。君の実が口の中に広がって、甘酸っぱい恋に似た味が僕の喉を締め付ける。犯される。

君の育てた果物、大きくて美味しそうだね。バレないように味見をしようかね。こりゃ堪らんね。甘くて柔らくて堪らんね。夢中になってしまいそうだね。人の畑に座り込み、舐め回すように果実を見る。熟れた果実をみる。触れたり嗅いだり、その艶やかなクビレをそっと撫でてみる、人の果実は欲しくなる。人の果実はひと味違う。自分が育てた果実はなんだか酸っぱくて嫌になっちまうんだ。君の育てた果実は甘くて柔らくて、夢中になっちまうよ。

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